福岡県の清水山で1960年11月から1970年5月までに採集した194頭を中心に, 福岡県の他の低地で1960年12月から1966年1月までに採集した70頭を加えて, 清水山はじめ福岡県亜山地帯下部のヒミズの繁殖についてのべた。
生殖器官は雌雄とも主に12月頃から肥大し, 1月には交尾期に入る。妊娠個体は1~4月にみられたが, 繁殖活動のピークは2月と判断された。これはこれまでに報告されているどの地方のそれよりもはやい。
シーズン中, 最もはやい妊娠例は1962年1月21日に, 哺乳例は1962年2月12日にえられた。また, 幼体の最もはやい出現は1965年3月27日であった。これらはいずれも清水山で採集されたものである。
採集個体の性比は, 清水山とその他の地域との間にほとんど差はなく, いずれも雄が多かった。全体で性比は100: 71.4で, 統計的に有意の差がみられた。
妊娠例の胎児は平均3.5であった。
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