日本経営診断学会論集
Online ISSN : 1882-4544
ISSN-L : 1882-4544
11 巻
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  • ―プラットフォームの構築手法を通して考える―
    辻 朋子
    原稿種別: 投稿論文
    2011 年 11 巻 p. 1-6
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/26
    ジャーナル フリー
    本論文の目的は共同体が組織化に向かうための法則を解き明かすことにある。関係やつながりを組み換えて価値を創り出す仕組みがプラットフォームである。本研究はS-Dロジックを用いてその構築手法の分析を進め,目的に迫る。まず組織化の必要条件として,コンセプチュアルスキル,テクニカルスキル,ヒューマンスキルの3分類を試みる。次に十分条件について受益者の互恵性を通して論じる。まとめでは社会性と経済性の統合を目的とする互恵の仕組みづくりが持続可能な共同体を組織化するための大きな原則であることを述べる。
  • ―プロトコル・データに基づく探索的検討―
    福田 康典
    原稿種別: 自由論題
    2011 年 11 巻 p. 7-12
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/05/26
    ジャーナル フリー
    本研究では,多くの消費者推論研究が依拠している主要な研究枠組みの特徴を整理し,その枠組みを通じて描かれてきた消費者推論とプロトコル・データを通じてフリーハンドで描かれた消費者推論との対比を行うことで,既存枠組みの問題と将来の研究方向を検討した。検討の結果,既存の研究枠組みは考察対象となる属性次元や情報処理プロセスが限定されており,それを通じて研究される消費者推論は実際の推論に比べると過度に統制されたものであることが明らかになった。消費者推論が本来持つクリエイティブな側面を考察するためには,概念や研究領域の拡張とともに,定性的な分析手法も含めた方法論上の拡張も必要であると考えられる。
  • 横山 淳一, 山本 勝, 永井 昌寛
    原稿種別: 自由論題
    2011 年 11 巻 p. 13-19
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/20
    ジャーナル フリー
    パソコンやインターネットの普及に伴い,医師会事務局の情報化は着実に進展している。しかしながら,情報化の効果として期待されている,医師会事務局における情報発信業務の効率化,省力化,紙メディアによる情報発信の減少などの効果が不明瞭である。本研究では,医師会事務局における情報化の効果を評価・診断するために,「ペーパーレス」をキーワードに分析を試みる。特に対象業務を,全国のどの医師会でも実施している「理事会開催」業務として,情報化およびペーパーレス化の進展状況を分析する。
  • 中丸 宏志
    原稿種別: 投稿論文
    2011 年 11 巻 p. 20-26
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/20
    ジャーナル フリー
    近年のエレクトロニクス製品において,自社の革新技術を基に顕在的ニーズを満たす「技術的イノベーション」ではなく,異業種に埋もれた既存技術を寄せ集めて製品開発をマネジメントし消費者の潜在的ニーズを創出する「ポットラック・イノベーション」による製品が現れた。そのアーキテクチャを考察すると「設計インテグラル・組立製造モジュラー」という特徴が見られ,水平的・垂直的な業界内の取引によるものではなく,製品を構成する主要な既存技術が普及段階に入る前のタイミングで異業種など非関連企業から採用されている。考察より,多額の投資を必要としないポットラック・イノベーションの製品開発戦略における意義を提言する。
  • 吉田 精規
    原稿種別: 事例研究
    2011 年 11 巻 p. 27-33
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/20
    ジャーナル フリー
    2002年10月,「金融再生プログラム」が発表され,金融機関の事業再生や不良債権処理の道が示されたが,いわゆるメガバンクとは異なる特性を持つ地域金融機関(信用金庫・信用組合など)には独自のプログラムが必要だとして,2003年3月,金融庁・金融審議会金融分科会第二部会報告書「リレーションシップバンキングの機能強化に向けて」(以下報告書という)が提出された。今回は,これに沿って地域金融機関が実施している経営改善支援と,あわせて近年の不況やリーマン・ショック,海外生産など厳しい状況にあるなか,なんとか頑張っている小規模製造業の財務状況を報告する。
  • ―時間志向の差異がもたらす組織の学習障害―
    藤川 なつこ
    原稿種別: 投稿論文
    2011 年 11 巻 p. 34-40
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/15
    ジャーナル フリー
