日本下肢救済・足病学会誌
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最新号
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巻頭言
原著
  • 足立 里美
    原稿種別: 原著
    2019 年 11 巻 3 号 p. 129-132
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/26
    ジャーナル 認証あり
    近年,高齢化や生活習慣の変化により末梢動脈疾患(peripheral artery disease:PAD)は増加している.しかし跛行症状でPAD罹患の有無を評価することはむずかしく,早期発見,予防の重要性から考えるとスクリーニング検査の重要性は高い.今回,当院外来通院中の糖尿病患者388名を対象として,定期的に足関節/上腕血圧比(ankle brachial index:ABI)検査を行った.その結果ABI0.9未満で初めてPADを指摘された患者が16名(4.1%)みられた.循環器科紹介の結果,全例が血管狭窄を有しており,15名が治療された.この結果から無症候の糖尿病患者に対する定期的ABI検査がPADの発見・治療に貢献できる可能性が示唆された.また,PAD診断後の外来継続フォローが確実に行えている患者は,10名中1名であった.PADの治療中断の実態と定期的ABI検査がその予防の一助となる可能性が示唆された.
  • 渡部 祥輝, 河辺 信秀
    原稿種別: 原著
    2019 年 11 巻 3 号 p. 133-139
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/26
    ジャーナル 認証あり
    【背景/目的】足関節背屈可動域(DFROM)制限は糖尿病足病変の発症に関連するため,測定には正確性が求められる.本研究では3つの異なるDFROM測定方法の妥当性を検討した.【方法】対象は健常成人16名とし,評価者は経験年数の異なる理学療法士3名とした.評価者はゴニオメータを用いた方法,デジタル傾斜計を用いて加える力を一定にした方法(CM法),荷重下のランジ肢位での方法(ランジ法)で対象の最大DFROMを測定した.各測定と同時に三次元動作解析装置にて計測した結果を基準とし,3つの測定方法の基準関連妥当性を検討した.【結果】ゴニオメータ法では経験年数が長い評価者でのみ高い妥当性を示し,CM法,ランジ法ではすべての評価者で高い妥当性を示した.【結論】CM法,ランジ法では評価者の経験年数にかかわらず正確にDFROMを測定することができることが示された.臨床でのDFROM測定方法はCM法やランジ法が推奨される.
症例
  • 亀田 光宏, 松本 純一, 久保 和也, 榊 聡子, 村田 健児, 寺部 雄太, 大平 吉夫, 安藤 弘
    原稿種別: 症例
    2019 年 11 巻 3 号 p. 99-103
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/30
    ジャーナル 認証あり
    足関節背屈可動域制限があり潰瘍リスクがある重症下肢虚血(critical limb ischemia:CLI)患者に対し,低侵襲下選択的経皮アキレス腱延長術(minimally invasive technique for tendon achilles lengthening:MIT-TAL)を施行した治療経過を調査した.対象は,MIT-TAL施行・理学療法介入となったCLI患者7名とした.治療経過は,前足部足部潰瘍発生の有無,足関節背屈可動域,足底圧,足関節底屈筋力,歩行能力をMIT-TAL前・術後・術後12ヵ月に評価した.今回,MIT-TAL後12ヵ月で,経過を追跡できた症例では前足部潰瘍の発生を認めず,足関節背屈可動域や前足部足底圧異常も改善した.足関節底屈筋力はMIT-TAL直後より改善し,歩行能力は術前と同様もしくは改善した.CLI患者に対しMIT-TALは,潰瘍予防だけでなく下肢機能や歩行能力の長期予後において有効であった.
  • 東田 隆治, 大井 正也, 牧 昌利
    原稿種別: 症例
    2019 年 11 巻 3 号 p. 104-109
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/30
    ジャーナル 認証あり
    難治性下肢慢性創傷に対し,OASIS ®(ブタ小腸粘膜下組織)を使用した経験を報告する.症例1は53歳,男性.ストリッピング術後,3~4年の難治性右足背部潰瘍にOASIS ®を用い,1ヵ月で上皮化した.症例2は85歳,女性.4年前の伏在静脈血管内レーザー焼灼術後の難治性潰瘍にOASIS ®を用い,3ヵ月で上皮化した.症例3は90歳,女性.ストリッピング術後の再発する難治性下腿潰瘍に対し,OASIS ®を用いたが,感染を合併したためOASIS ®を除去し,植皮した.症例4は76歳,男性.末期腎不全,重症下肢虚血,ストリッピング術後で,左足背潰瘍と右足趾壊疽を合併していた.両側下肢動脈血行再建後に左足背潰瘍に対し,陰圧閉鎖療法とOASIS ®を併用し,創治癒が得られた.OASIS ®が慢性創傷の創治癒促進に有用性が示唆される症例を経験した.使用する際は感染の合併に注意が必要である.
ミニレポート
  • ~Pivot Pointを中足骨頭下に設定したRocker Soleを用いて~
    渡部 祥輝, 河辺 信秀, 林 久恵
    原稿種別: ミニレポート
    2019 年 11 巻 3 号 p. 110-115
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/30
    ジャーナル 認証あり
    【目的】ピボットポイント(PP)を中足骨頭(MTH)下に設定したRocker Sole(RS)が歩行中の下肢関節角度に与える影響について検討した.【方法】対象は健常成人男性10名とし,三次元動作解析装置にて歩行中の下肢関節角度を測定した.Post-Operative Shoes着用下での測定結果から踵離地(HO)時,つま先離地(TO)時の測定値の信頼性を検討したうえで,RS着用時(RS有)と非着用時(RS無)の下肢関節角度の変化を比較し,PPをMTH下に設定したRSの影響を検討した.【結果】HO,TO時の足関節背屈角度において2条件間に有意な差を認めなかった.RS有にてHO,TO時に膝関節屈曲角度が有意に減少していたが,最小可検変化量を超えた変化ではなかった.【結論】PPをMTH下に設定したRSは足関節背屈制限がない健常者の歩行時下肢関節角度に影響を与えないことが示された.
地方会抄録
編集後記
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