MACRO REVIEW
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19 巻, 1 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 秩序を如何に維持するか?
    角田 晋也, 木下 幹夫, 谷本 光生
    2006 年 19 巻 1 号 p. 3-11
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    統合失調状態で背反する複合的な問題につき、マクロエンジニアリングは、リスクの大きい最適解ではなく、無難解を指向する。ポスト化石燃料時代には、石油に代わる液体燃料の不足により鉄道や大陸間・島嶼間海上短距離定期航路の安全保障上の重要性が増し、これら運輸の要衝を制する者は沿線の覇権をも掌握する。人口は岸辺や沿線に集中する。エネルギー源が多様化して、エネルギー源産出地が分散すると、エネルギーよりも希金属や食糧・水資源が安全保障上重要になるので、これらの開発・生産・流通の事業を掌握する必要がある。特に、産出地が地理的に極端に偏っている希金属の輸送路は生命線となる。
  • 第一部地球環境:続編
    綿抜 邦彦
    2006 年 19 巻 1 号 p. 13-19
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    MACRO REVW Vol.17,No.1「人類と地球」(綿抜2004)の続編として、地球環境の解説をする。参考論文は前回に挙げたので、今回は一部を追加して挙げるにとどめる。
  • 2006 年 19 巻 1 号 p. 19
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
  • 木本 研一
    2006 年 19 巻 1 号 p. 21-26
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    エネルギー消費国はエネルギー源の多様化により対応しようとしているが、既に完全に社会生活の中に組み込まれてしまっている化石燃料を他に転換することはそう簡単なことではない。なぜなら、これは単なるエネルギー確保だけの問題ではなく、人口問題ひいては食糧問題、環境問題とも密接に関連するものであるからである。このような問題に対処するには国家間の連携が不可欠である。地球上の限りある資源を大量に消費することは控えて、それぞれの特徴に応じて他で代替できないものを中心にできるだけ長く利用するような方策を考えるべきである。石油を原料としたプラスチック類も最近では環境負荷を考えて生分解性のポリ乳酸、ポリ琥珀酸などに切り替えるような動きがでてきており、化石系資源の代替化はコストの問題さえ解決すれば再生産可能な資源に移行することができるようになってきている。
  • 角田 晋也, 玉山 昌顕, 北見 辰男
    2006 年 19 巻 1 号 p. 27-36
    発行日: 2006年
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    化石燃料を燃焼して大気中に廃棄する量を半減しても大気中のCO2濃度の上昇を半減するだけであって、地球温暖化防止の観点からは延命措置にしかならない。世界のCO2排出の2割は運輸に伴うものである。運輸エネルギーは石油に依存すると同時に石油利用諸用途のうち運輸の占める割合が大きいので、石油供給が半減すると、自動車や船舶から鉄道へ輸送振替が進む。自動車や船舶の代替液体燃料としては、バイオエタノール、バイオディーゼル燃料、およびDMEがある。バイオマス燃料を利用しても大気中のCO2濃度は増減しないと看做される。エネルギー源が多様化して、エネルギー源産出地が分散すると、エネルギーよりも運輸、特に鉄道や大陸間・島嶼間海上短距離定期航路が安全保障上重要になる。これら運輸の要衝を制する者は沿線の覇権をも掌握する。輸送距離が短くなるため、資源供給の制約から各鉄道沿線内でのリサイクル・リユースが促進されるとともに、立地条件が重要になる。人口も沿線に集中する。外国に低賃金労働すなわち低付加価値工程をアウトソーシングできなくなるので,国内所得格差が増大する。
  • 玉山 昌顕
    2006 年 19 巻 1 号 p. 37-47
