日本地すべり学会誌
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48 巻, 3 号
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総説
  • 山崎 孝成
    2011 年 48 巻 3 号 p. 125-138
    発行日: 2011/05/25
    公開日: 2012/04/10
    ジャーナル フリー
    本総説ではすべり面の実態とそのせん断強度に関して既往の研究成果をまとめ, すべり面の実態に関しては以下の点について考察した。 (1) 再滑動型の地すべりについて, すべり面の母岩となった地質の違いによるすべり面およびすべり面を含むせん断帯の構造, (2) 2004年新潟県中越地震および2008年岩手・宮城内陸地震で発生した主な地すべりのすべり面およびせん断帯の構造, (3) 含スメクタイト系地すべりにおいて, スメクタイトがすべり面を被覆する機構, (4) すべり面に働く正負の間隙水圧発生機構, (5) すべり面に揚圧力を与える水圧伝達機構。
     すべり面のせん断強度については以下の点を考察した。 (1) 残留強度に与える粘土鉱物の影響, (2) 残留強度計測に使用されるリングせん断試験とすべり面をせん断面とする繰り返し一面せん断試験の特徴, (3) 多くの計測事例によるすべり面せん断強度計測結果のまとめ, (4) 地震時の高速地すべり発生機構, (5) せん断強度の速度依存性。
     今後の課題としては, (1) 変成岩および中古生層分布域のすべり面の詳細構造, (2) すべり面をせん断面とする動的試験などの新しい試験手法の開発, (3) せん断強度の温度依存性による積雪地域の地すべり機構, などの解明に向けた研究を提案した。
論文
  • 前田 寛之, 納谷 宏, 植松 聡, 河野 勝宣
    2011 年 48 巻 3 号 p. 139-146
    発行日: 2011/05/25
    公開日: 2012/04/10
    ジャーナル フリー
    生田原南地すべり地域の古期大規模地すべりとその脚部の生田原南地すべり防止区域における古期中規模および最近の小規模地すべりは, 基岩地質による分類では, 熱水変質帯地すべり, また, 移動体構成物質による分類では, それぞれ熱水変質岩地すべりと, 岩屑地すべりまたは土砂地すべりである。古期大規模地すべりは, 主に北ノ王化石熱水系前期ステージ広域変質帯のスメクタイト-アナルサイト亜帯と同前期ステージ脈際中性帯のイライト-イライト/スメクタイト混合層鉱物亜帯からなる熱水性粘土化帯で発生している。一方, 生田原南地すべり防止区域の中規模および小規模地すべりは, 前期ステージ広域変質帯のスメクタイト-クリノタイロライト亜帯と, 前期ステージ脈際中性帯のカリ長石帯, イライト帯およびイライト/スメクタイト混合層鉱物帯で発生しているが, カリ長石帯やイライト帯においてもイライト/スメクタイト混合層鉱物やスメクタイトを特徴的に含む。したがって, 熱水変質帯地すべりの発生は, 規模の大小を問わず, 膨潤性粘土鉱物を含む熱水変質帯と密接な関係を持つ。
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