鹿児島県出水市で発生した土石流災害の発生プロセスを検証した。素因としての断層の存在, 被災後に行われた測量, ボーリング結果やマスコミで報じられた時間的経過を基にして, 流出解析や土石流の予測式での検討を行った。崩壊が一挙に土石流化したとは考えにくい状況的証拠の存在する中, 被災までのプロセスを最も合理的に解釈する研究である。斜面崩壊は断層の存在が素因であり, 斜面崩壊が堰き止め湖を形成した可能性, 段階的な土石流への発展, フラッシュウォーターの発生, 深夜の被災から夜明けまでの降雨による樹木や土砂流出が発生プロセスであるとの結論に到達した。
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