日本経営診断学会全国大会予稿集
最新号
選択された号の論文の40件中1~40を表示しています
統一論題
  • 小森谷 浩志
    p. 1-4
    発行日: 2020/09/27
    公開日: 2021/03/11
    会議録・要旨集 フリー

    資本主義は,現代的な企業経営手法と相まって,効率と生産性の向上に寄与したことは疑うべくもない。資本主義とは,単に利潤を得るシステムを表現する言葉であったはずが,問題は,いつの間にか最高の目的へと転化してしまったことではないだろうか。本論文は,地球上の多くの人が急き立てられるように,競争相手を打倒し,物欲を刺激し,生産して,消費するという人間観をベースとする経済学の教義とは異なる立ち位置をとる。仏教思想を援用し,経済価値を第一とする資本主義を問い直し地球と人間が持続可能性を加味した開発のあり方を検討した。仏教思想の中核「四法印」などから,無執着,知足,感謝,慈悲の4つエッセンスを抽出,経済成長は必ずしも人間らしい,健全な生き方につながらないことを明確にした。そして,経済価値一辺倒ではなく,多元的な価値が尊重される社会のあり方を考究した。

  • 武田 彰夫
    p. 5-8
    発行日: 2020/09/27
    公開日: 2021/03/11
    会議録・要旨集 フリー

    海洋プラスチック汚染問題を契機に、CSRの流れを汲むヨーロッパ発の新しい概念「サーキュラーエコノミー」が注目され、その適切な評価手法が求められている。定性評価を基本とする、従来の評価手法では、この目的に対応できないが、約20年前にアメリカで考案された「エマジー(EMERGY)の理論」が欧米や中国等で注目され、優れた研究成果が公表されつつある。エマジーは、地球上の生物・無生物を問わず、万物の自然資本としての価値(環境経済価値)を定量評価できる手法で、無形のサービス・労働・情報も評価対象となる。本報告では、我が国では、ごく一部にしか知られていない、この理論の本質を適用事例とともに分析し、SDGsへの取り組みでの活用の方向性を探る。

  • 東渕 則之
    p. 9-12
    発行日: 2020/09/27
    公開日: 2021/03/11
    会議録・要旨集 フリー

    総合経営診断に関して従来指摘されてきた諸課題の解決策として,2018年の本学会報告及びそれに基づく論文において,成長ドライバ理論に基づく総合経営診断とシステムを診断事例とともに提案した。この診断手法では,「良い会社(定義:社員を大切にし,社員と会社がともに成長する会社)」の全体像に透かして診断を行う。今回は,「良い会社」の概念がサステナブルな経営と通底している点を深める。企業がSDGsを活かすには,成長ドライバ理論のフレームワークに沿って,SDGsの視点から会社を振り返り,改善していくことが有効であり,サステナブルな成長を生み出す。その推進にはSDGsの取り組みと成果の定期的な診断(SDGs経営診断)が望ましく,上述の総合診断システムも活用できる。

  • 大橋 正彦
    p. 13-16
    発行日: 2020/09/27
    公開日: 2021/03/11
    会議録・要旨集 フリー

    新型コロナウイルスなど、現代のパンデミックは熱帯雨林の伐採、地球温暖化によるとされており、持続可能な目標達成はこれからの企業経営にとっても不可欠となっている。本研究では、まず、マーケティング論における「持続可能」の概念、枠組み、かつ「持続可能マーケティング」を考察する。主に製造企業のために提唱されたこの概念並びに枠組みを再吟味した上で、これを小売ミックス論に応用し、公害予防と資源回復の両面から小売業の持続可能な経営を考察し、そして種々の研究枠組みに持続可能的接近を付加することを提起する。

自由論題
  • 横山 淳一, 柴田 英治
    p. 17-20
    発行日: 2020/09/27
    公開日: 2021/03/11
    会議録・要旨集 フリー

