地すべり
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37 巻, 2 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 大河原 正文, 三田地 利之, 棚田 真, 藤村 正二, 米田 哲朗
    2000 年 37 巻 2 号 p. 1-9_1
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2011/07/04
    ジャーナル フリー
    圧密定圧, 圧密定体積およびプレカット供試体による圧密定圧の3つの試験条件の下で繰り返し一面せん断試験を行い, 試験後のせん断面の層構造と粒子の配向性を定量的手法により評価した。
    その結果, 主変位せん断面の配向度は, 累積水平変位48mmのとき, 定圧試験(M=97.3%)とプレカット定圧試験(M=99.2%)では, ほぼ100%で, かつペッドの最頻度配向方向がαmode=0°であることから, ペッドはせん断方向に完全配向していることが明らかになった。このように定圧試験とプレカット定圧試験において, 残留状態の配向条件を満たしている(主変位せん断面の完全配向)ことから, これらの試験条件に基づいて実施された繰り返し一面せん断試験結果から残留強度として妥当な値を得ることが出来る。
  • Sumio MATSUURA
    2000 年 37 巻 2 号 p. 10-19_1
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
    多雪地帯に位置する第三紀層の浅層のすべり面をもつ地すべり地で, 積雪深や積雪水量などの積雪環境に関する観測を行うとともに, 降雨もしくは融雪水など地表面に供給される水量 (Meltwater and/or Rainfall: MR (a/o)) と地すべり移動体内部の間隙水圧の自動観測を行った。観測の結果, 積雪期間中は間隙水圧が緩やかに上昇するのに対し, 各MR (a/o) に対する間隙水圧の応答は低くなるなど, 他のシーズンとは全く異なる変動を示すことが明らかになった。これらは, 積雪が浅層の地すべりに対して荷重として働き, 地すべり移動体内部の水文定数が変化したことを示すものと考えられる。
  • 崩壊の履歴とその拡大に関する研究
    永井 修, 中村 浩之
    2000 年 37 巻 2 号 p. 20-29_1
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    山梨県南西部に位置する “七面山大崩れ” は安政の東海地震 (1854) で大崩壊したという説が一般的であったが, 今回七面山と関連の深い日蓮宗久遠寺の古文書や文献を精査の結果, “七面山大崩れ” は1600年代には既に崩壊してきたことが明らかとなった。また “七面山大崩れ” は過去に発生した幾度かの地震や毎年の削剥を経て現在の地形に至ったものであり, 一度の地震をひきがねとした大規模崩壊ではない。特に毎年の削剥量は冬季における凍結融解によるものが大半であり, 七面山における特異な地形, 地質と南向き斜面の微気候が崩壊の拡大に影響している。
  • すべり面粘土との対比
    山崎 孝成, 眞弓 孝之, 由田 恵美
    2000 年 37 巻 2 号 p. 30-39_1
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2011/07/04
    ジャーナル フリー
    実際のすべり面粘土と対比するために, 高純度粘土鉱物のリングせん断試験を実施し, 以下の知見を得た。 (1) 残留強度はIllite φr'=14.5°>chloriteφr'=11.0°>sericite φr'=9.7°>montmorilonite φr'=3.8°。 (2) モンモリロナイトは膨圧と強度回復に相関がある。 (3) 残留強度は荷重変化にも関わらず, すべての試料で安定した値を示す。 (4) クロライトとセリサイトの混合試料はクロライトの含有率49%を境に遷移点があり, これを越えるとクロライトの残留せん断強度を示す。モンモリロナイトとイライトの混合試料はモンモリロナイト含有率が30%を越えるとほぼモンモリロナイトの残留せん断強度φr'=4.0の値を示す。 (5) すべり面粘土との対比では, クロライト・セリサイト混合試料が緑色岩類を起源とするすべり面粘土とほぼ同じ値を示し, 変成岩類起源のすべり面粘土残留強度の下限値を与える。モンモリロナイト・イライト混合試料は第三系の泥岩を起源とするすべり面粘土に良く対応し, モンモリロナイトの含有率に大きく影響を受けている。
  • 王 功輝, 佐々 恭二
    2000 年 37 巻 2 号 p. 40-47_1
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    本研究は, 水槽を用い, 降雨による斜面崩壊実験を行った結果, 以下のことが明らかになった: (1) 過剰間隙水圧は崩壊後のせん断中に発生したもので, 斜面崩壊の結果である; (2) 崩壊時, 斜面土層内の応力の変化を計測した結果, 自然の排水状態時でも完全な液状化が発生しうる; (3) 水槽の勾配, 試験材料, そして初期密度の違いは過剰間隙水圧の発生, 破壊モード, そして崩土の運動に大きく影響する。
  • 岩尾 雄四郎, 花村 修, 藤井 照久, 安藤 進一
    2000 年 37 巻 2 号 p. 48-54_1
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    1997年7月10日, 鹿児島県出水市で発生した土石流災害は斜面崩壊が元凶であり, 前日までの大量降雨が遠因と考えられた。しかし降雨量は極度な異常値ではなく, 地質的な素因としての断層の存在を指摘した。断層はリニアメントにも表れ, 水俣南断層群の存在が確認された。断層は正断層であり, 過去の崩積土が今回の斜面崩壊部分に合致していた。しかし最近の断層は横ずれであることが条線から確認された。電気探査からも断層は確認され, 地下水のダムアップをさせる構造になっていた。極度な異常値でもない降雨で斜面崩壊が起きたことは, 鹿児島県北西部地震で断層部分が緩んでいたとの推測も否定できない。
  • 佐々木 一郎, 新谷 融
    2000 年 37 巻 2 号 p. 55-61_1
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
    地すべり形態分類の運動要素となる地塊の平面的回転運動を検証するために, 兵庫県船木地区地すべり観測結果を分析した。当地すべり地は, 移動量が最大30cm程度であったが, 移動杭観測結果から主地すべり地塊, 引張変形地塊, 圧縮変形の3領域に区分され, 移動杭観測結果と孔内傾斜計観測結果により, それぞれの領域で平面的回転運動が認められた。当地すべり地は, 右側部が横ズレ徴候の雁行状亀裂となり, その延長線上で圧縮性隆起が顕著となる等の特徴が現れたが, これは, この左廻り平面的回転運動によって説明できる。従来, このような現象は捨象されてきたが, 各観測結果を評価し地すべり運動機構を検討するに当たっては, 平面的回転運動様式の認識は重要である。
  • Makoto OHKOUCHI, Takahiro SAITOH, Haruka ADACHI, Shigeru MIYAMURA
    2000 年 37 巻 2 号 p. 62-67_1
    発行日: 2000/09/15
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
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