MACRO REVIEW
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4 巻, 1 号
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  • 山元 龍三郎
    1991 年 4 巻 1 号 p. 3-17
    発行日: 1991/06/20
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    数値モデルによるシミュレーションは,温室効果気体の増加が地球の気候を著しく変化させる可能性を示している。シミュレーションの設定条件を改善して自然条件に近づけるために,観測事実と対比してシミュレーションの結果を検討する必要がある。このような目的をもつ気候診断について,その問題点と方法を論じた。そして,結果の信頼度を指示して地球規模の気候変動の実態を示した。二酸化炭素の増加の著しい1960年代以後の有意な温暖化は,南半球平均気温でのみ認められ北半球平均では見られない。この南北非対称性は,二酸化炭素の増加にともなう気候の数値シミュレーションの結果と一致しないので,エアロゾルの影響などを考慮する必要を指摘した。また,気候要素の多年の平均値が唐突に変わる気候ジャンプについても言及した。
  • 古環境のゆらぎの検討
    川上 寛人, 綿抜 邦彦
    1991 年 4 巻 1 号 p. 19-22
    発行日: 1991/06/20
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    地球環境のゆらぎを把握するために,琵琶湖ボーリングコアの解析データを利用し,各因子を時系列に従って整理,計算し,得られたデータをパワースペクトル解析にかけた。 同時に地球の公転,自転に対する他の天体の作用が及ぼすゆらぎの結果をミランコビッチの日射量変化として解析した。その結果,1/fゆらぎになることが明らかとなった。 ボーリングコア中の全炭素含有量,全窒素含有量δ13Cなど,古気候の変動は1/fゆらぎとして把握することができた。すなわち,古気候の変動はランダムではなく,自然の一つの規則性に基づいて変動していることが明らかとなった。これは地球環境のゆらぎとサイクルの研究が今後の地球環境の変遷に有用であることを示唆するものである。
  • 自然との調和を織りなす新しい文明と文化のコンセプトデザインのために
    島田 眸
    1991 年 4 巻 1 号 p. 23-41
    発行日: 1991/06/20
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
  • 木下 幹夫
    1991 年 4 巻 1 号 p. 43-49
    発行日: 1991/06/20
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    地球環境の問題の本質的解決は,次の世代に委ねられた課題ではなく,現在の我々に課せられた課題であるといえる。化石燃料を完全に代替し得る資源量を持ち,地球環境と調和し,かつ地球科学的なタイムスケールにおいて永続するエネルギー源を開発することは,今日問題となっている地球温暖化問題,酸性雨による生態系破壊を本質的に解決するために必要なことがらの一つである。このための一つのアプローチとして,上昇気流型風力発電がある。大規模な風力発電装置を実現するためには,対流圏において高い高度を有する構造物を構築することが必要である。構築に必要な資材とエネルギーを低下させるためには,構造物の密度を低下させることが重要であるといえる。空気膜構造物を用いた上昇気流型風力発電装置の構造について考察した。高度5kmに到る空気膜構造物は数千万~数億トンの鉄鋼など通常の材料により,高度10kmにいたる構造物は数千万~数億トンの既存の高張力材料により構築可能で,数億~100億kWの風力による発電が期待される。熱源としては太陽放射,温暖な表面海水が考えられる。
  • コンピュータソフトの試作と応用
    木曽 文彦, 角田 晋也, 綿抜 邦彦
    1991 年 4 巻 1 号 p. 51-53
    発行日: 1991/06/20
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    太陽定数,アルベド,赤外吸収の変化が地球の平均平衡温度にどのような変化をもたらすかをコンピュータソフトを試作し計算した。太陽定数1.96cal cm-2min-1,アルベド33%,赤外吸収率50%を基準とし,太陽定数,アルベド,赤外吸収率をそれぞれ独立に変化させた。太陽定数を1.88から2.04まで変化させたところ,-2.98℃から+2.98℃の変化が認められた。アルベドを30.0から36.0に変えたところ+3.17℃から-3.28℃の変化を得た。赤外吸収率を47%から53%まで変化させたところ,-4.16℃から+4.49℃の変化が認められた。これらの結果から,これらのパラメーターの変動による効果はかなり大きいことが明らかとなった。なおこのコンピュータソフトは3種のパラメーターを自由に変え,平衡温度が計算できるようになっている。
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