    2002年の地域・職域連携共同モデル事業から発展してきた地域・職域連携推進事業は,めざましい成果をあげているという報告事例もあまり見られないものの,多くの関連組織をつなげる重要なインフラとしての役割が期待されている。本研究では,地域・職域連携推進事業についてシステム的な見地からその構造を示すとともに,事業を取り巻く4つの因果ループ図を示し,要素間の構造について明らかにした。さらに,地域・職域連携推進事業を効果的かつ効率的に運営するためのポイントおよび方策を示した。

  • 酒井 理
    p. 21-24
    発行日: 2020/09/27
    公開日: 2021/03/11
    会議録・要旨集 フリー

    イノベーションを目的としたデザインシンキングがなぜ広がっていかないのかを日本企業のインタビューで探ろうとした。3つの企業へのインタビューで見えてきたことは、デザインシンキングはイノベーションを起こすためのツールであるが、それは機能するには「保守的」であることが大きな障害となるという洞察を得ることができた。そして、本稿の目的である地域再生にデザインシンキングは使えるのか、という課題を考えるために、3つの地域をケースとして考察した。そこから見えてきたことは、まちづくりにおいてデザインシンキングが効果を持つためには、保守的なマインドを持つ人々が排除される必要があるということであった。

  • ハリヤ アクリ, 加藤 里美, 伊藤 直美
    p. 25-28
    発行日: 2020/09/27
    公開日: 2021/03/11
    会議録・要旨集 フリー

    本稿の目的は,ソーシャル・ビジネス(地域に根ざすコミュニティ・ビジネス)を行う社会的企業にインタビュー調査(半構造化インタビュー)を行って,どのように継続的に事業に取り組んでいるのか,その仕組みを明らかにすることである。ソーシャル・ビジネスを行う社会的企業は,社会性,事業性,革新性の三要件を満たす事業活動と規定されている。社会性と事業性を繋げるのが革新性である。事例からこれらのことを明らかにし,その活動が社会に広がることを通して,どのような新しい価値を創出しているのかを考察していく。

  • 丹下 英明
    p. 29-32
    発行日: 2020/09/27
    公開日: 2021/03/11
    会議録・要旨集 フリー

    輸出や海外直接投資など,中小企業の国際化が進んでいる。一方で,近年は,海外においても,日系企業同士あるいは現地企業との競合が激化している。中小企業は,海外において,これまでの主力販売先であった日系企業だけでなく,日系以外の企業を販路開拓する必要に迫られている。本稿では,中小企業が海外企業を開拓するためには,どのような取り組みが有効なのか,海外企業との取引を実現した中小テキスタイル企業の事例研究を通じて,分析を行った。その結果,中小テキスタイル企業は,①企業家活動,②マーケティング戦略,③生産や開発などの機能を変化させることで,海外企業開拓を実現していることが明らかとなった。海外企業開拓を実現するためには,先行研究で示された企業家活動の変化だけでなく,マーケティング戦略や機能を変化させることも重要であることが示された。

  • 西崎 信男
    p. 33-36
    発行日: 2020/09/27
    公開日: 2021/03/11
    会議録・要旨集 フリー

    英国プロサッカーリーグの中でプレミアリーグ (EPL)は世界最高のリーグとして繁栄する一方、下位リーグ(EFL)クラブは生き残りを模索している。選手年俸、契約金が高騰する中で、下位リーグクラブは資金調達、観客動員数減少等への対策に邁進している。スタジアム増設等も含めて、今後は地域のサポートがなければクラブ運営はままならない。そこで近年クラブを支援するファンの団体であるサポータートラストが注目されている。政府も地域振興を推進するために法律を改正し、市民の自立運動(voluntary work)として税制面も含めて支援を行っている。サポータートラストは会員の利益のための組織から、所在する地域の利益に貢献する団体としての位置づけを明確化することが求められている。

  • 稲福 善男, 長谷川 路子
    p. 37-40
    発行日: 2020/09/27
    公開日: 2021/03/11
    会議録・要旨集 フリー

