経営哲学
Online ISSN : 2436-2271
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投稿論文
  • 福田 充男
    2021 年 18 巻 1 号 p. 2-16
    発行日: 2021/04/30
    公開日: 2021/07/22
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    本研究では、Peter M. Senge (2006) 著「The Fifth Discipline」で提示されたディシプリンの1つであるシステム思考のうちの「問題のすり替わり構造」を主たる分析ツールとして援用し、沖縄県宮古市所在の自然塩製造・販売業者の経営理念浸透メカニズムの解明を試みた。この事例分析を通して、理念浸透を促進する「掲揚」と「実践」と「会話」という3つの行為が、相互に双方向に作用しあうという統合的学習モデルを、経営トップと経営チームと一般社員が共通して保有し、重層的なフラクタル構造を維持するときに、より深く組織に理念が浸透するという理念浸透メカニズムのモデルが導出された。

  • 橋本 倫明
    2021 年 18 巻 1 号 p. 17-28
    発行日: 2021/04/30
    公開日: 2021/07/22
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    2015年に適用が開始された日本版コーポレートガバナンス・コードは企業の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るため、とりわけ独立社外取締役の積極的な登用を促してきた。これにより、日本での独立社外取締役の選任は急速に進んだ。さらに、2018年6月のコード改訂に伴い、経営者の選解任や報酬決定プロセスへの独立社外取締役の十分な関与が求められ、この数年で多くの企業が独立社外取締役中心の指名委員会や報酬委員会を設置した。しかし、企業の持続的な成長や中長期的な企業価値の向上を実現するためには、独立社外取締役の果たす役割だけでは不十分であるとともに、独立社外取締役の役割を過度に強調してきたことが、形式だけの登用やそのなり手不足といった問題を引き起こしてきた可能性もある。

    本稿では、ダイナミック・ケイパビリティ論に基づくコーポレートガバナンス論を展開し、これらの独立社外取締役に関連する問題を解決して、変化の激しい今日のビジネス環境において日本企業の持続的な成長を実現するために必要なコーポレートガバナンスの新たな指針を示す。その帰結は以下の通りである。

    (1)エージェンシー理論に基づけば、独立社外取締役の積極的な活用は、従来の日本のコーポレートガバナンスの主要課題であったインセンティブ問題を解決するための有用な方策である。しかし、(2)変化の激しい環境ではインセンティブ問題の解決は企業の持続的な成長を保証せず、企業活動を正しい方向に向かわせる経営者のダイナミック・ケイパビリティ活用を促すことが取締役に求められる最大の役割である。(3)その実現には独立社外取締役に過度な役割を与えるのではなく、企業の内部事情や業界に精通しマネジメント経験も持つ社内取締役も積極的に活用することが求められる。したがって、社内取締役と社外取締役の適切なバランスについての議論が、今後の日本企業のコーポレートガバナンスの最重要課題となる。

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