日本地すべり学会誌
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53 巻, 1 号
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論文
  • 桂 真也, 畠田 和弘, 木村 誇, 丸山 清輝, 池田 慎二, 秋山 一弥
    2016 年 53 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/07
    ジャーナル フリー
     実効雨量法は地すべり地における地下水位の解析によく用いられてきたが,積雪期に対する適用事例はほとんど見当たらない。本研究では,大規模な観測施設を用いずに融雪水量を推定した上で,降雨に融雪の影響を加味した,地下水位の変動に影響を与えうる水量(地表面到達水量MR)を算出した。そして,地下水位の変動を最もよく再現できるパラメータ(実効地表面到達水量EMRの半減期,遅延日数,直線回帰式中の係数)を求めた。解析の結果,EMRが地下水位の有意な説明変数であったことから,本研究で用いた手法は,大規模な観測施設の設置が困難な積雪地域の地すべり地の地下水位変動を解析する上で有効であると考えられた。期間によりEMRに対する地下水位の応答特性が異なっていたため,期間を2つに区分して解析したところ,再現精度が向上した。期間により応答特性が異なる理由として,①間隙空気,②融雪末期の積雪分布特性,③横ボーリング工,④蒸発散の影響が考えられる。既往研究や本研究で得られた各パラメータの値と地質や地下水位の変動深度等との間に明瞭な関係は認められず,今後さらに解析事例を増やしていくことが重要である。
研究ノート
  • -北海道常呂帯仁頃層群緑色岩を基岩とする北陽A-160地すべりの例-
    前田 寛之, 河野 勝宣
    2016 年 53 巻 1 号 p. 13-16
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/07
    ジャーナル フリー
     北陽A‐160地すべりは, 北海道北見市北陽‐豊実地すべり多発地帯における古期緑色岩地すべりの一つであり, 移動体の幅約250m, 全長約300m, 厚さ約30mの大規模地すべりである。本地すべりは主に付加体である緑色岩の風化・熱水変質岩とそれらの岩屑および土砂を移動体とする風化・熱水変質岩地すべりである。地すべり移動体胴部に掘削された垂直ボーリング深度21.25mで見られる厚さ5mmの推定すべり面粘土は, 黄土色を呈し, せん断面を持ち, 比較的多量のスメクタイトおよびバーミキュライトと少量の曹長石, 濁沸石, 針鉄鉱などからなる。この黄土色粘土薄層中のスメクタイトおよびバーミキュライトは, それぞれ産状と性状から破砕帯中の断層ガウジの熱水変質および風化生成物であることを示唆する。それゆえ, 本地すべりは緑色岩の破砕帯における断層ガウジや断層角礫岩の熱水変質や風化に伴う脆弱化と密接な関係を持つと考えられる。
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