これまでの調査によって, この地すべりの特徴及び対策を, 次のようにまとめることができる。
(1) 三波川帯結晶片岩類の破砕が著しい地帯に発生していて, 地すべり形態が不完全で, 地すべり性崩壊に類別される。
(2) 断層によって分断されたブロック内に発生しているもので, ここはまた古い地すべり地形である。
(3) 基盤に浸透した地下水によって, 破砕部が膨潤化して, それが表面に突出して, 滑落崖を形成した。
(4) 滑落崖は, 蛇紋岩の貫入部で, このような弱線部が2本ある。
(5) 小塩沢に施工した, 床固工及び谷止工によって, 渓床が上昇し, 地すべり地内に地下水を浸透させた。
(6) 対策としては, 主として地すべり地頭部の地下水の排除に重点を置くことが望ましい。
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