日本経営診断学会論集
Online ISSN : 1882-4544
ISSN-L : 1882-4544
9 巻
選択された号の論文の28件中1~28を表示しています
統一論題
  • 菅原 浩信
    原稿種別: 統一論題『マイクロファームによる地域産業振興(2008)』
    2010 年 9 巻 p. 5-10
    発行日: 2010/02/15
    公開日: 2011/01/20
    ジャーナル フリー
    本稿では,コミュニティの活性化に寄与するグラスルーツ型組織が,どのように形成され,どのように運営されているのかについて分析を試みることにより,グラスルーツ型組織がコミュニティの活性化に寄与するには,どのようなマネジメントを展開すればよいのかについて検討を行った。その結果,グラスルーツ型組織がコミュニティの活性化に寄与するために展開すべきマネジメントには,(1)自ら率先して活動に取り組むリーダーの存在,(2)コミュニティの問題解決という目的設定,(3)メンバー間でのミッションの共有,(4)メンバーに対する緩やかなコントロールという 4点が必要であることが明らかとなった。
  • 富田 茂, 後藤 時政, 近藤 高司, 鈴木 達夫
    原稿種別: 統一論題『マイクロファームによる地域産業振興(2008)』
    2010 年 9 巻 p. 11-16
    発行日: 2010/02/15
    公開日: 2011/01/20
    ジャーナル フリー
    ものづくりを行う大企業では,3次元CAD(CAD/Computer Aided Design)システムを用いたデジタルエンジニアリングによって,開発速度を速め,同時に情報の一元化を行っているが,部品などの製造工程を受け持つこととなる中小企業では,大企業から受注する製作案件について,互換性のある3次元CADデータを取り扱わなければならない。しかしながら,中小企業が高価な3次元CADシステムを配備する際には,採算性などを勘案した経営判断を要する。本研究では,地域に仮想CADセンタを設立することで,ものづくりを行っている中小企業が3次元CADシステムを共用し,大企業各社から設計情報として3次元CADデータを受け取るビジネスモデルについて考察し,中小企業の効果的な3次元CADシステム導入の方法について提案する。
共同プロジェクト研究
  • 高橋 昭夫, 上原 義子
    原稿種別: 共同プロジェクト研究
    2010 年 9 巻 p. 19-22
    発行日: 2010/02/15
    公開日: 2011/01/20
    ジャーナル フリー
    デルファイ法を用いた投影技法的な調査によって,QOLモデル構築のための定性的接近を試みた。通常のデルファイ法を用いた先行研究は,その多くが未来予測の結果を探ることを目的としており,意見を収斂させて,その議論の終着点に着目する。だが本研究では,終着点よりもむしろ議論が収斂(場合によっては拡散) されていく変化過程そのものに着目し,そこからのインプリケーションを探った。その結果,回答者がいくつかのグループに分けられることや意見に変化プロセスがあることが見いだせた。つまり評価を下す環境やタイミングによってその評価自体にも刻々と変化が生まれていたことが明らかになった。本研究ではこうした作業を通してQOLモデル構築のための定性的接近を試みている。
自由論題
  • 古川 勝
    原稿種別: 自由論題
    2010 年 9 巻 p. 25-33
    発行日: 2010/02/15
    公開日: 2011/01/20
    ジャーナル フリー
    江戸時代の家庭配置薬業振興を起源として,富山には,日本海側最大規模の産業集積が形成された。家庭配置薬業のビジネスモデルは,現在,モンゴル国において成功を収めている。一方,我が国の保健医療分野では,取り組むべき課題が山積している。本稿では,家庭配置薬システムの成功要因に焦点を当て,①途上国のプライマリ・ヘルスケア実現に向けたソーシャルビジネスとしての有効性,②ICT活用による有効性の向上,③高齢化が進む我が国の日常生活圏における医療サービス向上策としての可能性を明らかにするとともに,④個人単位のセルフ・メディケーションから住民が相互に助け合うコミュニティをベースとしたメディケーションへと発展させることの重要性を提唱する。
  • ―緩やかなつながりの医療グループからの考察―