    価値の創成という課題を担う特定された地域を対象に,とくに地域比較の観点においてより鮮明に地域の個性を浮かび上がらせるという視座を堅持したが,そのためには厳格な比較の基準となるべきものがなければならない。即ち,そこでは一つの合理的判断に基づいた整合性,いわば科学論的な根拠による説明が求められる。一方、論旨は検証の現実への還元,価値観への関与にある。人間の行動,行為に結びつけなければ動きは生まれてこない。検証の結果を「地域の人々に」どのように還元していくか,このことは理論から現実への回帰である。実践への関与(提言)をいかに果たすか,われわれはこの領域まで考察対象に組み入れなければならない。

  • 秋葉 武
    p. 41-44
    発行日: 2020/09/27
    公開日: 2021/03/11
    会議録・要旨集 フリー

    日本のNPOは多様な財源の中で「事業収入」をより重視するようになった。特に事業収入の「切り札」としてビジネス的手法で地域の課題を解決する「ソーシャル・ビジネス」への関心が高まり、政府もソーシャル・ビジネス支援策を展開したものの、課題も少なくない。本研究ではこうした事業支援策を批判的に検討すると共に、別のアプローチに着目した。事業を成り立たせる「組織基盤強化」だ。事例として取り上げるNPO法人NPO砂浜美術館 (高知県黒潮町 )は「 (行政からの)委託事業収入」に依存していた。しかし民間の助成金を活用して組織診断、人材育成や財務管理強化といった組織基盤強化 (2011–2013)に取り組んで以降、地域資源を活用した各種のソーシャル・ビジネスを本格化させて事業収入を増やし、経営を安定化させると共に、地域経済への貢献といった成果を挙げている。

  • 浅津 光孝
    p. 45-48
    発行日: 2020/09/27
    公開日: 2021/03/11
    会議録・要旨集 フリー

    今日、従来型の予定調和に基づく「計画的戦略」のコモディティ化により,戦略の優劣による競争優位性の確保が困難になりつつある。これに対し「多様性」を組織に活かし,そこから生まれる偶発性を巧みに取り入れた新たなタイプの戦略が議論されている。この「多様性を組織に活かす戦略」を日常的に取り入れているのがオーケストラという組織である。本論では筆者が所属するアマチュアオーケストラの危機突破の経験を元に,その成功要因を一見トレードオフと思える「統一性」と「多様性」の共存という観点から検証する。更にそこから浮かび上がる集合知の意義について考察する。

  • 佐藤 俊一
    p. 49-52
    発行日: 2020/09/27
    公開日: 2021/03/11
    会議録・要旨集 フリー

    企業における人手不足感は,現在の想定外の状況を除けば,人口減少,高齢化の進展とともに高まっていく。政府は,生産性向上の機会としてとらえるべきとしているが,製造業においては,能力開発や人材育成に関して何らかの問題があるとする事業所が78.6%に上り(平成29年度能力開発基本調査),その問題点として62%が指導する人材不足を挙げている。さらに中小企業においては社員教育,研修の成果が上がっていないとするころも多い。(2017同友会特別調査報告)一方,労働政策研究・研修機構(JILPT)によると生産性が向上している企業の方がOff-JTに取り組む比率が高く,人材育成,能力開発の成果も上がっているとしている。これらの状況を概観した上で,中小製造業におけるOff-JT,研修の選択肢の一つとして,ポリテクセンターの生産性向上支援訓練を取り上げ,事例を踏まえて活用の仕方を考察する。

  • チョチョ ウィン, 加藤 里美
    p. 53-56
    発行日: 2020/09/27
    公開日: 2021/03/11
    会議録・要旨集 フリー

    本稿の目的は,経済産業省による「ダイバーシティ経営企業100選」と「新・ダイバーシティ経営企業100選」に選定された企業,その中でも愛知県の企業16社を取り上げ,その事例分析を行うことである。分析内容は,「ダイバーシティ経営の背景とねらい」,「ダイバーシティ経営推進のための具体的取組」,「ダイバーシティ経営による成果」をテキストマイニングにより分析することで,どのような特徴があるのかを明らかにし,ダイバーシティ経営に取り組む企業への有益な情報を提供していく。

