失語症は、大脳皮質の言語中枢が脳卒中や外傷などにより冒され、聴覚器や発声器自体には障害がないのに言語の理
解や表出が困難になる言語障害である。ブローカ失語・ウェルニッケ失語・健忘失語・全失語などのいくつかのタイ
プがある。わが国の患者数は、全国に30 万人とも 50 万人とも言われているが正確な人数は把握されていない。本稿
では失語症に対する音楽療法のエビデンスについて論じていく。システマティックレビューを中心とする複数の医療
情報データベースのコレクションであるコクラン・ライブラリーにて、「music therapy」、「aphasia」と検索をした
ところ、Cochrane Reviews にて 9 件ヒットした(2022/1/25)。生命科学や生物医学に関する参考文献や要約を掲
載する MEDLINE などへの検索エンジンである PubMed にて、「music therapy」、「aphasia」と検索をしたところ、
Systematic Review にて 5 件ヒットした(2022/1/25)。総じて、音楽介入は、脳卒中後に失語症がある人のコミュ
ニケーションに関するアウトカムに有益な可能性があったが、研究の質は概して低かった。研究結果は有望であるが、
臨床診療で推奨するには、アウトカムについて、より質の高いランダム化比較試験が必要であるという結論であった。
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