日本地すべり学会誌
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56 巻, 5 号
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論文
  • 菊地 輝行, 崎田 晃基, 秦野 輝儀, 吉川 慶, 西山 哲, 大西 有三
    2019 年 56 巻 5 号 p. 255-263
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/09
    ジャーナル フリー

     平成23年台風12号で発生した38箇所の崩壊事例の崩壊前後の航空レーザ計測データは, 崩壊前の地形に重力変形が存在していることを示唆している。本研究は, この航空レーザ計測データについてウェーブレット関数を用いた微地形強調図を作成し深層学習を実施した。筆者らは畳み込みニューラルネットワークを用いて50ピクセルのタイル化された画像を非崩壊地も含め9206個を解析し, 崩壊地で80.8%の正答率, 非崩壊地で91.1%の正答率が得られた。詳細な検討の結果, 崩壊地の解析結果は, 明瞭な滑落崖を含まず不規則凹凸や不明瞭な小崖を含んでおり, 学習の成果が認められた。一方, 非崩壊地の解析結果のうち崩壊と判定されたタイルは, 誤判読ではあるが, 学習成果である地形的特徴を含んだ地形を含んでいた。これは単なる誤判読ではなく, 将来的に不安定となる地形要素を有していると理解できた。これらの成果は, 今後斜面崩壊の予察を行うために期待できる。

研究ノート
  • -リングせん断試験の供試体を用いた帯磁率および残留磁化実験による検討-
    伊藤 孝, 村尾 英彦, 酒井 英男
    2019 年 56 巻 5 号 p. 264-272
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/09
    ジャーナル フリー

     すべり方向は大規模な地すべりの移動方向を解釈するための鍵である。一般的には, すべり方向はすべり面の条線, あるいは粒子配列から測定されてきた。しかし, 地すべりからすべり方向を解読することは依然として容易ではない。本研究では, リングせん断試験の試料を用いた岩石磁気測定からすべり方向を測定するための迅速な方法を示す。

     せん断試験を行った供試体から採取した試料では, 帯磁率異方性の最大軸はせん断方向である円型供試体の接線方向を向き, せん断試験を行っていない供試体試料の最大軸が一定方向にそろっているのとは明らかに違っていた。残留磁化の方向も, せん断試験を行った多くの試料では, せん断方向である円型供試体の接線に近い方向を向き, 帯磁率異方性の測定結果と同様な結果が得られた。これらの結果は, リングせん断試験により供試体の磁性粒子が円周方向に配列したことを示している。本研究は, 磁気特性からすべり運動の方向を再現できる可能性があることを示している。

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