世界のコンピュータ教育に対する教員研修の最近の傾向の要約である.コンピュータは,学校でさまざまに用いられている.第1に,コンピュータは,コンピュータ・リテラシーの教育に用いられている.第2,にコンピュータは,教授のための道具として用いられている.第3に,コンピュータは,文書作成,文書処理,お絵かきのような自己表現の道具および検索や実験計測の道具として用いられている.第4に,コンピュータは,時間割り作成,ソシオメトリ,テスト問題作成のような学校経営,学級経営の道具として用いられている.第5に,コンピュータは,教育研究のために用いられている.このような利用が有効になされるためには,十分な教師教育が必要である.世界の多くの国では,今日,コンピュータ教育のための教員研修を実施している.本特集は,この点について,米国,カナダ,ヨーロッパ各国,オセアニア各国における最新傾向をまとめている.その結果,次のような共通の特徴が見いだされた.1.多くの国は,全国的あるいは全州的計画で,コンピュータ教育の教員研修を行っている.2.訓練内容は,初期のプログラミング言語の学習,CAIソフトウェア作成の学習からワードプロセッサ,データベース,スプレッドシート,グラフィックス,教科教育におけるコンピュータ利用のように変化している.3.多くの国では,伝達講習方式の教員研修が行われている.4.大学における単位取得,経済援助,勤務時間中の研修など多くの支援が工夫されている.5.しかし,行政の努力は,まだ十分学校現場に達していない.
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