    石井 圭介
    原稿種別: 自由論題
    2010 年 9 巻 p. 34-39
    発行日: 2010/02/15
    公開日: 2011/01/20
    ジャーナル フリー
    システムを構成する各部分間の結合が弱く,それぞれの部分が比較的独立して動作するルースリー・カップルド・システム(LCS)の特性・属性について考察を行う。この緩やかにつながった組織の事例として,同一のビル内にテナントとして入居した35の診療所等からなる“エスエル医療グループ”をとりあげる。当グループの組織的な特異性や独自の組織の結合と維持のメカニズムなどについて調査・取材を基に検討する。参加している診療所(院長)・医療グループおよび患者の各々の利点や利便性が戦略的価値を生み出し,様々な問題点も有しているものの,この3者の思惑や利害が一致していることが環境へ適合し繁栄の主要因であることを明らかにする。
  • 宮本 博文
    原稿種別: 自由論題
    2010 年 9 巻 p. 40-45
    発行日: 2010/02/15
    公開日: 2011/01/20
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,映像コンテンツ産業における企業経営の方途を示すことである。文献調査並びにヒヤリング調査による論考の結果,以下の結論を導くことができた。(1) 映像コンテンツ産業は集団凝集性に過度に依存した旧来の閉鎖的な体質からの脱却を図ることで,グローバル経済下における競争力の強化を図る必要がある。(2) その端緒としてCSR の実践を経営理念に掲げつつ,積極的に異業種との交流を進めることが望ましい。(3) 映像コンテンツ産業と異業種企業の交流に際しては,双方が異文化経営に意を用いるべきである。
  • 中井 透
    原稿種別: 自由論題
    2010 年 9 巻 p. 46-52
    発行日: 2010/02/15
    公開日: 2011/01/20
    ジャーナル フリー
    近年,中小企業,特に小規模企業において,後継者不足を中心に,事業承継の問題が耳目を集めている。そこで本稿では,小規模企業の事業承継における意思決定要因を,企業価値という分析視角を取り入れることによって明らかにしようと試みた。その結果,事業承継か廃業・清算かの意思決定問題については,企業価値を構成する要因の中で,資産価値よりも収益価値が良好な状態の企業の方が事業承継される確率が高いことが明らかになった。また,事業承継先については,負債を有しており,超過収益力をもたらす相対的な強みがなく,従業員規模が小さく,経営者の在任期間が長い企業において,親族間承継となる確率が高いことが明らかになった。
  • 山本 勝, 田川 元也
    原稿種別: 自由論題
    2010 年 9 巻 p. 53-58
    発行日: 2010/02/15
    公開日: 2011/01/20
    ジャーナル フリー
    住民のQOL向上を目的とした地域保健・医療・福祉分野(地域包括ケア分野とも呼ぶ)における各種システムづくりを,効果的かつ効率的に推進していくためのシステム化推進手順,すなわち,システムズ・アプローチ (Systems Approach)について考察および提言を行う。特に,「人が人を支える」地域保健・医療・福祉分野におけるシステム特性と制約条件等を配慮したユニークなシステム化推進方策並びに推進手順(システムズ・アプローチ)等について,システム・マネジメント論の立場から考察するとともに,具体的なシステム化推進手順を提案並びに適用・評価する。
  • ~青森県における施設連携意識と連携状況から~
    永井 昌寛, 山本 勝, 横山 淳一
    原稿種別: 自由論題
    2010 年 9 巻 p. 59-65
    発行日: 2010/02/15
    公開日: 2011/01/20
    ジャーナル フリー
    住民にきめ細やかな保健・医療・福祉サービスを提供していくために,地域保健・医療・福祉包括ケアシステム(以下,「包括ケアシステム」と呼ぶ) を市町村単位で構築・運用していくことが望まれている。そして,地域(市町村) に適した包括ケアシステムを構築するためには,地域包括ケアシステムの現状と推進状況を適切に評価し,継続的な改良を進め,さらに良いシステムへと発展させていく必要がある。そこで,本研究では,地域包括ケアシステム構築に向けて,青森県において保健・医療・福祉サービス提供者を対象に実施した地域包括ケアシステムに関する意識実態調査結果をもとに,地域(市町村) 別による地域包括ケアシステムの分析を行っている。