  • 湯川 恵子
    p. 57-60
    発行日: 2020/09/27
    公開日: 2021/03/11
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では日本の外国人材受け入れの現状を整理し,人材難といわれる日本企業の人材獲得の方向性として留学後に日本企業に就職する外国人材の受け入れ推進の方策を明らかにした。日本企業が今後,外国人材を受け入れるときには外国人材には日本語能力の向上と日本の商習慣への理解を深めていく必要があり,他方日本企業では待遇面や人事制度についての丁寧な説明と社員教育の充実が求められることが明らかになった。日本人従業員の穴埋めではなく職場の多様性やグローバル化に着目し,日本企業は日本で働くことの魅力を発信することで外国人材獲得につなげることが求められる。

  • 今村 由美子, 並木 雄二
    p. 61-64
    発行日: 2020/09/27
    公開日: 2021/03/11
    会議録・要旨集 フリー

    日本企業には生産性向上が求められ,ノンコア業務のアウトソーシング活用が進む。コア業務に近接する領域に,知的ドキュメント・アウトソーシングがある。企画書やプレゼン資料など定型化が難しい業務を含むサービスである。調査により知的作業が多く含まれる職種の1/3以上に普及し,年代が低いほど利用率と利用意向が高いことがわかった。今後の拡大が推測される。また,個別大企業(企画会社)の284事例を分析し進行のばらつきを定量化の上,発注/進行スキルを形式知化し,スキル研修を設ける実証的な研究を行った。発注スキル啓発は企業の生産性向上に寄与すると考える。

  • 鴻 雅行
    p. 65-68
    発行日: 2020/09/27
    公開日: 2021/03/11
    会議録・要旨集 フリー

    兵庫県「三木金物産地」は、利器工匠業界を代表する企業が集中しており、全国の利器工匠出荷額の約2割を生産する「金物の町」として知られている。この金物産業の主要な生産県は、6府県(新潟県、福井県、岐阜県、大阪府、兵庫県、高知県)あるが、なかでも兵庫県三木市と新潟県三条市のシェアが高い。三木金物産地は、19世紀初頭から約200年間にわたり利器工匠業界をリードし続けているが、この三木金物産地の持続的優位性は何を要因としているのだろうか。本研究は、三木金物産地の競争優位の経営資源を探り、産地の変革と展望を考察した。

  • 村上 真理
    p. 69-72
    発行日: 2020/09/27
    公開日: 2021/03/11
    会議録・要旨集 フリー

    災害規模の大型化と被害拡大を受け、地域の防災力強化が喫緊の課題となっている。本研究では、在宅避難・災害弱者・地域の関係性など、防災のキーワードに沿って先行研究をレビューした後、抽出された論点に基づき、北九州に関する事例研究を考察した。主として共助の観点からの検討となったが、この共助については地域差があるとされ、また行政による公助との連携が十分でないとの指摘もある。ここでは北九州市の広域的な防災力の一端が明らかになったほか、それを支える地域コミュニティについても今後の在り方への有意な示唆を得た。

  • 長谷川 路子
    p. 73-76
    発行日: 2020/09/27
    公開日: 2021/03/11
    会議録・要旨集 フリー

    小売中心性指標は,小売業の吸引力を表すとされ,小売業の中心性や空間構造を分析するために用いられる。同指標は,公表されている統計データから容易な計算式で算出することができ,非常に使い勝手が良い。この指標を用いて地域の特性を明らかにし,地域づくりの種を見つけることはできないか。そのような問題意識から,本研究では,大阪府の各市区町村を対象に小売中心性指標を算出し,指標の値が大きい地域について,その理由を考察した。結果として,業種別の小売中心性指標を算出することにより,地域の差異を明らかにすることができた。しかし,地域の特性を詳細に特定するためには,現地踏査や他の統計データとの照合,買物行動調査などが必要であると考えられた。

