地すべり地における地下水流動状況を評価する方法を提案するために地下水流の形態を想定したモデルにより地下水検層と流向流速計を用いて実験を行った。
地下水検層図の比抵抗値変化曲線が水平流ではほぼ水平になり, 下降流では右上がりの傾きを持ち, 上昇流では急勾配の左上がりになる。ただし, 比抵抗値の変化量は地下水の流量だけではなく, 食塩溶液の濃度, 流動層の位置, 流れパターンに影響され, 比抵抗値増大量だけでは流動層の流速を評価することができないことがわかった。
流向流速計の測定結果から, 水平流ではトレーサ粒子の流速はバラバラであるが, 流向はほぼ一定であり, 垂直流ではトレーサ粒子の流速は比較的均一であるが, 流向は一定しない。流入層の上あるいは流出層の下などの地下水の流れがない地点では粒子の停滞あるいは流速と流向のバラつきがある。流向流速計で測る流速は計算値の0.9倍位であり, また, 測定される流速は流量が同じであれば流動層の位置や水質によって変化しない。
以上のことから地下水検層と流向流速計を用いることにより流動層の位置と流速の検出精度は大きく向上することが分かった。
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