日本地すべり学会誌
Online ISSN : 1882-0034
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49 巻, 1 号
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総説
  • 上野 将司, 中里 裕臣
    2012 年 49 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2012/01/25
    公開日: 2012/04/20
    ジャーナル フリー
    本論は地すべり調査・観測法について技術の進展を概観した上で, 今後の課題と展望を述べたものである。調査法ではボーリング掘進技術をはじめとする技術の発展があり, 航空レーザ測量等の新たな技術の導入があった反面, 基本的な地質分布や構造把握が十分になされない状況にある。地すべり動態観測については, 長年にわたってすべり面の間隙水圧は孔内水位測定で代用され, 望ましい方法での観測が行われていない。各種観測機器は改良されて観測システムの自動化が進んで便利になったが, 現場での地すべり変動の実態把握がおろそかになってきた。
    今後はこれらの問題への積極的な取り組みが必要である。観測機器による地すべりモニタリングはソフト対策や対策工の性能設計を行う場合に必須の技術であり, 今後の更なる発展が望まれる。
論文
  • ハス バートル, 丸山 清輝, 野呂 智之, 中村 明
    2012 年 49 巻 1 号 p. 12-21
    発行日: 2012/01/25
    公開日: 2012/04/20
    ジャーナル フリー
    地震による地すべりの発生危険度を評価するため, 既存地すべり地形を対象にロジスティック回帰分析を行った。この分析では, 中越地震で地すべりが多発した範囲の既存地すべり地形と地震による地すべりデータを用いて, ロジスティック回帰モデルを構築し, 標高偏差と地すべり地形の縁辺侵食率が, 地震による地すべりの発生に最も影響していることを明らかにした。また, 構築したモデルを用いて, 中越地震による地すべりの一部と岩手・宮城内陸地震による地すべりの各発生を予測した結果, その精度はROC解析によればAUC (予測能) が0.8以上で, モデルの有効性が確認された。
  • 宮澤 圭, 谷口 淳, 大上 俊之, 豊田 政史, 竹内 均, 吉澤 孝和
    2012 年 49 巻 1 号 p. 22-35
    発行日: 2012/01/25
    公開日: 2012/04/20
    ジャーナル フリー
    地すべり地の地表諸点の三次元位置の変動を, 時間差のある測量で求め, 得られた変位データを解析してすべり面形状を推定する手法において, 新たに多面体法を考案した。これは推定すべり面の三次元形状を複数の任意形状の三角形面で構成される多面体モデルで近似するものである。本稿では多面体法の解析手順を述べ, 地すべりの活動が終息しつつある新安地すべりと, 発生後まもない相道寺地すべりにおいて取得した地表変位データを使用してすべり面を推定した結果を示す。
研究ノート
  • 山崎 勉, 山科 真一, 大坪 俊介, 江坂 文寿
    2012 年 49 巻 1 号 p. 36-42
    発行日: 2012/01/25
    公開日: 2012/04/20
    ジャーナル フリー
    岩手・宮城内陸地震によって発生した荒砥沢地すべりの冠頭部において, 本震後に谷向き小崖が急激に発達した。同時に, キャップロック構造の下層を構成する軽石質凝灰岩には, 逆向き小崖とはらみだしが生じた。軽石質凝灰岩中の高角せん断面は, 地震動で軽石質凝灰岩にせん断ひずみが集中し, 塑性変形により形成されたものと考えられ, 繰り返し水平動にともなう層平行単純せん断によってできたリーデルせん断R2である可能性がある。このせん断面の形成により軽石質凝灰岩の強度は低下し, 荒砥沢地すべりの発生によって水平方向の応力も急減したため, 重力性クリープが生じた。
報告
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