日本地すべり学会誌
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48 巻, 1 号
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論文
  • 林 一成, 若井 明彦, 田中 頼博, 阿部 真郎
    2011 年 48 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2011/01/25
    公開日: 2012/04/03
    ジャーナル フリー
    山地斜面における地震時の地すべり危険度を広域的に評価するための手法を検討した。近年地震に伴う地すべりが多発している第三系堆積岩地域での代表事例として, 2004年新潟県中越地震により発生した地すべりを対象とした。広域に得られる地形・地質デ-タの分析と有限要素法に基づく既往の地震応答解析結果の分析により, 地すべり発生場の特徴を検討した。さらに, 地震時に地すべりを発生しやすい条件を整理することで, 個々の斜面で想定される地震地すべりの規模や危険度をどのように予測できるか考察を加えた。以上の検討から, 地震時における広域の斜面被害予測のための重要な知見が得られた。
  • 鵜飼 恵三, 楊 情情, 蔡 飛, 山田 正雄, 黄 潤秋, 許 強
    2011 年 48 巻 1 号 p. 12-22
    発行日: 2011/01/25
    公開日: 2012/04/03
    ジャーナル フリー
    本研究では, 2008年5月に中国四川省で起こった巨大地震に起因する岩屑なだれを参考に, そのメカニズムを解明する手がかりを把握するための基礎研究として土石崩落実験を行い, 実験結果の考察を行った。堆積した土砂と岩石が2つの部分に分類されることとその理由, 崩落した岩石の最大到達距離とその分布特性, 土砂の移動速度と移動距離の間の関係式などについて新たな知見が得られたが, 実際に起こった岩屑なだれで見られた長い到達距離を十分に解明するには至らず, 今後の課題とされた。
  • ハス バートル, 石井 靖雄, 丸山 清輝, 寺田 秀樹, 鈴木 聡樹, 中村 明
    2011 年 48 巻 1 号 p. 23-38
    発行日: 2011/01/25
    公開日: 2012/04/03
    ジャーナル フリー
    2004年新潟県中越地震とそれ以降に発生した2007年能登半島地震, 2007年新潟県中越沖地震, 2008年岩手・宮城内陸地震の4つの逆断層地震について, 地震によって発生した地すべりの分布, 規模と震央や震源断層からの距離との関係を調べた。その結果, 断層の上盤側で発生した地すべりが下盤側に比べて数が多く, 規模が大きいこと, 震源断層から遠くなるにつれ地すべりの規模が小さくなる傾向が認められた。また, 地震による地すべりの分布は震央よりも震源断層に強く影響されること, 斜面勾配や地質構成よりも震源断層からの距離の影響を強く受けることが示唆された。
研究ノート
  • 西山 賢一, 北村 真一, 長岡 信治, 鈴木 惠三, 高谷 精二
    2011 年 48 巻 1 号 p. 39-44
    発行日: 2011/01/25
    公開日: 2012/04/03
    ジャーナル フリー
    2005年台風14号に伴う豪雨により, 宮崎県では大規模な地すべりや斜面崩壊が複数発生した。鰐塚山地に位置する槻之河内で発生した地すべりは, 2005年豪雨で発生したなかでも大きいものの一つであり, 地すべり移動体は河道閉塞による地すべりダムを形成した。槻之河内地すべりの旧地すべり移動体は, AT (29cal ka) , K-Ah (7. 3cal ka) , Kr-M (4. 6cal ka) の各テフラに覆われるが, A-Fm (31cal ka) , A-Iw (45~50ka) , A-Fk (90ka) の各テフラが欠如する。これらのテフラの産状から, 2005年の1回前の地すべりは31~29cal ka間に発生した可能性がある。
  • -特に等価摩擦係数と土塊の拡散率について-
    八反地 剛, 森脇 寛
    2011 年 48 巻 1 号 p. 45-51
    発行日: 2011/01/25
    公開日: 2012/04/03
    ジャーナル フリー
    神奈川県・静岡県の丹沢地域および箱根地域の地すべり地形分布図を用いて地すべり斜面の地形解析を行ない, 各地域の等価摩擦係数 (以下H/Lとする) , 土塊の拡散性の違いについて議論した。いずれの地域においても, 地すべりの規模 (発生域の面積) とH/Lの関係は不明瞭で, H/Lは発生域の斜面勾配に比例する傾向が明瞭であった。また, 箱根地域における斜面勾配とH/Lの比例関係から得られたH/Lの予測下限値が, 箱根地域で発生した早雲山地すべりのH/Lの実測値とよく一致し, 地すべり地形分布図から得られるH/Lの予測下限値の有用性を確認した。地すべり地形斜面の発生域と流下堆積域を含む全体の面積と発生域の面積の比 (土塊拡散率) は多くの地すべりで1. 0から2. 0の範囲にあったが, 箱根地域では2. 0を超える地すべりが3例あった。箱根地域は丹沢地域に比べてH/Lが小さくなりやすく土塊拡散率が高いことから, 地すべり災害が発生した場合被害が拡大しやすいことが予想される。
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