MACRO REVIEW
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8 巻, 2 号
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  • 大川 宏
    1996 年 8 巻 2 号 p. 71-80
    発行日: 1996年
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    人類の将来の活動の場として大洋海面を提案する。太陽光、空気および水(雨水)が得られ、かつ広大な地球表面は大洋海面のみと言える。大洋海面の一部を浮き防波堤で囲み、洋上に内湾を形成し、この人工内湾に人工土地等の施設を浮設する。この施設は目的に合わせた各種の設備ユニット、例えば穀物ユニット、資源植物ユニット、エネルギーユニット等の主に一次産業に属するユニットとして準備される。 これらの一次産業ユニット例えば森林ユニットは、巨大なゴムボートに似た雨水を溜める雨水プールと、この雨水プールの水上に浮設された空気を封入して形成されたゴムマヅト状の人工地盤と、この人工地盤上に配置された土壌とで構成されている。この森林ユニヅトはゴムシート等の柔軟シートで形成されているため、応力集中が起こりにくい。このため巨大な構築物として形成できる。また、雨水を利用するため真水を得るための経費を必要としない。この森林ユニットは3,000円~30,000円/m2で構築できる。 一次産業ユニットに続いて、居住ユニット、二次および三次産業ユニットが設けられる。このように大洋海面を活用することにより、人類の活動の場が広がり、自然環境の劣化を抑制、改善できる。
  • 琵琶湖との比較研究にもとづいて
    安田 八十五, 舟木 賢徳
    1996 年 8 巻 2 号 p. 81-91
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    霞ケ浦の土浦市で実施された4つのアンケート調査から、1975年に導入された粒状活性炭ろ過と1985年に導入された生物処理装置導入の効果は、水道水のカルキ臭やカルキ臭以外の臭いを感じる人の割合を半減させたことである。しかしながら、まだ21%の人々は、カルキ臭以外の臭いを感じており、また約4割の人々は水道水がまずいと感じている。このような汚れた霞ヶ浦の水から作られた水道水を飲まざるを得ない土浦市の人々は、その被害を防止するための様々な費用を支出しており、その被害防止支出額の合計額は霞ヶ浦給水人口約39万人で、約43.4億円/年に達している。また、CVMでの支払い意思額WTPの測定では、すくって飲めるまでの水質改善の便益は、琵琶湖での計測結果が1人1ケ月3,964円に対して、霞ケ浦では1人1ヶ月5,454円であって、この額は割引率5%、耐用年数30年での投資価値は4,821.8億円と推計された。
  • 高千穂 安長
    1996 年 8 巻 2 号 p. 92-99
    発行日: 1996年
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    太平洋島嶼諸国の特徴は、パプア・ニューギニアなどの例外を除けば、国土の狭小性と散在性、世界の主要市場からの隔絶性である。このため、その開発にあたっては、多くの困難が伴う。わが国は人道的立場、水産資源確保などから従来、水産振興、人材育成、人道的立場からの支援などを太平洋島嶼諸国に行ってきた(注1)。これらの支援の方向は正しく、有用であり、引き続き支援する必要がある。そのうえで、これら諸国の経済の自立のための支援を考えると、今後は、魚類・海草・コブラなどの自然の再生可能資源、太陽光線や海水など無尽蔵に近い資源および人材の活用による産業振興を目指す必要がある。そのために、マクロエンジニアリングの大規模性が必要になるケースも考えられる。本稿では、開発が難しい太平洋島嶼諸国の極小国家の中から、350万平方キロメートルという最大級の200海里経済専管水域を有し、わが国にとって水産資源確保のうえから重要で、また第2次世界大戦時に日米両軍の大激戦が行われ(写真1)、わが国と関係が深いキリバス共和国(以下キリバス)を対象に、持続的成長、経済的自立を前提とする支援の例を、貿易、観光、海外出稼ぎの3分野に絞り、マクロ・エンジニアリングの立場から考察する(注2)。
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