  • 木村 勝則
    p. 77-80
    発行日: 2020/09/27
    公開日: 2021/03/11
    会議録・要旨集 フリー

    本研究は,藤井秀樹(京都大学)学説における有価証券の時価会計に関する会計評価論を研究し報告をする。1990年代後半から2000年代初頭まで,会計制度の大きな変革があった。当時の会計学者が,有価証券の時価会計について,多くの論文,著書を書き,博士の学位を取得した。その中でも藤井秀樹学説は,取得原価主義を貫き,終始一貫した理論を展開した。本報告のリサーチクエッションは,藤井秀樹学説が,取得原価主義にこだわった学術的な理由である。

  • 服部 繁一
    p. 81-84
    発行日: 2020/09/27
    公開日: 2021/03/11
    会議録・要旨集 フリー

    本稿では,モノからサービスに価値の重点が移りつつある中での経営診断の視点を検討している。中小製造業では,経営課題解決に向けて,これまでにないサービスに取り組む事例がある。こうした事例の分析を通じて,モノ中心的な発想からサービス中心的な発想による事業計画作成の着眼点を示す。

  • 後藤 時政, 羽田 裕, 福澤 和久, 永井 昌寛
    p. 85-88
    発行日: 2020/09/27
    公開日: 2021/03/11
    会議録・要旨集 フリー

    知財の管理や活用による付加価値創造の最大化は日本企業にとっても重要なテーマである。知財による付加価値創造を最大化するためには,研究開発部門,事業部門,知財部門の3つの部門が連携する三位一体の戦略が重要であり,これを実現できる価値共創型の知財組織が必要となる。そこで,本研究では付加価値創造を最大化する価値共創型の知財組織はどのようなものであるかを,知財管理・活用による付加価値創造を実現できている,規模および業種の異なる複数の企業についてヒアリング調査を行い,考察する。

  • 羽田 裕, 後藤 時政, 羽田野 泰彦
    p. 89-92
    発行日: 2020/09/27
    公開日: 2021/03/11
    会議録・要旨集 フリー

    わが国において,ものづくり中小企業等を取り巻く環境は徐々に厳しくなってきている。このような状況の中で,中小企業等は,自社が保有する技術・ノウハウを活用し,異業種への新規参入を検討するというひとつの方向性を模索する必要性が出てきた。本研究は,知財を積極的に活用し,新技術・新製品の開発,新市場の開拓を行おうとする中小企業等に焦点を当てる。まず本研究は,この知財経営積極的型と呼ぶべき中小企業等をどのような基準で判断するのかの目安を示す。次にこれらの中小企業等が,自社の技術的強みの抽出と新規事業参入の可能性を特許情報から検討する手法の構築を目指す。今回は,本研究が示した目安に基づき,ゴム材料メーカーである中小企業等AR社を選定し,AR社の医療機器関連分野への新規参入に関する事例分析を行っている。

  • 有馬 賢治
    p. 93-96
    発行日: 2020/09/27
    公開日: 2021/03/11
    会議録・要旨集 フリー

    本報告は,企業が販売活動で使用する手段とその組合せに関する所謂「マーケティング・ミックス(marketing mix)」研究の深耕を意図して進められる。分析を進めるにあたり,マーケティング・ミックスに関わる既存研究の成果,なかでもMcCarthy(1960)の“4Ps”を踏まえ,資源配分に関わる構想の起点に関する仮説を設定し分析する。さらに,資源配分に関わる構想の起点と資源配分の関連性を分析し,資源配分パターンの類型化の可能性を検討する。そのうえで,4Psの現代的意義,発展的使用方法の可能性を分析し,経営診断における着眼点に対する若干の含意の提示を試みたい。

