徒手理学療法
Online ISSN : 2434-4087
Print ISSN : 1346-9223
21 巻, 2 号
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巻頭言
研究論文
  • 立川 恵梨子, 半田 裕介, 千葉 弘樹, 三木 貴弘, 近藤 湧, 浜本 龍樹, 高﨑 博司
    2021 年 21 巻 2 号 p. 37-44
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/11
    ジャーナル フリー

    2018年,患者の自律性を高める理学療法士のコミュニケーション能力を評価するCommunication Evaluation in Rehabilitation Tool(CERT)が開発された。開発者間ではCERTの合計点について級内相関係数(ICC)が0.76と報告されている。本研究の目的は,CERTの開発者以外における検者間信頼性を検証することとした。理学療法士(4名)から治療を受けた腰痛患者(各4名)計16名の初回音声データを,2名の評価者が独立して評価した。評価者は4時間相当のCERTのトレーニング資料(3症例の音声とCERTの参考値)を視聴閲覧した後,CERTの採点マニュアルに沿って採点した。検者間信頼性はCERTの各18項目と合計点においてICCを求め,0.40以下をweakと解釈した。解析の結果,合計点のICCは0.85であったが,6項目では0.40以下であった。本研究では,CERTの開発者以外においてもCERTの合計点には検者間信頼性があることが明らかとなった。今後は採点マニュアルを改善し,全項目において検者間信頼性が担保されるのか検討する必要がある。

症例研究
  • 半田 瞳, 中村 雄一, 半田 学, 竹島 憲一郎
    2021 年 21 巻 2 号 p. 45-49
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/11
    ジャーナル フリー

    〔目的〕難治性の有痛性外脛骨に対し,Fascial Manipulation(以下FM)を実施したため改善効果を報告する。〔対象〕本症例はVeich分類Ⅱ型の有痛性外脛骨と診断され手術療法が検討された1症例とした。〔方法〕疼痛評価,足関節・後足部判定基準および歩行能力の評価を実施した。さらに,足部の形態測定としてアーチ高率および開張率を計測した。理学療法としてFMを実施した。〔結果〕足部の形態の変化はみられなかったものの,疼痛の軽減に伴い歩行能力が向上した。〔結論〕有痛性外脛骨に対する徒手療法としてFMは有用である可能性が示唆された。

総 説
  • 岩貞 吉寛
    2021 年 21 巻 2 号 p. 51-55
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/11
    ジャーナル フリー

    マッケンジー法(The McKenzie Method® of Mechanical Diagnosis and Therapy®, MDT)は,メカニカルな負荷を加えた際に得られる反応に基づいて腰痛,頸痛,四肢の痛み等の症状や活動障害に悩む人を分類し,それぞれに適したマネジメントを立案,実行する体系である。MDTの分類は大きく分けて4つあり,それぞれ特有のマネジメントが設定されている。本稿では,各分類に至る流れ(脊椎の場合,四肢の場合),4つの分類の判定基準と割合,MDT分類の臨床的意義について研究成果を示しながら紹介した。

症例研究
  • 前川 武稔
    2021 年 21 巻 2 号 p. 57-62
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/11
    ジャーナル フリー

    腰痛は有訴者が多く国民病といわれるが,そのうち病態原因を特定できるものは約15%といわれている。このような疾患における問題解決方法として,症状に対しメカニカルな負荷を加える際の症状変化のパターンによってマネージメントを決定する考え方が有用になる場合がある。今回,急性後弯変形を呈した腰痛患者に対しMechanical Diagnosis & Therapy(MDT)による評価と介入で改善が認められたので報告する。40歳女性が痛みのため腰椎後弯変形を呈し家族に付き添われ来院した。メカニカルな負荷をかけながら慎重に症状・所見の変化を観察し介入したところ,著明な改善が得られた。

  • 佐野 華
    2021 年 21 巻 2 号 p. 63-68
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/11/11
    ジャーナル フリー

    Mechanical Diagnosis and Therapy (MDT)では,検査としての負荷によるベースライン症状の変化に応じて症状を分類し,エクササイズを選択する。患者もこの過程を踏襲することでセルフマネジメントできる利点がある。ここでは投球時の肩関節の疼痛により肩関節周囲炎・腱板損傷と診断された患者に対しMDTの評価と分類を行い有効にセルフマネジメント出来た症例を紹介する。問診に続き,主訴である投球動作中の疼痛,肩の可動域制限や痛みをベースライン(BL)として効果判定の指標とした。肩の症状と脊椎の関連性を明らかにするべく,スクリーニングとして脊柱(頸椎・胸椎)の運動負荷検査を実施したが検査前後でBLに変化を認めなかった。続いて肩関節の運動負荷検査の際,伸展でセッション中にBLが著明に改善したためMDT分類をDerangement, Directional Preference (DP)肩関節伸展とし,これをセルフエクササイズとした。エクササイズの継続により,疼痛なく投球動作が可能となり,改善した状態も維持された。

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