新第三紀泥岩由来崩積土の地すべりにおいて, すべり面土とその上下層土の物理的, 化学的および鉱物学的性質と残留強度パラメータの関係について調べ, 残留強度パラメータを規定する要因並びにすべり面形成の機構を明らかにしようとした。結果は次のとうりである。
(1) 崩積土の粘土含量はすべり面土で最も高く, 主要粘土鉱物は雲母粘土鉱物を主とし, カオリナイトとバーミキュライトを伴った。
(2) 水分散による粘土含量は, すべり面土で30%近くもあり, 上下層土よりも明らかに高かった。
(3) せん断応力の集中による細粒化並びに含水比の増大によって板状粘土鉱物粒子のせん断方向に沿っての配向が進み, せん断強さは残留強さまで低下する。
(4) すべり面土の残留強度パラメータφ
rは11°を示し, 雲母粘土鉱物本来のφ
rと一致した。
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