地すべり
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32 巻, 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 笹原 克夫, 海老原 和重, 綱木 亮介
    1996 年 32 巻 4 号 p. 1-8
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    急勾配斜面の不飽和状態の崩壊発生機構を解明するために, 砂質土斜面の崩壊実験と不飽和試料の三軸圧縮試験を行った。その結果斜面のせん断変形過程は, 三軸圧縮試験におけるせん断ひずみと飽和度の関係より基本的には説明しうることが判明した。
  • 今泉 眞之
    1996 年 32 巻 4 号 p. 9-18
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    仲野ほか (1992) は, 第三紀層地すべり地の泥岩を限界状態の土質力学の観点から研究し, 地すべり地のボーリングコアの自然含水比のうち限界状態の含水比分布より高含水比部分は初生地すべりのすべり面であることを示した。この関係を使い, 第三紀層地すべり地のすべり面を判定するために, 中性子水分検層を現場で使用する場合の方法について検討した。検討した方法を現地に適用し, 中性子水分検層によるすべり面の判定方法が有効であることを実証した。
  • Wen-neng WANG, Hiroyuki NAKAMURA
    1996 年 32 巻 4 号 p. 19-25
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    地すべり地における地下水流動状況を評価する方法を提案するために地下水流の形態を想定したモデルにより地下水検層と流向流速計を用いて実験を行った。
    地下水検層図の比抵抗値変化曲線が水平流ではほぼ水平になり, 下降流では右上がりの傾きを持ち, 上昇流では急勾配の左上がりになる。ただし, 比抵抗値の変化量は地下水の流量だけではなく, 食塩溶液の濃度, 流動層の位置, 流れパターンに影響され, 比抵抗値増大量だけでは流動層の流速を評価することができないことがわかった。
    流向流速計の測定結果から, 水平流ではトレーサ粒子の流速はバラバラであるが, 流向はほぼ一定であり, 垂直流ではトレーサ粒子の流速は比較的均一であるが, 流向は一定しない。流入層の上あるいは流出層の下などの地下水の流れがない地点では粒子の停滞あるいは流速と流向のバラつきがある。流向流速計で測る流速は計算値の0.9倍位であり, また, 測定される流速は流量が同じであれば流動層の位置や水質によって変化しない。
    以上のことから地下水検層と流向流速計を用いることにより流動層の位置と流速の検出精度は大きく向上することが分かった。
  • 浦添地すべりと山川地すべりの対比
    周 亜明, 宜保 清一, 江頭 和彦, 翁長 謙良, 丸山 健吉
    1996 年 32 巻 4 号 p. 26-33
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    沖縄の第三紀島尻層群地帯の破砕泥岩地すべりと軟化泥岩地すべりのすべり面土の強度を, それぞれ浦添地すべりと山川地すべりを事例として対比し, 相違点について論じた。浦添試料と山川試料の双方が低いピーク強度を示したが, これは, 浦添では亀裂の存在に起因し, 山川試料では軟化の結果である。残留強度は, 配向性のスメクタイト粒子を含有する浦添試料がφr=11°を示したのに対して, スメクタイト量の少ない山川試料ではφr=25.5°であった。浦添試料と山川試料の残留強度の違いは両地すべりのすべり挙動の違いと関連づけられる。
  • 八木 則男, 榎 明潔, 小堀 慈久, 矢田部 龍一
    1996 年 32 巻 4 号 p. 34-40
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    本研究は根系による土の補強効果について定量的な検討を加えたものである。まず, 根系を含む不かく乱まさ土に対して種々のせん断試験を行い, 強度定数に及ぼす根系の影響を把握した。また, 根系を含む土の一面せん断特性に関して極限平衡法を用いたモデル解析を行い, 補強効果について定量的な検討を行った。
  • 宜保 清一, 佐々木 慶三, 周 亜明, 江頭 和彦
    1996 年 32 巻 4 号 p. 41-48
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2010/03/16
    ジャーナル フリー
    大規模な地すべりが, 中国四川省龍門山華夏系構造帯に位置し, 長江 (揚子江) の支流である岷江および雑谷脳河の流域で数多く観察された。地すべりは再活動型の崩積土すべりであった。地質学的にはこの地域は, 晉寧期の花崗岩の上に堆積した寒武 (カンブリア) 系から三迭 (三畳) 系にわたる堆積物からなる。これら堆積物は, 激しい構造運動を受けて堆覆 (ナッペ) 構造をとり, 多少とも変成作用を受けている。地層の中では志留 (シルル) 系~泥盆 (デボン) 系の千枚岩が, 破砕および粘土化作用をうけて弱化し, 地すべりの80%以上はこの地層で起こっている。
    地すべりの誘因は河の下刻作用と考えられる。山腹から現河床にかけて複合した地すべり地形がみられ, 地質時代以降河床の低下とともに周期的に地すべりが起こってきたと思われる。最近は, 森林伐採, 道路拡幅に伴う斜面末端の排土が地すべり発生を加速している。地すべりは, 民家や農地の破壊, 道路分断とともにしばしば河川の閉塞を引き起こし, 地元だけでなく上流および下流域の人々に大きな生態的・社会経済的被害をもたらす。
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