  • ―イギリスのタウンセンターマネジメントと小売開発規制からの示唆―
    南方 建明
    原稿種別: 自由論題
    2010 年 9 巻 p. 66-71
    発行日: 2010/02/15
    公開日: 2011/01/20
    ジャーナル フリー
    わが国では,大型店の郊外出店や公共施設の郊外移転などの要因で,中心市街地の疲弊が進んだ。イギリスでも,サッチャー政権における開発主導型の都市政策の下で,ショッピングセンターなど郊外開発が進み,中心市街地の疲弊が深刻化した。しかし,イギリスでは1990年代後半以降,中心市街地への小売開発の誘導,BIDによる中心市街地活性化という点において成果をあげている。イギリスの政策を直ちにわが国に適用することは,都市計画制度や地方自治制度の相違などの面で困難であるが,日本版BIDについてはイギリスのBID 制度にならって今後検討をすすめる必要がある。
  • ―コンジョイント分析を用いた探索的研究―
    加藤 里美
    原稿種別: 自由論題
    2010 年 9 巻 p. 72-78
    発行日: 2010/02/15
    公開日: 2011/01/20
    ジャーナル フリー
    加藤(2007) の研究結果によると,大学生の企業選択において仕事の属性の重要度は,場所,年収,安定度,福利厚生の順であった。大学生は,これらの企業選択要因をどのように検討し,意思決定を行うのであろうか。本論文では,大学生の就職時における企業選好に,個人の価値観がどのように関連しているか,コンジョイント分析を用いて,探索的研究を行った。結果は,大学生の属性ごとに,「場所」,「規模」,「金銭的要因」,「福利厚生」に違いがあるわけではなかった。大学生は地元志向が強く,年功要素が強いことを重要と考えていた。特に,社会的価値志向性の要因である経済志向性の高い大学生ほど実力主義ではなく年功要素を重要と考えていた。
  • 横山 淳一, 山本 勝
    原稿種別: 自由論題
    2010 年 9 巻 p. 79-84
    発行日: 2010/02/15
    公開日: 2011/01/20
    ジャーナル フリー
    本論文において,著者らは個人の生活習慣に関心を喚起するための生活行動記録システムを提案し,携帯電話で利用できるシステムのプロトタイプを開発した。生活行動記録システムは,食事や飲酒といった生活習慣に関わる行動について,利用者がそれらの行動を行う度にボタンを押すことで,時間および行動内容を記録するものである。本論文では,11名の大学生を対象に生活行動記録システムを利用する11日間の実証実験を行った。その結果,システム利用前と利用後で健康に対する関心および生活習慣に対して有意な向上が見られた。以上のことから,本システムが個人の生活習慣を見直すきっかけとなる有効性が示唆された。
  • 田村 隆善, 小島 貢利
    原稿種別: 自由論題
    2010 年 9 巻 p. 85-90
    発行日: 2010/02/15
    公開日: 2011/01/20
    ジャーナル フリー
    トヨタ自動車(株)の元生産調査部部長の田中正知氏が提案する「Jコスト」について考察する。「Jコスト」は,棚卸資産など流動的でない資金を一定期間保持することによる機会損失を適切に評価することを意図し,そのための新しいコスト概念として提案されたものである。また,「Jコスト」を用いて会社の評価指標が定義され,それらを含めて「Jコスト論」と呼ばれている。しかし,ここで定義される評価指標を棚卸資産に適用するとき,その解釈に関して重大な疑義がある。本研究では,この点について議論するため,「Jコスト」の意味,ならびに棚卸資産に関する「収益性評価指標」について,数値例を用いて論理的考察を行い,「Jコスト論」の問題点について論究する。
  • 酒井 理
    原稿種別: 自由論題
    2010 年 9 巻 p. 91-97
    発行日: 2010/02/15
    公開日: 2011/01/20
    ジャーナル フリー