    組織学習が行われるためには,個人レベルから集団レベル,さらに組織レベルへと学習が進展しなければならないが,その過程に断絶が生じ,組織学習は往々にして阻害されている。したがって,本論文では,組織学習が組織全体に波及しない原因を,組織内の部門間および階層間に生じる時間志向の差異の観点から解明し,さらに,このような組織の学習障害を克服するための方途を,組織デザインの視点から考察する。
  • ─兵庫県北播磨釣針産地の事例─
    鴻 雅行
    原稿種別: 大学院生コーナー
    2011 年 11 巻 p. 41-47
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/15
    ジャーナル フリー
    釣針生産は兵庫県北播磨地域の地場産業で,国内釣針メーカーのほとんど(約100社)がこの地域に集中している。この北播磨地域で生産される釣針(ブランド名「播州針」)の全国シェアは約9割を占め,またJAPANブランドとして世界の八十数カ国に輸出をしている。こうした釣針に特化した産地は世界的にも類例がなく希有なものである。それでは,なぜこのような特異な集積地が形成されたのだろうか。本稿はこの北播磨釣針産地のブランド構築を明らかにするとともに当集積地の競争優位を探る。
  • 加納 寛之
    原稿種別: 大学院生コーナー
    2011 年 11 巻 p. 48-54
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/15
    ジャーナル フリー
    環境負荷の削減,特に二酸化炭素の排出抑制が企業に強く求められているが,企業の取り組みの程度には大きな差がある。このような状況から脱し,多くの企業が効果的な環境対策を進めていくためには,取り組みの状況とその効果を把握し,計画的に取り組みを進めていく必要がある。そこで本研究では,取り組み状況や効果を把握するための情報源として環境報告書に着目し,環境報告書からグリーンロジスティクスに関係する情報の抽出と分析や,グリーンロジスティクスの取り組みを評価する手法について検討を試みた。これにより,企業の環境対策の状況や推移を比較する方法を提案するとともに,環境報告書を活用して評価を行うことについて,問題点と課題について明らかにした。
  • ―青森県における実態調査結果をもとに―
    永井 昌寛, 山本 勝, 横山 淳一
    原稿種別: 自由論題
    2011 年 11 巻 p. 55-62
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/15
    ジャーナル フリー
    保健・医療・福祉包括ケアシステムを構築・運用し,保健・医療・福祉サービスを住民に適切に提供するには,都道府県ならびに市町村による運用計画の策定・実施・評価・見直し,関連施設の調整・支援,住民の参加への啓発活動など多くの重要な課題がある。そのなかで市町村は,現場の状況を踏まえて包括ケアシステムが適切に推進されるように地域住民および保健医療福祉施設の調整・啓発・支援を行うなどの課題を有している。本研究では,市町村自治体を対象に実施した保健・医療・福祉包括ケアシステムに関する意識実態調査結果をもとに,保健・医療・福祉包括ケアシステムに関する現状と意識について市町村規模別に分析し考察を行っている。
  • 庄司 真人
    原稿種別: 自由論題
    2011 年 11 巻 p. 63-68
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/15
    ジャーナル フリー
    近年,企業と顧客の役割のとらえ方を見直す必要性が議論されてきている。企業だけが価値を生み出すのではなく,企業と顧客が共に価値を創造するという価値共創が注目されている。サービス・ドミナント・ロジックでは,顧客を価値の創造者として拡張することによって,顧客の持つ価値創造性について考察している。しかし顧客の価値創造の視点については十分に議論されていない。そこで,本稿では,経営診断という視点で,顧客の価値創造の役割について概念的に考察し,生み出される価値の問題,顧客の価値への関わりが価値創造で中心となることを提示する。
  • ―「再意味化」を鍵として―
    小森谷 浩志
    原稿種別: 大学院生コーナー
    2011 年 11 巻 p. 69-75
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/15
    ジャーナル フリー
    質の異なる変化が加速化し,社会・経済的状況の不確実性がますます増加している現在,企業にとってのよりどころとしての経営理念の重要性が,一層増しているように見受けられる。筆者は2005年から2009年にかけ,4社の経営理念に関する助言業務を行った。そのなかで特に主題となったのが,浸透に関することである。本稿では,経営理念の策定から浸透の取り組みにおいて何が要点になるのか検討した。結果,経営理念の策定,現場での実践,節目といったおのおの3段階での問いかけと振り返りによる,“再意味化”を組み込むことの重要性が確認できた。“再意味化”は問いかけと振り返りにより促進された。そして,“再意味化”することで,経営理念が磨かれ,エネルギーが吹き込まれた。経営理念自体が目的であるとともに,経営をより良くしていく有効な手段として生かされている状態になり,共有化に進み結果として浸透の道筋が見えた。
  • 田村 隆善, 小島 貢利