  • 鈴木 英之
    p. 97-100
    発行日: 2020/09/27
    公開日: 2021/03/11
    会議録・要旨集 フリー

    近年、情報技術の進展は目覚ましく、膨大な情報の収集やそれらを容易に取り扱うことが可能となる環境が用意されつつある。そうした情報技術はビジネスや公益に資するものとして利活用の検討が現在進行中である。本研究は、観光地域を対象としたビッグデータの収集・分析によって観光地診断(地域分析と地域振興に向けた提言)を補助することを目的とし、その分析手法と活用法とを検討し提案する。具体的には、分析対象データとして、観光客による観光地に対するレビューデータを用い、分析手法として、Word2vec等の現今の人工知能技法を利用する。これらの分析を観光地域戦略(マーケティングのSTP、資源の再発見、及び顧客理解)策定・見直しの観点から活用する方法を提案する。

  • 大橋 正彦
    p. 101-104
    発行日: 2020/09/27
    公開日: 2021/03/11
    会議録・要旨集 フリー

    本研究は、JGSS(日本版総合的社会調査)における累積データ2000-2018によって、わが国消費者におけるソーラーパネルなど主要エコ製品利用とそれらの変化について分析し、かつそれぞれの規定因を解明した。分析の結果、4つのエコ製品利用はここ十数年でそれぞれ大きく伸びた。規定因では、ソーラーパネル利用は年齢では30歳代は強いプラス、50歳代、60歳代はマイナスで有意となった。ほかに上層ホワイトカラー、高世帯収入車層はプラス。深夜電力利用は四国・中国並びに九州で極めて強いプラス。学歴における中学校卒とともに、年齢では50歳代と70歳以上の利用がやや否定的。エコウイル・エコキュート利用は生協加入層と家族数の多い家庭でプラスとなり、中学校卒と60歳代、70歳以上の利用がやや否定的。低公害車利用は高世帯収入車層、奉仕団体所属層、学歴では大学卒が、大都市居住者や中学校卒などがマイナスとなった。今後における当該製品分野企業の経営や診断の際、市場細分化政策の評価、戦略設定などの参考に供しよう。

  • 森下 俊一郎
    p. 105-108
    発行日: 2020/09/27
    公開日: 2021/03/11
    会議録・要旨集 フリー

    本研究は,わが国の宿泊業において訪日外国人客を受け入れ促進のために,彼らから高い評価を得ている「山城屋」,「澤の屋」,「富士箱根ゲストハウス」の3軒の宿泊業者の事例を概観し,その特徴を導出した。その結果,3軒とも1)古い施設をできる限り活用,2)多言語による館内表示や案内およびホームページ,3)必要かつ十分な英語でのコミュニケーション,4)日本文化を感じられるイベントや工夫,5)家庭的なおもてなし,などが訪日外国人客への魅力として共通していた。これらの結果からの考察を踏まえ,訪日外国人客への受入れ策として,ICT化や多言語化対応などのグローバル化により不満足を低減し,同じ宿泊客や地元の日本人との交流の促進,日本の体験イベント,日本の家庭的なおもてなしによって満足度を高めることを示唆した。

  • 町田 耕一
    p. 109-112
    発行日: 2020/09/27
    公開日: 2021/03/11
    会議録・要旨集 フリー

    活動基準原価計算(ABC)は伝統的原価計算の製造間接費を活動単位を措定することにより、製品へ直接費化して資源の価値消費を正確に割当て、意思決定に有効な原価情報を提供した。製品を顧客に販売する時に、様々な販売充足活動がある。また、特に顧客より付加サービスを求められることがある。顧客への製品とサービスの給付を測定すると、隠れ顧客損益が明らかとなる。原価給付計算の理念は顧客価値を増加し、価値消費は減少する事である。顧客へのサービス給付を測定し、顧客損失を解消することが、健全な企業経営への課題である。

  • 永井 昌寛, 後藤 時政, 横山 淳一
    p. 113-116
    発行日: 2020/09/27
    公開日: 2021/03/11
    会議録・要旨集 フリー

