教師教育についての新しい概念に基づいて,学部学生向けの授業研究コースを開発した.このコースは,コーステキストとコースガイドを軸に,VTRや参考資料,図書,体験学習や討論から構成される一つの学習環境であり,学生の問題解決(発見)的な授業研究を進めていく能力の形成に焦点を当てている.また独立的かつ共同的に授業研究を行なう体験を保証するために,自己学習,グループ学習,全体学習を組み合わせた学習形態を取り入れ,授業に関する実践的能力の習得と人間的成長を共に図れるようにデザインされている.本研究では,デザインの評価と結果の評価を区別し,本コースの評価にあたっては前者にのっとっている.すなわち,コースにおける学生の学習活動やそこにおける気づきに焦点を合わせて評価を行なった.本コースの学習のそれぞれの段階で,学生は問題解決(発見)的な活動を示した.その中で実際の授業に必要な一群の知識や技能を習得していることが示された.また,授業設計や授業実施に関する多面的な見方を,自分の被教育者としての体験を対象化しながら意味づけるなど,自己成長を示した.
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