    日本における農産物流通は,卸売市場における取引を基盤に成り立っているが,消費者の食品に対する安全,安心ニーズあるいは農産物に対する多様なニーズ,生産者のこだわりの農産物の生産流通のチャネルとしては十分に機能することが難しい。本稿では,消費者の安全性に対するニーズに応えながら,できる限り効率的に農産物が流通するシステムの成立可能性について検討した。具体的には,新たな流通システムのプロトタイプとなる直接取引のモデルを示した。直接取引の成立可能性を検証した結果,農産物生産者が直接取引モデルに参加するためのインセンティブが与えられないということが明らかとなった。小売業においては,卸売市場を通さないことでさまざまな作業コストが生まれるが,その一方で,流通マージンの支払いが発生しないため,損失に見合うだけの利益を得ることができないことから,農業生産者にインセンティブを与えることが当モデル成立の鍵となるという結論を導いた。
  • 小島 貢利, 田村 隆善
    原稿種別: 自由論題
    2010 年 9 巻 p. 98-102
    発行日: 2010/02/15
    公開日: 2011/01/20
    ジャーナル フリー
    ジャストインタイム(JIT)は,「必要なものを,必要なときに,必要なだけ生産する」思想として,特にものづくりの分野で,高品質,低価格,迅速な生産を実現する上で,大きな影響を与えてきた。自動車業界において,JIT 生産システムを採用した企業が世界の頂点を極めた。さらに,JIT はものづくりの分野に限らず,先端技術を応用した製品,サービスや社会システムなど,様々な分野に応用されている。本研究では,JIT の観点で必要とされるであろう,製品やサービスなどに関して紹介し,JIT の応用分野や今後の発展性に関して説明する。さらに,JIT を推し進めることで,今後顕在化するであろう,社会的な問題に関しても言及する。
  • 庄司 真人
    原稿種別: 自由論題
    2010 年 9 巻 p. 103-108
    発行日: 2010/02/15
    公開日: 2011/01/20
    ジャーナル フリー
    顧客ロイヤルティを高めることは現代企業にとって重要な目標の一つである。ロイヤルティを分析する視点として「推奨」の程度が提唱されている。本稿では,推奨するという行為ではなく,推奨する「内容」によって顧客ロイヤルティの程度が異なるという視点から分析を行った。調査では推奨する内容を自由記述によりテキストデータとして収集し,それと顧客ロイヤルティの尺度を組み合わせて,推奨内容と顧客ロイヤルティとの関係について分析した。その結果,「安い」「品質」といった項目は回答頻度が高いが,ロイヤルティの高低とは関係が見られないということ,「豊富」という品揃えやサービスの充実に関係する項目がロイヤルティの高い顧客で見られた。
  • 須田 孝徳
    原稿種別: 自由論題
    2010 年 9 巻 p. 109-114
    発行日: 2010/02/15
    公開日: 2011/01/20
    ジャーナル フリー
    大学発ベンチャーの設立は,大学の社会貢献の評価の一つとして認知されつつあり,地域経済におけるイノベーションの核として大きく期待されている。本論文では,大学発ベンチャーの置かれている環境について整理するとともに,地域における役割ついて考察した。大学発ベンチャーは,先端技術を基に事業化を行っている場合が多いため,博士課程修了者等の高度人材の就職先として機能できる。そして,就職先の大学発ベンチャー自身が成長することもあれば,高度人材がベンチャーの枠を超え,地域の中核となる新産業を創出していく可能性もある。大学発ベンチャーは,地域に高度人材を残すことで,地域の活性化に大きく寄与できるものと考える。
  • ―価値獲得可能な特許出願法のあり方―
    後藤 時政, 井上 博進, 樋口 武尚
    原稿種別: 自由論題
    2010 年 9 巻 p. 115-120
    発行日: 2010/02/15
    公開日: 2011/01/20
    ジャーナル フリー