    原稿種別: 自由論題
    2011 年 11 巻 p. 76-82
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/15
    ジャーナル フリー
    生産管理システムがうまく機能していないと感じている製造企業が多い。製品や資材の在庫が多い,納期遅れが頻発する,資材が納期どおりに入ってこないなどで悩んでいるわけである。これらの問題は,生産管理における二つの機能である生産計画と生産統制だけでは解決できず,これら2機能に加え,販売と設計と調達と製造といった各部門の利害を調整する機能が重要であると指摘し,生産管理は,調整・生産計画・生産統制の3機能によって顧客ニーズを満たし,効率的生産を実現して会社全体の利益を確保・向上させる管理活動であるとの新しい定義を提案する。この定義のもとで,生産管理システムの診断と改善のステップを提案し,そのなかで調整機能が重要であることを例示する。
  • ―経営のリテラシー教育,および起業家教育の組み合わせ―
    八杉 哲
    原稿種別: 自由論題
    2011 年 11 巻 p. 83-89
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/15
    ジャーナル フリー
    今日の工学教育は,グローバルな視点でみても急激な社会の変化に対応できていないと多くの識者から指摘され続けてきた。各国は,国際競争力涵養の立場から,また経済成長の原動力として技術力を重視する状況において,工学教育を社会の変化に追随させるべくさまざまな取り組みが行われている。本考察では,経済・経営の知識に疎い技術者に対して短期間に座学と実学を組み合わせ,起業家や経営者としての資質を形成するための効果的な教育内容を検討した。一つの知見として,経営のリテラシー教育と起業家教育を組み合わせることで教育効果が生まれることを提示し,プリテストとして,アンケート調査と事例分析を行った。
  • ─CSR/社会貢献活動の二つの分析フレームワークに基づく分析─
    角 和宏
    原稿種別: 大学院生コーナー
    2011 年 11 巻 p. 90-96
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/15
    ジャーナル フリー
    2008年の世界同時不況以降,CSR活動を見直す企業も多い。特に企業の本業と関連が低い地域貢献活動は,存続が危ぶまれている。本稿では,先行研究に基づいて定義した二つの分析フレームワークを用いて,地方企業における地域貢献活動の特徴と発展可能性について,三つの視点から分析を試みた結果を論じる。この分析は,全国規模で活動しているベンチマーク(BM)企業13社と,今回新たに抽出した地方企業44社で実施された地域貢献活動を比較して行った。 結果,地方企業における地域貢献活動は,BM企業よりも,本業と関連づけて積極的に行われており,今後,活動頻度の増加,あるいは,業種を越えての展開など,発展する可能性を確認できた。
  • ─日本・ベトナム・中国3カ国の大学生の意識は異なっているのか─
    加藤 里美
    原稿種別: 自由論題
    2011 年 11 巻 p. 97-102
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/15
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は,日本,ベトナム,中国における大学生の企業の社会的責任(CSR)の意識を明らかにすることにある。具体的には,ベトナム,中国の大学生への質問紙調査をもとに,加藤(2008)による日本の大学生との比較を行うことで,CSRの重要度や優先度,企業選択にCSRを果たすことを重要に考えている大学生のCSRへの考え方について,3カ国の大学生の意識が異なっているかどうかを明らかにした。データ上の限界もあるが,本稿での結果は,3カ国の大学生のCSRへの意識は異なっている項目が多かった。今後の課題としては,対象範囲を広げてさまざまな切り口からの分析を行う必要があるだろう。
  • 小島 貢利, 田村 隆善
    原稿種別: 自由論題
    2011 年 11 巻 p. 103-109
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/15
    ジャーナル フリー
    近年の温暖化,都市化の影響により,ヒートアイランド現象は,都市生活者にとってより過酷なものとなっている。特に,都市中心部においては,自動車の大量流入による排気ガス放出や周辺建物のエアコン排熱などがさらなる温度上昇を招き,街を歩く人々にとってきわめて不快な環境を作り出している。本研究では,バスに代表される交通機関に,微粒子のミストの散布機能を備えさせ,歩行者の多い市内中心部や市内の大通りを中心に,選択集中的に散霧を行い,快適な都市生活環境を提供することを提案する。このシステムを導入することにより,比較的容易な方法で都市中心部の温度上昇を軽減することが期待される。
  • ─山梨県大月市の郷土料理を事例として─
    佐藤 茂幸
    原稿種別: 自由論題
    2011 年 11 巻 p. 110-116
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/06/22
