実際のすべり面粘土と対比するために, 高純度粘土鉱物のリングせん断試験を実施し, 以下の知見を得た。 (1) 残留強度はIllite φ
r'=14.5°>chloriteφr'=11.0°>sericite φ
r'=9.7°>montmorilonite φ
r'=3.8°。 (2) モンモリロナイトは膨圧と強度回復に相関がある。 (3) 残留強度は荷重変化にも関わらず, すべての試料で安定した値を示す。 (4) クロライトとセリサイトの混合試料はクロライトの含有率49%を境に遷移点があり, これを越えるとクロライトの残留せん断強度を示す。モンモリロナイトとイライトの混合試料はモンモリロナイト含有率が30%を越えるとほぼモンモリロナイトの残留せん断強度φ
r'=4.0の値を示す。 (5) すべり面粘土との対比では, クロライト・セリサイト混合試料が緑色岩類を起源とするすべり面粘土とほぼ同じ値を示し, 変成岩類起源のすべり面粘土残留強度の下限値を与える。モンモリロナイト・イライト混合試料は第三系の泥岩を起源とするすべり面粘土に良く対応し, モンモリロナイトの含有率に大きく影響を受けている。
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