    特許の有効性を示す権利範囲の広さは,特許出願書類の書き方に大きく左右されるため,その記載については,十分な知識と技術の習得をもって臨む必要がある。ところが,もともと特許マインドが欠乏している中小企業が,記載に対する十分な知識や技術を有し,有効的特許を取得できる特許出願書類を作成しているとは考えにくい。本研究では,特許査定となり,かつ有効的権利範囲を有する特許を得ることができる,最低必要条件を満たす特許出願書類を,過去の特許出願書類を解析することによって見つけ出し,それを公開することによって,中小企業が特許を有効に活用し,効果的な価値獲得ができるような道筋を示す。
  • ―ネットワーク分析を中心に―
    田中 隆世司
    原稿種別: 自由論題
    2010 年 9 巻 p. 121-127
    発行日: 2010/02/15
    公開日: 2011/01/20
    ジャーナル フリー
    医薬品の研究開発は,生命科学の発展によって医薬品技術やプロセスを低分子医薬からバイオ医薬へと大きく変化させ,その研究開発には高い創造性を発揮することが求められようになった。そのため,製薬企業は,過去に蓄積してきた低分子医薬の技術や知識を活かせなくなり,新たな技術・知識を自社開発により構築するか,もしくは,提携や M&Aにより外部から獲得するかの選択を迫られている。本研究は,このような背景にある製薬企業とその提携相手であるバイオベンチャーを対象としてネットワーク分析を行い,ネットワーク論の観点から望ましい製薬企業における外部資源の活用方法の在り方を探究した。その結果,製薬企業の外部資源への依存が,医薬品の研究開発費の増加を招く可能性が示唆された。
大学院生コーナー
  • 川端 勇樹, 妹尾 大
    原稿種別: 大学院生コーナー
    2010 年 9 巻 p. 128-134
    発行日: 2010/02/15
    公開日: 2011/01/20
    ジャーナル フリー
    本稿では,コミュニケーションによる相互理解に着眼し,連携成立の可能性を高めるためのコミュニケーションマネジメントを効果的にする診断方法を提案する。連携成立に必要な相互理解および相互理解の成否を判断する方法が明らかになれば,連携成立に必要な主体間の相互理解を促進させるためのコミュニケーションマネジメントの効果的な実施が可能となる。コンサルティング企業を対象とした事例研究から,連携成立のために必要な相互理解が抽出され,相互理解により生じる主体の行為および以前の連携を確認することにより相互理解の成否を判断することで,診断が可能であるという提案を導き出した。
  • ―菓子製造業の診断事例を基に―
    山本 久美
    原稿種別: 大学院生コーナー
    2010 年 9 巻 p. 135-139
    発行日: 2010/02/15
    公開日: 2011/01/20
    ジャーナル フリー
    中小企業は,技術開発・新製品開発・製品の付加価値化・新分野進出などの戦略展開を模索することで,売上確保を実施しようとしている。しかし,限られた経営資源のため実施が,困難を極めている。そこで,最近では企業間の協調を通じて新たな価値を創造する動きが出ている。企業間提携である。中でも中小製造業が主に行っているOEM に視点をおくことにした。先行研究では,提携および戦略的提携の概念,目的,手法について検討する。そして,OEMについての先行文献から分析視座を見いだしていく。そこで,本稿では,受動的視点での単なるOEM ではなく,能動的視点に立った戦略的OEM への展開について診断事例を通して考察する。
  • ~共同経営を行う中小製造業を対象に~
    木下 良治
    原稿種別: 大学院生コーナー
    2010 年 9 巻 p. 140-144
    発行日: 2010/02/15
    公開日: 2011/01/20
    ジャーナル フリー
    本研究は,共同経営企業の成長要因枠組を明らかにするため,無作為に抽出した中小一般機械器具製造業2,000 社を対象に調査を実施し,そこから得られたデータに基づいて統計解析を行い,成長指標と成長要因との関連性や成長要因枠組について統計的に有意な関連性を抽出することができた。
  • ~中小企業の事業承継におけるケーススタディ~
    久保田 典男
    原稿種別: 大学院生コーナー
    2010 年 9 巻 p. 145-151
    発行日: 2010/02/15
    公開日: 2011/01/20
    ジャーナル フリー
