MACRO REVIEW
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23 巻, 1 号
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巻頭言
  • 茂木 創
    2010 年 23 巻 1 号 p. 1-4
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/30
    ジャーナル フリー
    今年(2010年)、日本マクロエンジニアリング学会(JAMES)は設立から25周年を迎える。振り返れば、本学会が設立された1985年は、世界がその様相を大きく変化させるに至った「転換点」といえる。この25年の間に、国際的相互依存関係は急速に深化して経済がグローバル化し、われわれは多くの利益を享受できるようになった。しかし、かつては局地的だった危機もまた瞬時に伝播するようになった。こうしたグローバル危機への処方箋として、効果的な技術開発と国際的な政策協調の推進が喫緊の課題となっている。同時に、国際協調の下、生み出された新たな技術を効率的に組み合わせた政策提言―グランド•デザインを構築していくことの重要性が増している。
    JAMESは設立当初から、地球規模で考えねばならない問題について、各分野の専門家の叡智を集結させ議論を行ってきたが、2010年にはパキスタン•マクロエンジニアリング学会との学術協定を締結し、複眼的な国際視野での活動が期待されている。後に振り返って、2010年が、日本マクロエンジニアリング学会が真の国際化に向けてその一歩を踏み出した転換点となることを祈念したい。
論壇
  • 角田 晋也
    2010 年 23 巻 1 号 p. 5-11
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/30
    ジャーナル フリー
    シミュレーションによる今世紀の気候変動の傾向から、水ストレスの高い地域では、穀物の増減収が見込まれる。低所得水準でかつ穀物生産増収が見込まれる地域では、投機に伴う数年程度の時間スケールでの穀物価格の騰落に対して脆弱なBOP層農業の生産性を農業•環境BOPビジネスにより世紀程度の時間をかけて次第に向上することにより、当該地域の経済成長や穀物価格騰落に対する抵抗力の強化のみならず、世界人口増加の下での穀物需給均衡に貢献できる余地がある。
  • -日本・中国・アメリカ・EUの政策比較を視点として-
    秋吉 祐子, 増子 隆子
    2010 年 23 巻 1 号 p. 13-21
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/30
    ジャーナル フリー
    2008年夏をピークとした食料価格高騰•食料危機は3F(Food:食•Energy:エネルギー•Finance:金融)の複合的要因から生じたグローバルな課題であった。これは一過性ではなく、2050年に予想される90億人以上の人口規模に食料生産が伴わなく再来すると予測される食料危機に至る前にも深刻な食料危機が起きる可能性は否定できない。食料危機を如何に防ぐかが現時点においても極めて重要なグローバルな課題である。この課題に適切に対応するために、我が国•日本、中国、アメリカ、EUにおける食およびエネルギー•金融政策を概観した結果、今後のあるべき政策の方向性は各国の食料自給体制にあると思われる。
研究論文
  • ~経済学•工学•農学•流体力学•疫学の統合モデルによる相互作用評価~
    鬼頭 浩文, 中野 諭, 酒井 裕司
    2010 年 23 巻 1 号 p. 23-34
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/06/30
    ジャーナル フリー
    中国では、石炭燃焼を起因とするSO2による健康被害や酸性雨などの地域的な大気汚染が問題となっている。本論文は、市レベルのローカルな問題を解決するための最適な環境政策を探る統合シミュレーションモデルの開発を目的としている。モデルは、工学分野において研究•開発されている安価かつ安定的な脱硫アクティビティを中国経済モデルに組み込み、SO2による健康被害推計とSO2拡散シミュレーションのサブモデルを連結したものである。また、脱硫アクティビティから生じる副産物を土壌改良に利用することの費用•便益を評価するサブモデルも統合している。ここでは、この統合モデルを使い、天津市と瀋陽市における脱硫アクティビティが健康•食糧生産•経済などに及ぼす相互作用について試算した。
研究ノート
エラータ
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