    超高齢社会を迎えた日本では,保健医療福祉分野の情報化,および,予防医療・介護予防の推進は重要な課題である[1-3]。著者らはこれまでに住民情報(集合知)と専門知を用いた新しい保健医療福祉支援情報システムを設計・提案してきた[4-6]。本研究では,このシステムをもとに,保健医療福祉分野における予防医療・介護予防に向けて,「住民情報(集合知)」および「家族見守り」を用いた保健医療福祉支援情報システムの構築をめざしている。そのために,保健医療福祉を取り巻く環境等を把握し,予防医療,認知症予防,介護予防の支援情報システムの設計を通じて,家族見守り型保健医療福祉支援情報システムの設計課題を整理する。

  • 川村 悟
    p. 117-120
    発行日: 2020/09/27
    公開日: 2021/03/11
    会議録・要旨集 フリー

    統計情報から中小企業診断士の課題を明らかにすることを試みる。研究目的は診断士に内在する課題を提示することである。診断士が課題を克服して発展すれば,社会に対する貢献度が高まるからである。リサーチ・クエスチョンを「統計から導くことができる診断士の課題とは何か」と設定する。研究方法として統計資料を活用し,それらを根拠に課題に関わる仮説を帰納的に導き出す。諸統計を通じて,資格に対する評価や社会的関心は高い一方,資格休止者数の増加などキャリアと資格が整合していない事例がみられる。一連の調査を踏まえ,「構造的要因によって,キャリアと資格の不整合が生じやすい環境にある」との仮説を提示する。

院生報告
  • 辻 紳一
    p. 121-124
    発行日: 2020/09/27
    公開日: 2021/03/11
    会議録・要旨集 フリー

    道の駅の農産物直売所は,鮮度が良く,安く,安全安心などの農産物の品揃えが消費者から支持され増加傾向にある。また,生産者との契約では委託販売契約が多くを占め,販売側の在庫負担を伴わない等の理由から,消費者への積極的な販売促進に消極的なケースが多い。一方,和歌山県にある道の駅Kの農産物等を扱う直売所では,積極的な販売販促を行うことで出荷者数や売上高が増加する効果が見受けられた。よって本稿においては,道の駅Kの関係者からのインタビュー調査をもとに,ブランド戦略に焦点を当て,積極的な販売販促を行うメカニズムについて明らかにすることを試みる。

  • 五十川 龍
    p. 125-128
    発行日: 2020/09/27
    公開日: 2021/03/11
    会議録・要旨集 フリー

    SDGsは大企業では認知が進み取り組みも行われているが多くの中小企業では認知率が低い。そこで,本研究ではSDGsを採択した国際連合がどのような国際課題と向き合い設立され,どのように国際課題を扱ってきたのかを明確にし,日本の社会的責任への取り組みの歴史との接点を見出した。近年の国際連合と日本の社会的責任の共通する接点としては,個人も含むステークホルダーに注目が集まってきている。よりミクロな視点である人に対して焦点を当てた課題解決は地域の担い手である地方公共団体,中小企業や小規模事業者にとっては大企業よりも得意な分野であり,地球上の誰一人取り残さないと誓うSDGsの指針を達成するために不可欠な存在として期待される。

  • 佐野 達也, 横山 淳一
    p. 129-132
    発行日: 2020/09/27
    公開日: 2021/03/11
    会議録・要旨集 フリー

    近年,急速な情報化社会の発展より情報セキュリティの重要性が増している。インターネットを利用する人々が各々で情報セキュリティについて考える必要が増している。そこで,本研究はで学生を対象にして,情報セキュリティに対する意識を改善することを目的とした「意識改善ゲーム」の提案とゲームのプロトタイプの開発を行った。提案したシステムでは,ゲーミフィケーションを活用することによって,情報セキュリティ初心者に対しても情報セキュリティを学ぶことができることを期待した。また,情報セキュリティに関する「攻撃視点」に着眼し,ゲームに「攻撃視点」を導入することで,普段の生活においてどのような点に気を付ける必要があるのかを知ることに期待した。