    中小企業の事業承継が課題となる中,従業員や外部に事業を承継する非親族承継が注目されている。非親族承継は,①承継者が創業者一族から株式を買い取るケースと,②株式のほとんどを依然として創業者一族が保有し「所有と経営の分離」がなされているケースとに分かれる。その違いが生ずる要因を,非親族承継によって承継者が経営革新を遂行した企業事例から考察すると,創業者一族との関係が影響していることが示された。
    また,「所有と経営の分離」がなされた中で,何故承継者が経営革新を遂行できるかについては,創業者一族との間の信頼関係構築や,事業承継までの十分な準備期間の確保が影響していることが示された。
  • 大杉 奉代
    原稿種別: 大学院生コーナー
    2010 年 9 巻 p. 152-157
    発行日: 2010/02/15
    公開日: 2011/01/20
    ジャーナル フリー
    中小建設業の新分野進出を「存立」のための多角化戦略と捉え,中小建設業の多角化度には,どのような要因が影響を及ぼしているのかを明らかにするために調査を試みた。その結果,「経営資源」「企業規模」「経営者の能力」などの企業内部環境が多角化度に影響を及ぼしていることが判明した。そこで本論文では,企業内部環境に焦点をあて,「収益性」「流動性」「安定性」「健全性」の 4つの指標からアプローチし,多角化度と経営状況の関係について検討を行う。
  • ―物流サービスのための環境負荷の可視化―
    加納 寛之
    原稿種別: 大学院生コーナー
    2010 年 9 巻 p. 158-163
    発行日: 2010/02/15
    公開日: 2011/01/20
    ジャーナル フリー
    環境負荷の削減が企業や国民に対し強く求められている中で,運輸部門における環境負荷削減は立ち遅れている。この背景には利用者の利便性のみを追求した輸送システムの定着があり,輸送による環境負荷を利用者が把握困難な現状においては,これを脱却することは難しいといえる。そこで本研究では低環境負荷型のサービスの一例としてモーダルシフトを対象とし,その環境負荷の可視化とトラック輸送との比較を行った。そして,可視化された情報を利用者のサービス選択に結びつける手法と,モーダルシフトを基盤とした輸送サービスビジネスモデルを構築し,現状の輸送サービスが抱える各種問題の改善に向けた課題と問題点について検討を行う。
  • 上原 義子
    原稿種別: 大学院生コーナー
    2010 年 9 巻 p. 164-171
    発行日: 2010/02/15
    公開日: 2011/01/20
    ジャーナル フリー
    本稿では,製品の実際の生産地が伝統的な産地と合致している場合とそうでない場合における消費者態度の差異を見ようとしている。生産地情報に関するマーケティング研究はカントリー・オブ・オリジン(COO) 研究としてしばしば取り上げられてきた。だが,当該領域の先行研究は多くがアメリカを中心に発展したものであり,日本ではそれほど着目されていない。だが実務においては日本でも注目されはじめている。そこで本研究では,先行研究を踏まえたうえで事例として日本の伝統的工芸品を取り上げてブランドと生産地情報が消費者知覚に及ぼす影響を調べた。
  • ―豊田市を事例として―
    河崎 大和, 山本 勝, 横山 淳一
    原稿種別: 大学院生コーナー
    2010 年 9 巻 p. 172-178
    発行日: 2010/02/15
    公開日: 2011/01/20
    ジャーナル フリー
    現在,日本においては少子高齢社会の到来,疾病構造の変化,家族構成の変化により,住民の保健・医療・福祉 (介護)サービスに対するニーズが多様化している。そのニーズに対応するためには,各サービスが個別に住民に対して提供される従来の形態ではなく,保健・医療・福祉サービス提供者が互いに連携をとり,住民に対し最適なサービスを一体的に提供していく必要がある。このようなシステムを地域包括ケアシステムという。地域包括ケアシステム構築においては,保健・医療・福祉サービス提供者間での分野を越えた円滑な連携が重要な要素となっているが,分野を越えての円滑な連携にはうまくいかないケースが多い。本研究では,豊田市を事例にし,サービス提供者間の連携促進について考察・提言していく。
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