多時期のLiDAR-DEMを活用した標高差分解析や三次元変動解析の結果には, 植生の影響による誤差やマッチングエラーが含まれていることが多く, 結果の解釈が必要となる場合が多い。多くの異なる条件での解析事例から解析結果の特性を分析した結果, 滑落崖や小崖地形などの微地形の分布, 標高差分解析からの変化領域, 三次元変動解析からの変動ベクトルの分布の組み合わせによって, 総合的に評価することが有効と考えられる。解析結果の組み合わせから, 地すべりや崩壊, 河道閉塞などの斜面変動の区分や変動様式を推定することが可能となる。また, 既存の解像度の異なる数値標高モデルを利用した解析でも有効な結果が得られているので, 災害対応への活用が期待される。
2008年6月の岩手・宮城内陸地震時と2013年7月の秋田岩手豪雨災害での道路災害復旧における航空レーザ測量からの高精度地形データを活用した事例を報告する。前者の地震災害では崩壊・地すべりにより道路が寸断されて踏査不能区間が生じたために航空レーザ測量データを取得して被災調査や対策工検討の迅速な対応を行った。後者の豪雨災害では既存の航空レーザ測量データを活用して集水域の地形状況を把握して対策工法の検討を行い, 災害後のレーザ計測・データ処理後に迅速に対策工設計を進めることができた。災害前後の高精度地形データは災害復旧調査設計に有効であり, より迅速かつ的確な災害対応が期待される。