MACRO REVIEW
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33 巻, 1 号
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研究ノート
  • 迯目 英正, 八木田 浩史, 角田 晋也, 伊藤 拓哉, 鈴木 誠一, 小島 紀徳
    2021 年 33 巻 1 号 p. 1-39
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/30
    ジャーナル フリー

     スターリングエンジンはカルノー効率に近い発電効率を発揮できる「夢のエンジン」と言われてきたが、200年間、実用化・普及に遅れていた。2015年、Jürgen Kleinwächter(ユルゲン・クラインヴェヒター)教授は長年の研究を経て低温スターリングエンジンSunpulse500(高温側熱源温度200℃・低温側熱源温度25℃で、出力500W、発電効率12%)を発表した。

     筆者らはSunpulse500を参考に、低摩擦係数素材や高性能断熱材などの最先端技術を採用し、新たな低温スターリングエンジンを開発した(実験機の実施設計レベル)。著者らの試算では、高温側熱源温度95℃・低温側熱源温度5℃で、出力308W、発電効率11.4%を達成できる。

     低温スターリングエンジンは、エクセルギーが小さい低品位の熱源を利用でき、太陽熱湯沸装置を用いることでエネルギーロスや装置・運用・熱源コストを下げ、発電効率に優れるので発電コストを下げ、他の発電装置・発電方式に対し価格競争力をもつ。

総説
  • 迯目 英正, 八木田 浩史, 角田 晋也, 伊藤 拓哉, 鈴木 誠一, 小島 紀徳
    2021 年 33 巻 1 号 p. 40-51
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/30
    ジャーナル フリー

     発電の安全性・安定性・負荷追随性・拡張性・低コストなどを備え、環境保全に資する太陽熱水発電(Solar hot water Thermal Energy Conversion、以下STEC)を開発した。

     LSTECは、熱源を太陽熱とすることで不偏的かつ実用的に無尽蔵であり、集熱温度を95℃に下げることにより集光・作動媒体輸送・蓄熱におけるエネルギーロス・装置コストを抑え、発電の安定性(24時間/日かつ365日/年)を確保し、別報で可能性を検討した低温スターリングエンジンの利用で発電効率を改善し、発電コストを低減できる。

     更に、STECは太陽熱に限らず低品位の排熱・地熱などを利用できるので、熱汚染やヒートアイランドの解消に資するほか、低コストで必要十分な電力・エネルギーを家庭・企業・地域・国家単位で自給できるようになり、世界の環境・生活・社会・文化基盤に貢献する。

  • 田中 靖人
    2021 年 33 巻 1 号 p. 52-70
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/04/30
    ジャーナル フリー

    独占的競争のもとでの世代重複モデルを用いて需要不足による非自発的失業の存在について考えるとともに,財政政策によって完全雇用を実現する可能性を検討する。主な結論は以下の通りである。非自発的失業が存在する状況において財政支出の拡大によって完全雇用を実現するためには財政赤字にして政府債務を作る必要があるが,その後完全雇用を維持するためには均衡財政が求められる。したがって最初の政府債務を返済する必要はない。同様に減税によって完全雇用を実現する場合も,その減税による直接的な消費増加分の財源は政府債務で賄い,それを返済する必要はない。政府債務を返済しないというのは満期のない国債にするか,中央銀行が買い取ることを意味する。

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