山口県宇部市における三郡変成岩からなる丘陵地の斜面で発生した地すべりの特徴を明らかにするために, 地質学・岩石学・土質工学の立場から斜面の調査を行った。その結果, 斜面地盤は蛇紋岩のホルンフェルス, 透角閃石岩の破砕片と風化土が互層をなす透水性が比較的高いことが素因となり, また斜面末端部の切取りと豪雨が誘因となって, 地すべりが発生したと判断された。地すべり面の緑泥石からなる粘土の不撹乱試料の残留強度は, 通常の逆算法で求めた値と一致した。最後にスケンプトンの残留係数を用いてすべりの発生機構を考察した。
抄録全体を表示