MACRO REVIEW
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25 巻, 1 号
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特別寄稿
  • 北村 陽慈郎, 鯉沼 秀臣, 黒川 浩助, 藤岡 洋
    2013 年 25 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2013/01/07
    公開日: 2013/04/05
    ジャーナル フリー
    アラブ諸国では,日本の技術力に対する信頼が極めて高い.また,日本製の工業製品や家電製品は,MENA(中東・北アフリカ)諸国においても,非常に高い評価を得ている.それゆえ,MENA地域では日本の科学者や日系企業との共同研究のニーズが高い.[1]  一口にアラブ諸国と言っても,それぞれの国では,国柄や政治制度や国家財政が異なるため,石油資源が豊富で化石燃料を大量に日本へ輸出しているサウジアラビアやアラブ首長国連邦やカタールのような湾岸諸国の産油国と,モロッコ,アルジェリア,チュニジア,リビア,エジプトといった北アフリカ諸国では大きな差違がある.  しかしながら,アラブ諸国には,(1)イスラム文化をベースとしたライフスタイルや,(2)自国のハイテク産業を育成したいというニーズや,(3)アラビア語が通じるなどの共通点があり,日本・アルジェリア連携プロジェクトで蓄積した経験が,他のアラブ諸国でも応用できる可能性が極めて高い.  そこで,本論文ではアルジェリアを起点とした学術基盤産業化指向プロジェクトであるサハラソーラーブリーダー(SSB)計画を実例として取り上げ,日本とアラブ諸国との産学連携を伴う科学技術外交と,資源外交とエネルギー安全保障の将来図について考察する.
  • 北村 陽慈郎
    2013 年 25 巻 1 号 p. 11-19
    発行日: 2013/01/07
    公開日: 2013/04/05
    ジャーナル フリー
    巨額のオイルマネーの運用先を求めているMENA(中東北アフリカ)地域の産油国諸国にとって,自国の砂漠に無尽蔵にある砂を原料として,太陽光発電パネルの製造に必要な高純度結晶シリコンを製造する工場と,そのシリコンから太陽光パネルを製造する工場を作り,自己増殖的に太陽光発電事業を行うSSB計画は,まさに理想的な組み合わせである.  SSB計画には少なからぬアラブ諸国の政府高官やSWF(政府系ファンド)が期待を寄せており,一日も早い計画の実現が求められている.SSB計画はイスラム圏の産油国諸国にとってのみ理想的なのではなく,日本にとってもドル安に起因する産業の空洞化,そして予見される日本の国家経済破綻をも回避できる可能性を持った極めて重要なプロジェクトである.  しかし,エネルギーのパラダイムシフトについて考える時,国際決済通貨やエネルギー・水資源・食糧の安全保証などは避けて通れない問題である.また,SSB計画のようなマクロ・エンジニアリング・プロジェクトでは,多分野にわたる科学者や専門家のみならず,産官や市民社会とのコンセンサスの形成も重要な課題となる.  本研究論文ではSSB計画の実現に向けて,コンセンサスの形成と,日本円を基軸通貨としたシリコン・太陽光エネルギー本位性経済の確立と,シリコン政治経済学の創生の必要性について述べる.
研究ノート
  • 吉野 文雄
    2013 年 25 巻 1 号 p. 21-25
    発行日: 2013/01/07
    公開日: 2013/04/05
    ジャーナル フリー
    2011年3月11日に発生した東日本大震災とそれに続いた東京電力福島第1発電所における原子力発電所事故は、日本経済に多大な影響を与えた。しかし、その影響の実態が必ずしも明らかにされたとは言えず、それがゆえ震災と放射能汚染から復興するための経済政策についても諸説が唱えられている。本稿では、震災から1年にわたる経済統計をもとに、放射能汚染を含む震災の経済的な影響を分析し、ありうべき復興のための経済施策を提言する。結論は、不況からの復興と震災からの復興を分離し、震災からの復興については被災地域に限った復興を目指すべしというものである。
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