音楽表現学
Online ISSN : 2435-1067
Print ISSN : 1348-9038
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原著論文
  • コンソート・ソングからの改作に際して
    籾山 陽子
    原稿種別: 原著論文
    2024 年22 巻 p. 1-16
    発行日: 2024/11/30
    公開日: 2026/04/13
    ジャーナル フリー
    ウィリアム・バードは、当時のマドリガルの急激な流行にあやかって自身の作曲したコンソート・ソングを多声の声楽作品に手直しして出版し、意図通りに成功を収めた。本稿では、バードがコンソート・ソングから多声声楽作品へどのように改作していたのかについて、コンソート・ソングの器楽パートへの歌詞の付け方を中心に調べて考察した。バードは、もとの器楽パートに歌詞を付けるにあたって、歌詞の繰り返しや複数音に1音節を割り当てるメリスマを多用している。そのうち、歌詞の繰り返しは、もとのコンソート・ソングの対位法を際立たせる効果がみられた。また、メリスマについては、特に機能語や内容語の弱音節に多く用いることによって、歌詞よりもハーモニーを聴かせる効果が得られていた。これらから、バードが、対位法とハーモニーを重視して作ったコンソート・ソングの特徴が活かされるように工夫して歌詞を付けていたことが明らかになった。
研究報告
  • 異なる資料のF. シューベルト《楽興の時》第6番をめぐる解説の比較に基づいて
    田舎片 麻未
    原稿種別: 研究報告
    2024 年22 巻 p. 17-26
    発行日: 2024/11/30
    公開日: 2026/04/13
    ジャーナル フリー
    ハンス・ライグラフ(Hans Leygraf, 1920-2011)は、スウェーデン出身のピアニストであり、高名な教育者であった。本稿の目的は、異なる年代に収録されたライグラフの演奏解釈の比較検討および彼の言説に照らした考察を通して、彼自身の音楽表現を支える探究の視点を明らかにすることである。彼がF.シューベルト《楽興の時》第6番の解説を行う、1990 年代および2000 年代に収録された2点の視聴覚資料を検討の対象とし、比較、考察を行った。ライグラフの演奏解釈は、楽譜上の限られた情報から「変化」を読み解き、その時々の彼の言葉によって表現されるものであった。また、2点の資料の、一方においては特に作曲者の視点から客観的に分析する側面が、一方においては特に演奏者の視点から主観的に捉え直し「再構成」する側面が表れているといえることもわかった。加えて、ライグラフの言説に照らし、後年の資料における彼の解説は、シンプルな視点を通して、音楽の複雑で曖昧な世界と向き合う契機をもたらしているといえることを示した。
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