MACRO REVIEW
Online ISSN : 1884-2496
Print ISSN : 0915-0560
ISSN-L : 0915-0560
14 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 安田 八十五
    2001 年 14 巻 1 号 p. 3-16
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    日本では一般廃棄物を効率的に減量化し衛生的に処理する手段として、焼却処理が広く普及してきた。しかし私たちの生活が豊かになるにつれプラスチック等の多種多様な廃棄物が発生しそれを焼却処理する過程でダイオキシン類を始めとする有害化学物質が発生するようになり、それらの発生を抑制することが急務となっている。 厚生省は一般廃棄物処分場からのダイオキシン類の発生を抑制する手段として各地の自治体が保有する小型の一般廃棄物焼却場を集約し、ダイオキシンの発生を抑制しやすい大規模な焼却施設に集約するゴミ処理広域化計画を進めている。 本研究は、ダイオキシン対策を主たる目的とする廃棄物処理広域化計画及び廃棄物固形燃料(Refuse Derived Fuels:RDF)化政策の有効性を環境面及び経済面とから評価することが主たるねらいである。 本研究においては、環境影響負荷評価に関しては、Life Cycle Assessment(LCA)を適用し、経済面の総合評価に関しては、社会的費用便益分析(Social Cost Benefit Analysis)を中心とするプロジェクト評価論(Project Evaluation Theory)の方法論を用いる。 全域広域化直接ごみ発電(ガス化溶融、中継なし)方式の方が全体として費用が低いが、定性的因子を考慮すると、RDFプラントを域内に3ヶ所作り、RDF発電所を1ヶ所建設するという方式の方が優れていると考え、この方式をA県北西部地域の関係自治体に政策提言を行った。定量的に計算した費用の差が定性的因子の価値を表しているとみなすことができる。
  • 新田 義孝
    2001 年 14 巻 1 号 p. 17-24
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    政策研究院の人口予測結果によると、わが国の人口は2001年に1.26億人で最大となる。この予測を用いてわが国の二酸化炭素排出量を推定し、年率1%の省エネルギーを実行すれば、国内での二酸化炭素排出量削減で不足する分を海外のアルカリ劣化土壌や酸性劣化土壌を改良して植林することにより、京都議定書で定めた2010年の排出量削減目標値は達成できることを示した。また、政策研究院の予測では、世界人口は2030年に73.6億人で最大となる。この予測を用いると、世界の二酸化炭素排出量は、先進国が年率1%で削減し、途上国は20世紀中にそうであったように一人当たりの排出量を年率1.3%程度で増やしていっても2050年ころまでは約80億トンで安定する。これは、IPCCのS550シナリオにほぼ合致し、それ以降途上国も排出量削減に参加すれば、2050年以降排出量が減少するという同シナリオを、21世紀中なら遂行できる可能性があることを示した。
  • 八木田 浩史, 玄地 裕, 嵐 紀夫, 匂坂 正幸, 稲葉 敦
    2001 年 14 巻 1 号 p. 25-32
    発行日: 2001年
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    都市における一般可燃ゴミのエネルギー利用技術の評価を目的として開発された最適化型エネルギーモデルであるROSE(Refuse Option for Supplying Energy)モデルを用い、将来におけるゴミ発電の導入可能性について、東京都23区を対象として検討した。その結果、可燃ゴミ処理の広域化を前提として大型のスーパーゴミ発電を含むエネルギーシステムを導入することにより、コストの増加を伴うことなく対象地域における系統電源からの電力供給量および電力供給に起因するCO2排出が削減出来ることを示した。通常の小規模なゴミ発電は、システムコストを最小化する場合は導入されないが、CO2排出量を最小化する場合には導入される。可燃ゴミからのエネルギー供給の推進に当たっては、コストおよびCO2排出量の両面からの検討が必要である。
  • ガソリンへの炭素税課税を対象として
    維田 隆一, 綿秡 邦彦
    2001 年 14 巻 1 号 p. 33-47
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    我が国における産業別での二酸化炭素排出量を見ると、民生、運輸部門での排出量の伸びが著しい。本研究では、我が国における二酸化炭素の削減を運輸部門のみで行うことを前提とし、運輸部門の中でも自動車が燃料として用いているガソリンの消費量を削減することを目的とした。消費量の削減には、ガソリンへの炭素税の課税を行い、それによる価格上昇で消費抑制を行うこととする。 炭素税導入には税率の根拠についての議論がまだ完全になされていない。そこで税率の算出には、ガソリンという「財」の性質を見極め、それに基づいた妥当な課税が可能になるように、ガソリンに対する需要価格弾力性の概念を導入することとする。そして、税率の算出とそこから得られた値を基にガソリンへ炭素税を課税した場合の税収や我が国におけるこの種の課税可能性についても検討した。
  • 玉山 昌顕
    2001 年 14 巻 1 号 p. 49-58
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    黄河断流を緩和乃至は阻止する方法を検討した。黄河の水不足問題を解決:することなく、1999年6月に江沢民主席が提言した中国西部大開発を実行することは不可能と見るからである。如何なる産業の開発にとっても、水需要の増加は避けられない。現状のまま西部大開発を押し進めれば、黄河断流距離が伸び、下流域の水不足はますます深刻化する。本論は、上記状態の緩和を計るため4種の増水方法と1種の総合的表面水監視網を提案する。 それらは、1.青蔵高原における主要河川水の地下水化、2.大西線プロジェクトの促進、3.黄河の分水と再合流、4.黄河沿岸緑地帯及び全支流沿岸緑地帯の緑度強化、及び河川状況リアルタイム把握のためのネットワーク構築である。上記目的のため新機構が設立されなければならない。例えば、仮称西部水資源開発供水公社(公司)の設立を提案する。
  • 亀田 泰武
    2001 年 14 巻 1 号 p. 59-63
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    人類の歴史の中で都市は情報発信、入手の場として常に成長を続け、集積し巨大化していき、その過程で工業などを分離してきた。最近の高度情報化は情報産業活動さえも都市から分離して活動することができる世界になりつつある。この結果巨大都市の必然性が薄れ、仕事がしやすく、住みやすい社会の形成がしやすい環境になると考えられる。また様々な都市が地域条件を生かし、優れた地位を目指して競争するようになると予測される。
  • トイレをめぐる諸問題
    清水 将之
    2001 年 14 巻 1 号 p. 64-72
    発行日: 2001年
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    日本を代表する山岳である富士山は、日本の山岳環境問題の縮図である。今日の富士山の山岳環境は、環境許容量を越えた登山客が訪れ様々な山岳環境問題を惹起させている。そこで、本研究は富士山の山岳環境についてトイレを巡る問題に焦点をあて、富士山に点在する山小屋に聞き取り調査と実験を行った。 その結果、以下の事が判明した。(1) ほとんどの山小屋でトイレを改善したいと希望している。(2) 山小屋のトイレはチップ制(有料)であるが、あまりチップを入れる人は多くない。(3) バイオ型のトイレに対してほとんどの山小屋で興味を持っている反面、運用に不安を持っている。(4) 登山客のマナーはルートによって異なるが、悪くなりつつある。(5) 携帯式トイレは富士山や登山行動日数1~2日の山では使用が可能である。
feedback
Top