今日、従来型の予定調和に基づく「計画的戦略」のコモディティ化により,戦略の優劣による競争優位性の確保が困難になりつつある。これに対し「多様性」を組織に活かし,そこから生まれる偶発性を巧みに取り入れた新たなタイプの戦略が議論されている。この「多様性を組織に活かす戦略」を日常的に取り入れているのがオーケストラという組織である。本論では筆者が所属するアマチュアオーケストラの危機突破の経験を元に,その成功要因を一見トレードオフと思える「統一性」と「多様性」の共存という観点から検証する。更にそこから浮かび上がる集合知の意義について考察する。
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