風水害リスク評価の事業環境につき建設・BCPコンサルタントや損害保険会社などの民間事業者にヒアリング調査を行い、産業規模と潜在顧客を推定した。公的資金に依存せずとも採算が取れるための必要条件は、受益者を課金対象として特定できることである。公共事業の下請けの場合と公的資金に依存しない場合のいずれにおいても、全球温暖化シミュレーションデータを水平2km以下の高解像度にまで力学的ダウンスケーリング(DS)できる専門的な企業がデータ流通のエコシステムに不可欠である。(1) 当面は国の防災基準や損害保険料率などを設定するための日本全域でのDSに大量の計算資源が必要となる。その計算は大学または公的研究機関の支援の下、気象・乱流シミュレーションを専門とする企業(DS専門企業)にアウトソーシングする。その際に、大学または公的研究機関の知的財産権をDS専門企業に独占利用させない。(2) OPenDAPサーバによる超大容量データの取り扱いには限定されたDS専門企業とのパートナー契約が必要である。
消費者の効用が消費と貯蓄によって決まるモデルを用いて,独占的競争のもとで労働供給が弾力的(分割的)であり,規模に関して収穫逓増的な技術の場合にも均衡財政乗数が1になることを示すとともに政府支出が十分でなければ非自発的失業が存在し,名目賃金率や物価が伸縮的であっても非自発的失業は解消せず完全雇用が自動的には達成されないことを証明する。またごく簡単なモデルによって企業と消費者からなるゲームのナッシュ均衡において非自発的失業が存在しうることを示す。
環境にやさしい農業として,有機農業が注目されている。有機農業では,化成肥料や農薬を使わず,家畜ふん尿堆肥や有機質肥料を施用しているが,これらは土壌中で分解されて硝酸イオンになり,作物が吸収しなかった分の多くは地下へと溶脱する。硝酸態窒素は,水環境における富栄養化の原因物質であり,飲料水中では乳幼児のメトヘモグロビン血症のリスクもある。本研究では,有機農業が盛んな宮崎県綾町錦原台地の周辺における環境水を10カ所選定して2週間に1度採水し,その硝酸態窒素濃度を測定した。その結果,10カ所の内1ヵ所のみ,特に4月頃からは10 mg/Lを超える濃度で安定していた。しかし,現在のところ綾町錦原台地周辺の水環境については,湧水の飲用に関して注意しておけば十分と考えられる。