地すべり
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29 巻, 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 佐々 恭二, 福岡 浩
    1993 年 29 巻 4 号 p. 1-8_1
    発行日: 1993/03/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    地すべり運動時に発揮される内部摩擦角は, 通常のせん断試験で得られる内部摩擦角とは必ずしも同じではないと思われる。そこで実際の地すべりの運動に対応する速度でせん断抵抗を計測することを目的として, 表層崩壊などを研究対象とした低圧用 (39kpa) の高速リングせん断試験機と地すべりを研究対象とした高圧用 (390kpa) の高速リングせん断試験機を開発した。最初, 低圧用高速リングせん断試験機を用いて, 直径1mmのガラスビーズについて予備試験を行い, 間隙流体の粘性抵抗は, 表層崩壊に対応する (10-40kpa程度) 低い垂直応力のもとでも摩擦抵抗に比べて無視し得ることを確認した。ついで, 高速高圧リングせん断試験機を用いて御岳大崩壊や地附山地すべりの土など種々の土について0.01cm/sec-100cm/secのせん断速度で試験を行った。その結果, 得られた内部摩擦角は土によって挙動が異なり, せん断速度の増大により内部摩擦角が増大するもの, 逆に減少するもの, ほとんど変化しないものがあった。しかしその変化は-3.2度から+3.7度までの範囲にあり, それほど大きなものではなかった。これらの内部摩擦角の変化の原因としては, せん断中の粒子の破砕による粒度分布と粒子形状の変化が考えられ, また, 比較的粒径がそろっている材料では, 粒子がせん断方向に配列する影響があると思われた。
  • 釜井 俊孝, 宮田 雄一郎
    1993 年 29 巻 4 号 p. 9-17_1
    発行日: 1993/03/15
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
    地すべり粘土の定体積一面せん断試験を行い, 供試体内部における破壊面の発達過程について, 特に破壊の伝播速度の観点から検討を加えた。試料には福島県与内畑地すべりから採取された粘土, カリオンHA, ベントナイトを用意し, 直径6cm, 高さ2cmの円盤状共試体に導電性塗料を塗布した6本の素麺マーカーをせん断方向に対して縦列に配置し, せん断した。せん断に先だってこれらの電極に5Vの電圧を加え, 供試体の変形とせん断によって電圧が逐次的に低下する状況を記録した。軟X線写真による観察から, これらの電極の切断プロセスは, 供試体内部における破壊面の発達過程を的確に表現していることが明らかにされ, この電極の開発によって破壊の伝播速度を議論することが可能になった。
  • 鵜飼 恵三, 萩原 敏行, 井田 寿朗
    1993 年 29 巻 4 号 p. 18-24_1
    発行日: 1993/03/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    モデル化された切土斜面に対して簡便分割法と弾塑性FEMを用いた3次元安定解析を行い分割法を適用する際の留意点を示し, 現実に近いすべり面形状の予測には弾塑性FEMを用いることが有効であることを指摘した。
  • 亀井 健史, 佐野 博昭
    1993 年 29 巻 4 号 p. 25-31_1
    発行日: 1993/03/15
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
    本研究では, 試料の準備方法の違いが粘性土のせん断特性に及ぼす影響を解明するために, 乱さない試料と練返し再圧密試料に対して圧密定体積一面せん断試験を行った。
    その結果, 乱さない試料と練返し再圧密試料の強度・変形特性は, 大きく異なることが定量的に示された。このことより, 練返し再圧密試料より得られたせん断強さを実地盤に適用した場合, 得られた解析結果は, 実地盤の安定性を過小評価している可能性があることを示唆した。
  • 川邉 洋, 芝野 博文
    1993 年 29 巻 4 号 p. 32-36_1
    発行日: 1993/03/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    小規模な地すべり地に, 2~4m間隔でほぼ格子状に配置した多数の測点の移動を, 光波セオドライトを用いて繰り返し測量した。そのデータに二次元有限均一歪理論を適用して, 地表面の水平歪の分布と経時変化を求めた。その結果, この方法は地すべりの局所的な変動の検出や予測のためのデータの取得に非常に有効であることが明らかになった。
  • 中山 康
    1993 年 29 巻 4 号 p. 37-44_1
    発行日: 1993/03/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    斜面の地震災害には, 岩石斜面の崩落と土砂斜面の滑動がある。前者は大きな加速度 (すなわち力) で, 後者は大きな仕事workで発生する。斜面における加速度は震度 (最大加速度) で表現される。斜面滑動に関与する仕事は, 震源のマグニチュード・震央距離で定まる到達エネルギーのうち波形に基づく何割かが転化したものである (波形が人工的な正弦曲線の場合, この割合は0となる) 。
    このため, 地震災害のハザードマップは2種類必要となり, 「最大加速度」ならびに「マグニチュードと震央距離」についての確率を知ることになる。
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