地すべり
Online ISSN : 1884-3956
Print ISSN : 0285-2926
ISSN-L : 0285-2926
26 巻, 3 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • M. G. ANGELI, H. NAKAMURA, R. TSUNAKI, K. NITTA, K. OKUDA
    1989 年 26 巻 3 号 p. 1-9
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    イタリア中央部のいくつかの粘性土地すべりにおいて地すべり土塊の下部で高い間隙水圧を示す部分があることがこれまでに報告されている。これは土塊の透水性が深度により違っているためと考えられた。
    このようなことが別の地質状況のもとでもあてはまるかを調べるため, 日本の新潟県の第三系の地すべりについて差分法による浸透流解析を行った。文献及び透水試験結果を参考にすべり面付近に高い透水係数を与え, その局透水層の端が地表に出る場合, また初生すべりによる分断及び崩土による埋没により地表に出ない場合を考えて, 色々なケースについて解析を行い, 各々のケースの流線網を得た。そしてこの結果からすべり面の間隙水圧の分布を求め静水圧と比較した。また最も限界的な斜面の安定度を示すケースで安定度の逆解析を行った。
    すべり面に沿う間隙水圧の実測値がないため計算値との比較はできないが, これらの解析の結果, 現位置の透水試験で得られた深度により異なる透水係数を与えた場合, イタリアの例と同様に斜面の下部で高い間隙水圧を示すことがわかった。また逆解析の結果, 安定計算を行うときすべり土塊全体として行うよりも, 下部の間隙水圧の高い部分を別ブロックとして考えて行ったほうが現実的であるという結果が得られた。このことは進行性のすべりは斜面の下方から発生することを示唆している。さらにそこで調べた事例ではすべり土塊を全体としてそして静水圧による間隙水圧が作用するとして逆解析を行うと, せん断強度を過大に評価することになってしまうという結果も得られた。
  • Shunji YOKOYAMA, Jiro HADA
    1989 年 26 巻 3 号 p. 10-18
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    和泉層群は砂岩と泥岩の互層からなる大きな延性度較差をもった層状岩盤である。調査地域の和泉山地北西部は和泉層群の巨大な東西性向斜構造の北翼部にあたり, 地層は一様に約40度で南に傾斜している。そのため, 流れ盤側の斜面では, 重力の影響で層理面に平行に働く力によって, 地層は斜面下方に向かって滑り落ちようとするが, 最初から連続したひとつのすべり面が特定の部位に形成されるのではない。変形の初期には複数の泥岩層において, 層理面に平行な無数の微小破断面上ですべりが発生する。このとき, 斜面の基底部で地層が支えられていると, 表層の地層は斜面表面 (自由面) に向かって膨れだして岩盤クリープ性褶曲が形成される。岩盤クリープ性褶曲は自然斜面, 人工斜面のいずれにも発達するが, 典型的な構造は掘削後10~20年経た採石場跡の層理面に平行な掘削斜面で観察できる。岩盤クリープ性褶曲は一般に地表から数m以内の地層で起こっており, 褶曲軸は斜面の走向方向とほぼ平行である。これらの褶曲は翼形態から, 対称褶曲と非対称褶曲に分類される。
    対称褶曲は軸面に対してほぼ対称的な翼形態をもち, 翼間隔が160度以上の開いた褶曲構造である。この褶曲は斜面表面の緩やかなうねりとして現れる。向斜ヒンジの南翼側の砂岩層には, 対称褶曲の成長にともなって, しばしばほぼ水平に近い断層を生じ, その断層の上盤が斜面表面にせり出している。さらに, この断層と下位の泥岩層中の層理面に平行な断層とが連結し, それをすべり面とする岩盤すべりに発展している場合もある。
    非対称褶曲は, 緩傾斜で長い北翼と急傾斜で短い南翼をもつ背斜構造である。非対称褶曲は砂岩泥岩互層とその直下の比較的厚い泥岩層とからなる斜面で岩盤クリープ変形が起こったとき, 対称褶曲から成長して形成される。北翼の地層は斜面上方に向かって徐々に傾斜角が大きくなり正常な地層傾斜に変わる。一方南翼の地層は, 翼の基底部に生じたスラストに沿って'斜面下方の正常な傾斜の地層の上にのし上げ, 斜面上に小急崖を形成している。ヒンジ部では北翼の上部の砂岩泥岩互層が厚い泥岩層の上面を滑って南翼にのし上げ, そのために厚い泥岩とその直上の砂岩層との間に間隙を生じている。厚い泥岩層はヒンジ部でさらに厚くなり, そこでは微褶曲や局部的な断層を伴う複雑な構造をしている。非対称褶曲の形成では, 砂岩泥岩互層の直下に存在する厚い泥岩層のヒンジ部への機械的流入が重要な役割をはたしている。また, 延性度の低い砂岩層では, 斜面の走向方向と傾斜方向に発達する2系統の広域節理に沿ったすべりと回転が比較的なめらかな曲面をもつ褶曲の形成を可能にしている。
    和泉層群で岩盤すべりを起こしている斜面を詳しく観察すると, すべり面の下位の地層がクリープ変形していることが多い。岩盤のクリープ変形が岩盤すべりの先駆的現象であるという観点に立つならば, 斜面の安定性を評価する上で, 岩盤クリープ現象を解析することは極めて有効である。
  • 玉田 文吾, 福田 順二
    1989 年 26 巻 3 号 p. 19-27_1