  • 澤田 有香, 横山 淳一
    p. 133-136
    発行日: 2020/09/27
    公開日: 2021/03/11
    会議録・要旨集 フリー

    本研究では,健康担当部局以外の部局との地方自治体内連携を探るために,自治体が関与するイベントの実施状況を分析した。健康を主目的としていないイベントも含め,若年層の健康増進に効果的なイベントや連携先を見出すために多重対応分析を利用して分析を行った。その結果,健康担当部局が健康増進事業展開や若年層との接点を持つために連携を求める相手として,教育委員会事務局と市が保有する外部施設運営部局であることを示した。さらに,健康無関心層も健康行動できる環境提供のために,行動変容ステージに.わせた情報提供や,参加により健康増進に寄与するイベントの推奨について連携先に協力依頼を行うことが効果的であることを示した。

  • 亀谷 佳保里, 横山 淳一
    p. 137-140
    発行日: 2020/09/27
    公開日: 2021/03/11
    会議録・要旨集 フリー

    大規模病院の多くでは,医療政策の変化に伴い,求められる機能を充たすための新たな設備や機器の導入,療養環境の更新など施設の整備が行われている。しかし,施工後の施設では,患者や医療従事者から動線の複雑化や水回りの不便さなどの不満が聞かれ,施設の整備が環境の向上に繋がっていない例も見られる。そこで,本研究では,創設時から現在に至るまで優れた病院建築として評価されているA病院とB病院を事例として,資料調査と現地調査および施設の整備に関わる担当者からの聞き取り調査により2施設の比較,分析を行った。その結果,医療の質を担保するための健全な病院運営の管理を基本とし,日常的に多職種が協同して施設整備のための計画にかかわっていることがわかった。2施設の取り組みから,質の高い医療を支えるために求められる施設整備計画のしくみを提示する。

診断事例
共同研究PT
  • 劉 亜氷, 上原 義子, 高橋 昭夫
    p. 145-148
    発行日: 2020/09/27
    公開日: 2021/03/11
    会議録・要旨集 フリー

    観光による地域振興の主体として,DMOが脚光を浴びている。しかしながら,DMOに関する研究は,主に欧米の成功事例を紹介するレベルに留まっており,その理論研究は不足しているといえる。また,観光学からの研究は散見されるが,マーケティング・マネジメントの分野では,事例の紹介に留まっており,DMOそのものの学術的研究は乏しい。そこで本研究では,DMOに関して,ヨリ理論的なアプローチを試みている。昨年度の共同研究では,主にツーリズム・マーケティングとデスティネーション・マーケティングに関して理論的な分析を行い,その特徴や違いを明らかにした。今年度はそれを引き継ぎ,デスティネーション・イメージやデスティネーション・パーソナリティへと議論を進めて行く。

  • 酒井 理, 並木 雄二
    p. 149-152
    発行日: 2020/09/27
    公開日: 2021/03/11
    会議録・要旨集 フリー

    サービタイゼーションの大きな潮流のなかで製造業はもとより小売業、サービス業に至るまでサービス提供システムの高度化が進化する中で、中小企業におけるサービタイゼーションの取り組みは遅れている。それは専らサービタイゼーション手法の構築が未熟であることによる。サービタイゼーションに関する方法論の構築が必要とされており、具体的な手法が検討されることが求められている。いうまでもなく、それを評価するための診断メソッドも確立されてはいない。本研究の大きな目的は、サービタイゼーションの際のマネジメントの課題を明らかにしつつ,その課題を克服するための改善ポイントを整理していこうとするものである。研究の大きな目標に到達するため,一つひとつ研究課題をこなしていく。本稿では,継続的取引のビジネスモデル(リカーリング・ビジネス)を支えるサブスクリプションの収益モデルに絞って検討した。具体的には収益を生み出すための計算モデルの提示である。

ラウンドテーブル討議
feedback
Top