日本地すべり学会誌
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53 巻, 2 号
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論文
  • 木村 誇, 桂 真也, 丸山 清輝, 石田 孝司
    2016 年 53 巻 2 号 p. 31-42
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/27
    ジャーナル フリー
     長距離移動を伴う地すべりは甚大な被害をもたらすため,その危険性の高い斜面をあらかじめ把握することは防災上重要である。本研究では,融雪により発生した地すべり77事例を収集し,資料等で発生位置と移動体の移動距離・運動形態を把握した上で,10mメッシュDEMを用いて地すべり発生域と移動体の移送堆積域の地形特性を解析した。その結果,移動体が流動化し,発生域の斜面長を超える長距離を移動した事例は,1)発生域が地すべり地形を呈しており(地すべりの再滑動),2)勾配0.15m m-1(9°)以上の谷地形に接しており,3)谷地形への流入角度が70°以下,という地形特性を有することが分かった。1)~3)の特性の有無で77事例を判別したところ,実際に長距離移動した14事例中12事例(陽性適中度86%)と長距離移動しなかった63事例中58事例(陰性適中度92%)を正しく判別できたことから(正解率91%),これらの地形特性が危険斜面を把握する上で有効な指標であることが示された。
研究ノート
  • 木村 誇, 後藤 聡, 佐藤 剛, 若井 明彦, 土志田 正二
    2016 年 53 巻 2 号 p. 43-49
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/04/27
    ジャーナル フリー
     平成25年台風26号の通過に伴う豪雨によって,伊豆大島火山のカルデラ外縁斜面では,火山砕屑物層の表層崩壊と崩土の長距離移動が発生し,元町地区で甚大な土砂災害を引き起こした。このような火山地域特有の土砂災害を防ぐためには,崩壊予備物質となる火山砕屑物の層厚分布を把握する必要がある。伊豆大島火山の噴火史研究(小山・早川,1996)に記載されたデータをもとに,クリギング法を用いて斜面に堆積したテフラとレスの互層からなる火山砕屑物の層厚分布を推定し,現地で実測した層厚と比較した。その結果,テフラの降下量が均質でほぼ同じ層序・層厚をもつと考えられた範囲(大金沢流域:1.2km2)において,テフラ層厚および累積層厚に,推定値との比でそれぞれ0.2~2.2倍と0.8~1.9倍の較差があることが明らかになった。
技術報告
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