徒手理学療法
Online ISSN : 2434-4087
Print ISSN : 1346-9223
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巻頭言
総 説
  • 荒木 智子
    2024 年 24 巻 2 号 p. 49-56
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/02
    ジャーナル フリー

    妊娠中や産後のマイナートラブルは,妊婦の75%が経験する。母子の生命を直接脅かさないが,日常生活に影響を与える。腰痛や尿失禁などが頻発し,またメンタルヘルスにも関連する。周産期うつ病の有病率は5~20%,不安障害は15~20%である。理学療法士は,詳細な個別評価と臨床推論に基づく介入により,身体症状の改善を通じてメンタルヘルスの向上にも寄与できる可能性がある。先行研究では,身体症状とメンタルヘルスの関連が報告されている。妊娠・出産は肯定的経験だけでなく,喪失経験でもあり,女性とその家族の生活に大きな変化をもたらす。これらの変化を評価することは,予防と早期介入が重要である。今後の課題として日本での研究の発展や教育の充実がある。産前産後のマイナートラブルへの適切な対処が,女性の心身の健康増進につながることが期待される。

症例研究
  • 新谷 彰友
    2024 年 24 巻 2 号 p. 57-63
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/02
    ジャーナル フリー

    〔目的〕仙腸関節に対するマリガン徒手療法により,右殿部痛の改善が図れた症例について報告することを目的とした。〔対象〕患者は70代男性のニュージーランド人であり半月後にニュージーランドに帰国予定であった。庭仕事中に重い物を持ち上げた際に右殿部痛出現,腰部脊柱管狭窄症の診断を受けた。主訴は右後上腸骨棘周囲の殿部痛と右下腿外側の痺れであり,20日間,計7回の介入を行った。〔臨床推論〕右殿部痛の原因として,仙腸関節周囲組織の問題が疑われ,疼痛を助長しない方法で評価を行った。マリガンテクニックの一つであるMobilization with Movement(運動併用モビライゼーション:MWM)を用い,右腸骨の後方回旋を強調することで疼痛の軽減が期待された。〔結果〕座位・立位時の疼痛が消失し日常生活に支障がなくなった。〔結論〕本症例では,仙腸関節へのマリガンコンセプトが有効であり,右殿部痛の改善が見られた。また,患者に合ったセルフエクササイズを指導することが介入効果の持続に役立った。

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編集後記
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