日本地すべり学会誌
Online ISSN : 1882-0034
Print ISSN : 1348-3986
ISSN-L : 1348-3986
49 巻, 3 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
総説
  • 松浦 純生
    2012 年 49 巻 3 号 p. 95-105
    発行日: 2012/05/25
    公開日: 2013/05/30
    ジャーナル フリー
    崩壊や地すべりなどに関わる山地斜面内部の地下水については, 1960年代から山地斜面での現地観測が盛んに行われ初め, 各種のモデルが多数開発された。1980年代以降は計測技術の発達により, 積雪期間や地震時における間隙水圧の変動データも得られるようになっている。最近では調査技術の進化に伴い斜面内部の地下水の流動過程なども可視化できるようになってきた。一方, 解析技術の高度化と計算機の高性能化は, 分布型モデルを用いた地下水の空間分布や流動方向の時間変化, さらには地下水排除工の施工による地下水位の変動解析を可能とした。今後の課題としては, これまで得られた観測データのデータベース化や類型化を進めるとともに, 水文地質構造を明らかにするための調査技術や亀裂性岩盤, 風化岩等における三次元地下水流動解析技術の高度化を推進する必要がある。また, 表層崩壊や深層崩壊, 再活動型地すべりのいずれも, 流動化した土砂は長距離にわたり流下するとともに広範囲に拡散し, 大きな被害を与える。このため, 室内実験や数値実験により移動体と間隙水の相互作用についての研究を重点的に推進する必要がある。また, これまで得られた豊富な知見を体系化し, 「斜面変動場における地下水文・水理学」という新たな分野を確立したい。
論説
論文
  • 秦 吉弥, 王 功輝, 釜井 俊孝, 末峯 章, 野津 厚
    2012 年 49 巻 3 号 p. 109-118
    発行日: 2012/05/25
    公開日: 2013/05/30
    ジャーナル フリー
    2011年東北地方太平洋沖地震 (Mw9.0) では, 福島県白河市などを中心に数多くの地すべりが発生した。特に, 葉ノ木平地すべりは, 人的被害, 住家被害を含む甚大な被害を及ぼした。地すべり地周辺のJMA白河やK-NET白河での本震観測記録は特性が大きく異なっており, 余震観測記録に基づいて評価した震動特性を考慮して葉ノ木平地すべり地における地震動を精度良く推定することは非常に重要である。そこで本稿では, 海溝型巨大地震へのサイト特性置換手法の適用性について強震記録に基づいた検証を行った上で, 葉ノ木平地すべり地における本震時の地震動を推定した。その際, 葉ノ木平地すべり地におけるサイト特性を余震観測記録に基づいて評価することで, 地すべり地周辺の既存観測点であるJMA白河やK-NET白河などとの地盤震動特性の差異を明確にした。
  • 吉松 弘行, 相楽 渉, 菅野 孝美
    2012 年 49 巻 3 号 p. 119-128
    発行日: 2012/05/25
    公開日: 2013/05/30
    ジャーナル フリー
    地すべりは, 豪雨や融雪期の地下水位の上昇期に多発することがよく知られている。これら地すべりについて高精度の危険度評価を行うためには融雪期も含めて地下水位変動の予測手法の開発を行う必要がある。このため融雪期の地下への融雪浸透量の影響を考慮した地下水位の変動予測手法を検討した。予測手法は融雪水量を実効降雨量として得られる計算値と観測地下水位との最大相関をGAアルゴリズムで求めるΨ関数法を提案した。地下水位の変動予測と現地観測地下水との比較を通して提案手法の妥当性及び精度を述べた。
報告
シリーズ
書評
feedback
Top