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    降水が湿潤面となって地表面から下降するとき, 浸透経路となる不飽和帯の間隙空気が圧縮され, これによって, 直接, 浸透水が地すべり面に到達しなくても間隙水圧が上昇する地質構造がある。これによって発生する空気間隙水圧は, 湿潤面が持つ水頭の17~83%になる。
    一方, 地すべり面に先行間隙水圧が作用している時点で, 湿潤面が水頭を持って下降すると, 先行間隙水圧と空気間隙水圧との和は, 水頭にほぼ等しくなる。
    このように, 湿潤面下降の過程においては, 地すべり面付近の地下水位とは別形式の間隙水圧が作用することがあり, これが特別な降雨強度パターンと関係があることが判明した。
  • 四次元測量データの地すべり解析への利用法
    吉澤 孝和
    1989 年 26 巻 3 号 p. 28-39
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    A presumption technique to bound the landslide influence area on a topographic map is presented in this paper. First, three dimensional geometry of underground slide surface is presumed by analyzing the surveyed trajectory of marked points on the landslide area. Next, the intersection of two surfaces, the slide surface and topographic surface, is graphically analyzed. Finally, the boundary line of landslide influence is drawn on the topographic map.The reliability of the boundary line can be examined by the compatibility condition with the landslide phenomena such as cracks, scarps and lateral ridges plotted on the map.Thus the extent of the landslide influence can be presumed to the area where no evident phenomena is discovered. Analytical example applied to Komoro landslide area demonstrates the utility of this technique.
  • 矢田部 龍一, 八木 則男, 榎 明潔
    1989 年 26 巻 3 号 p. 40-46_1
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2011/07/04
    ジャーナル フリー
    四国の破砕帯地すべりの移動量と降雨量との関係を観測資料を用いて調べた。その結果, 移動量は降雨量あるいは地下水位と密接な関係をもって変化していることが明らかになった。したがって, 破砕帯地すべりの変形挙動は間隙水圧の増減に伴う有効応力の変化と密接な関係がある。また, 移動量の変化は降雨量あるいは地下水位を測定することにより予測することができる。
  • 高木 方隆, 中村 忠春, 宮内 定基
    1989 年 26 巻 3 号 p. 47-52
    発行日: 1989/12/20
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    Landslides phenomena are caused by many factors such as lay of the land, geological features, properties of soil, water balance and others.
    We collected many data over more than 20 years, in order to analyzed on mechanism of the landslides occurred in SHIKOKU ISLAND. called HASAITAI JISUBERI in Japan
    In this paper, we obtained the following conclusions from the examination of the distribution of landslides.
    1. Landslides are closely relatde to geological features. This fact is well known to all,
    2. Landslides occur frequently, but on a small scale,
    3. Distribution of landslides are closely related to drainage patterns.
    4. Location of landslides are occupied in new geographic features eroded by rivers.
feedback
Top