日本地すべり学会誌
Online ISSN : 1882-0034
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55 巻, 1 号
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論文
  • -鉄道における崩壊事例への適用-
    植村 昌一, 宇治橋 康行, 平松 晋也, 鈴木 博人
    2018 年 55 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/13
    ジャーナル フリー

     鉄道では, 降雨に起因した土砂災害から安全を確保するために, 雨量計の観測値に基づき, 列車運転規制を行っている。しかしながら, 降雨災害は運転中止の発令前に発生する場合があり, 降雨時の列車運行の安全性を高めるためには, これらの降雨災害の低減を図ることが重要である。そこで, 本研究では, 運転中止の発令前に発生した沢渡り盛土の崩壊事例に着目した。そして, 沢の集水域の降雨に対する流出解析に基づく盛土崩壊評価指標を提案し, その性能評価を行い, 指標の有効性を確認した。

  • 中島 伸一郎, 古山 陽太, 林 佑一郎, Nguyen TRUNG KIEN, 清水 則一, 廣川 誠一
    2018 年 55 巻 1 号 p. 13-24
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/13
    ジャーナル フリー

     急傾斜長大斜面においてGPSによる長期変位モニタリングを実施した。急傾斜のためGPS計測点の上空視界は悪く, 基準点との高低差も大きいなど, 不良な計測環境による測定精度の劣化が懸念されたが, マスク処理による上空障害補正, 気象データを用いた対流圏遅延補正およびトレンドモデルによるランダム誤差処理を適切に施すことで平坦地と同程度の高精度な変位計測が可能であることを明らかにした。この誤差補正法を用いることで, 3年間にわたり斜面各点の三次元変位を安定かつ連続的に計測した。降雨に起因した斜面変位の急増をリアルタイムに検出可能であると同時に, 年間15mm程度の緩やかな定速変位を確実に検出可能であることを実証した。

研究ノート
  • 室井 翔太, 島田 徹, 小野 尚哉, 平野 昌繁, 小泉 和也, 笹原 克夫
    2018 年 55 巻 1 号 p. 25-34
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/13
    ジャーナル フリー

     空中写真や地形図等を用いた地形判読で生じる個人差を低減するために, 遷急線・遷緩線に近似的な斜面境界を抽出することで, 数値解析による地形判読補助図の作成を試みた。そのためにまず, 航空レーザデータから作成した地形データを用いて平均傾斜および傾斜の標準偏差を算出した。次に, 代表的な地形特性を有する斜面の組合せを選定し, それらの2指標の関係に基づいて線形判別分析を行い, 斜面境界帯 (閾値) を算定した。そして, 斜面境界帯に分布する地形データの格子点を斜面境界とし, 平均傾斜および斜面方向から遷急線あるいは遷緩線に近似的な斜面境界を示す点に分類した。本手法による結果は, 複数の技術者が認定した明瞭な遷急線・遷緩線については概ね同一箇所に分布し, 現地でもその存在を確認することができた。さらに, 技術者によって判断が分かれる不明瞭な遷急線・遷緩線に対しては, 数値解析に基づく客観的な結果を与えるといえる。ただし, 斜面境界ではない不要な地形も抽出されており, その点については注意が必要であるが, 技術者が見落とす, あるいは捨象する様な遷急線・遷緩線について現地での存在を確認し, このような斜面境界の抽出漏れを防止するという意味でも, 本手法の実用性を示すことができた。

技術報告
  • -モーリシャス共和国の例-
    桑野 健
    2018 年 55 巻 1 号 p. 35-41
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/13
    ジャーナル フリー

     近年, 国際協力事業の分野で日本の地すべり対策技術は開発途上国をはじめとして広く展開されているが, 多くの場合, 対策工事の事業評価を実施されるまでには至っていない。本報告ではモーリシャス共和国で日本が実施した表面排水工・水平ボーリング工等の地すべり抑制工事の事業評価を妥当性・有効性・インパクト・効率性・持続性の観点から, 事前評価・中間評価・事後評価の3段階で実施した事例を紹介する。本手法は今後の地すべり対策工事の国際協力事業においても適用可能であり, 日本が技術支援する地すべり対策を客観的に評価する上で広く利用されることが望まれる。

  • 木村 誇, 山田 隆二, 苅谷 愛彦, 井上 公夫
    2018 年 55 巻 1 号 p. 42-52
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/04/13
    ジャーナル フリー

      Topographic analysis using LiDAR-based geomorphological map tied up with field survey was performed to revisit geomorphic changes caused by the Dondokosawa Rock Avalanche, which scattered huge granitic rock clasts at around AD 887 along the Dondokosawa River, a branch of the Komukawa River in the Akaishi Mountains, central Japan. It is revealed that the rock avalanche completely blocked two parts, the outlet of right tributary of the Dondokosawa River and the channel reach of the Komukawa River of at least 630-m length, forming two dammed-lakes (estimated areas of 0.02 and 0.10km2, respectively) together with floodplain deposits beside the rock avalanche deposits.

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