管理会計学 : ⽇本管理会計学会誌 : 経営管理のための総合雑誌
Online ISSN : 2434-0529
Print ISSN : 0918-7863
19 巻, 1 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
論文
  • 中井 誠司
    2011 年19 巻1 号 p. 3-15
    発行日: 2011/03/08
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究では,アナリストによる収益予想の変動要因として経営者予想の発表を検討した.その結果,経営者予想の発表はアナリスト予想の精度を向上させ,アナリスト予想の散らばりを減少させることが分かった.また経営者予想が事前のアナリスト予想との比較でネガティブ・サプライズの場合,アナリストは以前の経営者予想の精度を考慮した利益予想の改訂を行なうことが分かった.これらの結果は投資家がアナリスト情報を利用する際の基礎的情報を提供する.

  • 丹生谷 晋
    2011 年19 巻1 号 p. 17-34
    発行日: 2011/03/08
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー

    近年,企業の多角化が一段と進み,グループ内に事業のライフサイクルや事業特性が大きく異なる事業群が併存するようになったことから,グループ全体のマネジメント・コントロールはますます困難さを増している。グループ本社(CH)が多様な事業部門(BU)の経営状況を的確に把握しながら企業グループ全体の舵取りをしていくためには,グループ戦略の策定をはじめとするCHの機能強化と当該機能を遂行するだけのマネジメント能力の向上が求められている。CHの役割・機能は大きくグループ全体のマネジメント機能とサポート機能の二つに分類することができるが,グループの継続的な成長のためには前者の機能の強化が必要である。本稿では,当該機能を遂行するCHの能力をマネジメント能力と定義し,当該マネジメント能力について,筆者が2008年に実施した質問紙調査のデータに基づき仮説検証型の実証分析を行った。

  • 呉 重和
    2011 年19 巻1 号 p. 35-56
    発行日: 2011/03/08
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー

    本稿では,どのような状況の下で非財務指標を用いた報酬契約が企業価値を高めるという意味で有益であるのかを分析する.非財務指標は企業価値にポジティブな影響を与えるという証拠が実証研究において提供されている一方で,ネガティブな影響を与えるとする結果も報告されている.本稿では,複数の活動に従事する従業員の職場環境,および非財務指標で測定される活動が財務指標で測定される活動を補完する状況を同時にモデルに組み込み,非財務指標が企業価値にネガティブな影響を与えるメカニズムを解明することによって,報酬契約に非財務指標を導入することが有益となる条件を明らかにする.主要な結果の1つは,従業員に財務指標に加え非財務指標も用いた報酬契約を提示し,追加的に非財務指標が反映する活動をおこなわせることが望ましいかどうかは従業員の職場環境に依存して決まるというものである.その二は,同様の報酬契約を提示し財務指標が反映する活動に加えて非財務指標が反映する活動に対しても従業員の効率的な努力配分をおこなわせることが可能な状況においても,非財務指標を用いず財務指標のみを用いた方が望ましい可能性があるということである.後者については,非財務指標を導入しその指標が反映する活動をおこなわせることによって,財務指標が反映する活動が低下してしまう場合があるからである.

  • 山口 朋泰
    2011 年19 巻1 号 p. 57-76
    発行日: 2011/03/08
    公開日: 2019/03/31
    ジャーナル フリー

    本稿の目的は,経営者の実体的裁量行動に影響を与える要因を包括的に解明することである.具体的には,(1)売上操作,(2)裁量的費用の削減,(3)過剰生産という利益増加型の実体的裁量行動が,契約(①政府契約,(2)債務契約),証券市場(③成長性),利益ベンチマーク(④損失回避のインセンティブ),コーポレート・ガバナンス(⑤経営者交代,⑥経営者による株式保有,⑦金融機関による株式保有),会計的裁量行動とのトレードオフ(⑧会計上のフレキシビリティ,⑨監査の質)に影響を受けるか否かを検証する.分析の結果,上記3タイプの実体的裁量行動は,負債比率が高いほど,及び経営者交代前に増大し,規模が大きいほど減少することが示唆された.また,売上操作や過剰生産は損失回避のインセンティブによって促され,金融機関の株式保有比率が高いほど抑えられるという結果も得られた.裁量的費用の削減については,会計上のフレキシビリティが低いほど助長され,経営者持株比率が相対的に低い範囲と高い範囲では抑制傾向になり,経営者持株比率の中間範囲では促進傾向になることも示唆された.

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