    ジャーナル フリー
    本論の目的は,大月市の郷土料理である「おつけだんご」を事例にして,持続可能な地域活性化のモデルを提示することにある。そのために,B級グルメ大会で優勝実績のある「富士宮やきそば」と「厚木シロコロ・ホルモン」の活動を参考に,食による地域活性化の成功要因を整理することから始めた。そしてその成功要因を前提に,B級グルメ大会の出場結果から,大月市の郷土料理の検証を行った。こうした検証結果を踏まえ,大月市を活性化させるためのスローフードをベースにした地域ブランドの構築に関わるモデルを新たに提示する。
  • 栢木 健一, 横山 淳一, 山本 勝
    原稿種別: 大学院生コーナー
    2011 年 11 巻 p. 117-123
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/06/22
    ジャーナル フリー
    2005年6月に介護保険制度の見直しが図られ,介護保険制度は「介護予防重視型システム」へと転換された。そして,その担い手として「地域包括支援センター」が創設された。地域包括支援センターは地域住民の保健医療の向上および福祉の増進を包括的に支援することを期待され,地域における包括的・継続的なケア体制の構築を求められている。しかし,その取り組みには地域(センター)間で差があると指摘されている。本研究では,その要因として,要支援者を対象とするケアマネジメント業務が他の業務を圧迫しているとの仮説から,業務実施体制に着目し,ケアマネジメント業務の業務時間・業務件数について分析・考察を行う。さらに,今後のケアマネジメント業務実施体制について提言する。
  • 海野 進
    原稿種別: 投稿論文
    2011 年 11 巻 p. 124-130
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/06/22
    ジャーナル フリー
    地域の将来を見すえた経営戦略に基づいて経営(マネジメント)していくという地域経営の診断においては,地域運営において重視されてきた事業分野の視点や地域の視点に加え,企業経営の基本である経営機能の視点が重要である。地域経営(広義のマネジメント)の経営機能としては,マネジメント(狭義),アクティビティ,マーケティング,アカウンティングという四つの機能が挙げられる。これら三つの視点を明確に位置づけて,トータルに地域経営を診断していくことが必要である。
  • 海野 進
    原稿種別: 投稿論文
    2011 年 11 巻 p. 131-137
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/06/22
    ジャーナル フリー
    地域経営においては,従来,人口,人口伸び率,課税対象所得額などが成果指標とされてきた。しかし,人口減少時代の地域の発展において,維持可能な発展が求められ,生活の豊かさや楽しさに焦点を当てていくことが必要となってきている。このため,地域経営の成果指標としては,地域顧客満足度,地域顧客価値度を基本的指標としていくことが重要である。二つの市における市民意識調査結果を元に考察をしてみると,地域顧客満足度・地域顧客価値度による地域経営において時の経過に伴う変化の分析が重要であること,地域顧客満足度・地域顧客価値度が地域構造の把握に有効であることなどがわかった。地域顧客満足度・地域顧客価値度は,今後の地域経営に大変有効であると言える。
  • 鴻 雅行
    原稿種別: 投稿論文
    2011 年 11 巻 p. 138-144
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/06/22
    ジャーナル フリー
    本稿は,神戸洋菓子に関する消費者のブランド認知と嗜好について考察する。神戸洋菓子は,神戸地域を代表する地域産業の一つで,日本の主だった洋菓子メーカーがこの地域に立地する。では神戸洋菓子のブランドは,どのように地域の消費者に認知され,意識されているのか。これについて関西圏の居住者を中心にアンケート調査を実施した。その結果,主要な洋菓子ブランドの認知度は8割を超えており,ブランドの認知度と購買率には強い相関がある。地域の消費特性としては,「ブランド」よりも「味」を重視する実質本位の傾向が見られた。
  • Vera Trukhina
    原稿種別: 大学院生コーナー
    2011 年 11 巻 p. 145-150
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/06/22
    ジャーナル フリー
    グローバル化経済では,企業の間で厳しい競争がある。この状況で,原価の削減対策を取る必要性が発生する。伝統的原価計算では,間接費の配賦の問題がある。正確な原価計算をする活動基準原価計算を,コスト・プールとコスト・ドライバーで評価するターニー(P. B. B. Turney)のモデルを解明し,さらに非付加価値を評価に加えたブリムソン(J. A. Brimson)の研究成果を論述する。正しい活動評価は正しい意思決定に役立ち,特に非付加価値の排除と,コスト・ドライバー・レートの低減は製品原価に価格競争力を高める。
  • 庄司 真人
    原稿種別: 自由論題
