直径4-6mmのブタ卵胞から壁穎粒膜細胞の一部が付着した状態で卵子-卵丘細胞複合体を採取し, 卵胞膜とともに振盪培養して, 体外成熟過程を調べた。さらに成熟培養時間および媒精後の精子との共培養時間が卵子の受精および発生に及ぼす影響について検討した。培養24時間後, すべての卵子が第1減数分裂中期へ, 培養33時間後には91%の卵子が第II減数分裂中期に達した。成熟培養30, 36, 42, 48および54時間に媒精し, その12時間後における受精状況を調べた。各区間で精子侵入卵子率に差は認められなかったが, 雄性前核形成率は成熟培養36および42時間後に媒精した卵子で有意に高い値を示した。36時間成熟培養した卵子に媒精し, 3, 6, 9および12時間後に回収して受精状況を調べるとともに, その後の発生状況を観察した。精子侵入卵子率および雄性前核形成率は媒精9から12時間後にかけて増加した。また, 2細胞期以降への発生率は, 媒精9時間後に発生培地へ移したときに57%と最も高かった。以上の結果から, 本培養条件下では成熟培養時間を36時間とし, 媒精後の精子との共培養時間を9時間とした場合に, 最高の正常受精卵子率が得られることが知られた。
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