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    中国におけるポスト化石燃料時代の到来は予測しにくい。数十基の原子力発電所を建設する計画があるとはいえ、現状は化石燃料の消費拡大計画に余念が無く、それを止められない。然らば、化石燃料消費総量に上限値を決めてそれ以上の需要は新エネルギー、ソフトエネルギーに依存するように方向付けしたらどうか。中国は先端技術に敏感であり、中国新能源網の大分類には、太陽エネルギー、風力、波浪、バイオエネルギー、メタノール、エタノール、沼気(天然ガス)、地熱、熱泉温泉、DME、メタンハイドレート、水素、燃料電池、小規模水力発電などが列記されていて、廃棄物熱循環を加えればどこの先進国とも変わらない。中国の化石燃料事業は活発で経営基盤も強い。石炭輸送鉄道網の新設と強化、壮大な天然ガスパイプラインの敷設事業からもそれを見受けることが出来る。しかし、従来設備を加えても加えても需要に供給が追いっかない。新エネルギーと化石燃料エネルギーの併用論が強力に、真剣に打ち出されるべきではないか。そのタイミングは直前にある。
  • ブラジルのオランダ病の可能性についての一考察
    茂木 創
    2006 年 19 巻 1 号 p. 49-56
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    化石燃料である原油価格の高騰をうけて砂糖の価格が高騰している。これはポスト化石燃料と目されるバイオエタノールの主原料がサトウキビであることと無関係ではない。バイオエタノール輸出国であり、サトウキビ生産国でもあるブラジルは、それまで安価だった資源(サトウキビ)が新たな価値をもつことになり、そのためにオランダ病が引き起こされる可能性がある。環境問題解決は先進工業国がリーダーシップをとるべき問題かもしれないが、問題解決方法を決定する際には、他国経済への影響をも十分考慮すべきである。
  • 角田 晋也
    2006 年 19 巻 1 号 p. 57-64
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    足るを知って消費の増減がない世界全体では、生産から消費を差し引いた余剰に生産加速が比例するという条件、かつ、長期的には技術革新が減速する傾向ではないという条件が満たされない限り、生産の成長率は減衰する。本人の害になるにも拘らず程々でやめることが「できない」依存症は「足るを知らない」状態である。社会の持続可能性を高めるためには「足るを知る」必要がある。社会の持続可能性がある程度高まったら個々人の「やりたいこと」よりも「すべきこと」を優先する社会から「できること」を優先する社会に移行したほうがよい。日本の現段階では、発展途上国への投資を促進するため個人レベルで消費を積極的に抑制し、個々人の能力に応じて、科学技術振興による高付加価値技術開発および特許取得を進めると同時に日本株式会社から日本持ち株会社ヘリストラする。
  • 玉山 昌顕, 角田 晋也, 都留 信也, 木本 研一, 深尾 徹, 鳴尾 真二, 石井 三雄, 北見 辰男, 高木 清光, 一之瀬 快朗, ...
    2006 年 19 巻 1 号 p. 65-70
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    他研究グループと当学会合同研究会との討論会の基礎的項目の構築を図る。貨物と旅客の優先性、国家百年の計なのか、着工待ったなしなのか、ビジネスジェット機受入は、中継ハブ空港なのか、真のハブ空港にするための国家戦略は何か、24時間営業の空港がなぜ首都圏に必要か、必要ならばその機能と運用方法の整備、新幹線駅と地方空港間の交通の利便性、東京湾の環境保全・海運、埋め立てに反対、補償問題・騒音問題等々が議論された。結論は無く、継続審議の価値ある主題である。
  • 木本 研一
    2006 年 19 巻 1 号 p. 71-76
    発行日: 2006年
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    空港施設だけに限定することではなく、周辺の既存インフラを最大限に利用しつつ最小の費用でハードおよびソフト両面について改善することによって仮想的に大空港の機能をもたらすことが可能である。そのために、空港そのものだけではなく、道路交通や輸送関係のインフラなどを含めた都市機能そのものとの有機的なリンクを考えたアクセス手段とセキュリティを十分に確保したマクロシステムを構築することは、仮想的に巨大な空港を建設すると同じような効果をもたらす可能性がある。
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