    2011 年 11 巻 p. 151-156
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/06/22
    ジャーナル フリー
    本発表はチェーン組織をとる小売業に対するアンケート調査を基にして,顧客関係管理と市場志向との関係について考察するものである。市場志向尺度についてはさまざまな議論があるが,顧客関係管理と関連性が高いと考えられる「情報発生,情報伝播,対応」に関する尺度を利用し,それらと顧客識別,顧客重視,データ活用,従業員教育,それから関係成果との関係について考察している。これらの関係を統計的に分析した結果,市場志向と顧客関係管理には高い関連性が見られることがわかった。
  • 楊 雯雯
    原稿種別: 大学院生コーナー
    2011 年 11 巻 p. 157-163
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/03/02
    ジャーナル フリー
    中国における中小企業は2回にわたる中小企業大発展を経て,迅速な発展を遂げてきた。2002年,「中小企業促進法」の公布によって,中国の新たな経済成長に伴い,中小企業の発展が期待されていた。一方,著しい発展を遂げてきた現在,中国における中小企業が抱えている問題も山積している。中国経済の発展,社会の安定に大きく貢献してきた中小企業は非常に厳しい現状に直面している。特に大きな問題の一つは資金調達問題である。本稿はこの資金調達問題に着目し,先行研究レビューを行ったうえで,ケーススタディーに基づき,中国中小企業の資金調達の現状と課題を確認し,企業の立場からその解決方法について考察することを目的とする。
  • 上原 義子
    原稿種別: 大学院生コーナー
    2011 年 11 巻 p. 164-169
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/03/02
    ジャーナル フリー
    近年の多くの研究では,付加価値戦略としてブランド付与や経験価値,物語性の付与を行う重要性が説かれている。だが,例えば,伝統的商品である椿油にはこうした戦略が見られない。本稿では,こうした商品に対する消費者の視点に接近することで,新たなマーケティングの方向性を探索している。具体的には,近年になって改めて注目されている伝統的商品に着目し,それに関する消費者の着眼点への接近を試みた。調査では,インターネット口コミサイトに集められている椿油の感想に対してテキストマイニングを実施した。
  • 田中 隆世司
    原稿種別: 自由論題
    2011 年 11 巻 p. 170-177
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/03/22
    ジャーナル フリー
    医薬品の研究開発は,生命科学の発展により医薬品技術や開発プロセスが低分子医薬からバイオ医薬へと大きくシフトした。その結果,製薬企業は,過去に蓄積してきた知識や技術を活かせなくなり,外部資源を導入し新薬を創出する手段をとらざるを得なくなっている。しかし,外部資源に依存することは,資源依存理論の観点から言えば,他組織にコントロールされる危険性があるため,外部資源の導入は最小限に抑え,より効率的な戦略をとることが重要であると考えられる。本稿では,製薬企業の視点から,他の製薬企業,他のバイオベンチャーとの技術移転ネットワークに着目し,そのネットワーク構造を分析,比較することにより,医薬品開発における有効な戦略的パートナーシップのあり方について検討する。
  • 塩見 浩介
    原稿種別: 大学院生コーナー
    2011 年 11 巻 p. 178-182
    発行日: 2011年
    公開日: 2013/07/26
    ジャーナル フリー
    本論文の目的は,部品少数化手法導入の阻害要因を設計部門を中心として分析し,部品少数化手法導入のための検討条件について再考察することである。部品少数化手法導入のメリットとして,製造原価低減が一つの効果として挙げられる。一般的ともいえる部品少数化手法のメリットであるが,実務上,導入前にその効果を証明することは難しい場合が多い。そこで本論文では,部品少数化手法導入時の阻害要因を挙げ,その分析結果をもとにした部品少数化手法導入のための条件について考察を行う。
  • 清水 恵一
    原稿種別: 投稿論文
    2012 年 11 巻 p. 183-188
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/07/26
    ジャーナル フリー
    本論文のねらいは,提携の概念とパースペクティブについて考察を加え,統合化を試みることにある。具体的には,第1に,提携の定義や種類を明らかにしている。第2に,提携の動機としてのパースペクティブについて考察を行っている。ここでは特に,従来議論されてきたパースペクティブの類型化が中心となっている。第3に,パースペクティブに基づいた提携を行う利点や欠点について明らかにしている。本論文は,こうした作業を通じて,提携の全体像を再構築するとともに,今後の実証研究に向けた一助とする。
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