気象集誌. 第2輯
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39 巻, 4 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 相原 正彦
    1961 年 39 巻 4 号 p. 157-174
    発行日: 1961/12/28
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    簡単な形の一般流と擾乱を初期に与えて,その時間的変動を非線型渦度方程式の数値積分により追跡した。初期の一般流と擾乱の運動エネルギー交換の向きは,それぞれのスケールの大小によつて定まり,大きいスケールの系に流れる。また一般流の運動エネルギーは,一定の周期をもつて変動する。この周期は,解析的計算の結果と比較された。また大気中の順圧過程による,代表的な一般流と擾乱の間のエネルギー交換の向きも調べてみた。
  • 曲田 光夫
    1961 年 39 巻 4 号 p. 175-186
    発行日: 1961/12/28
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    同一の2量間の相関係数にしても,資料の期間の採り方によって違う値が得られるので,比較的短期間の資料を用いて計算した相関係数の値が,資料期間を順次に変えて行った場合に,どのように変動するかを調べ,力学的考慮によって,その変動がある程度説明できることを示す。また,渦度方程式を線型部と非線型部に分けて,1日,5日,10日の移動平均を施し,各項間の相関係数を調べ1時間変化の項と,線型部の間には,一定の相関々係が見られるが,非線型項との相関は,不明瞭であることが分った。いわゆる相関法によって予報を行う場合に,安定した相関係数が必要なわけであるが,そうでない時にもその内部的性質を明らかにすることによって,相関係数の変動が予報できるわけである。
  • 柳井 迪雄
    1961 年 39 巻 4 号 p. 187-214
    発行日: 1961/12/28
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    1958年水爆実験のためマーシヤル群島に特設された高層観測網の資料を利用して,7月下旬に発生した13号台風(Doris)の初期の詳細な解析を行った。はじめに従来の台風発生に関する諸研究を概観し,解析の意図を明らかにしておいた。
    問題の擾乱が大きな上層高気圧性細胞下の偏東風波の状態から渦になるまでの主要な出来事を記述した。偏東風波の状態ですでに広範囲にわたる強風域,組織的な垂直流分布を伴っていたこと,上昇流による厚い湿潤層の形成,cold core型からwarm core型への転化などが明瞭に示された。海面気圧の急激な下降はwarm coreの形成後に始まる。
    cold→warm coreの転換を含む36時間にわたり,6時間おきの流線解析に基づいて渦度,水平発散および垂直流の3次元的分布を計算し,更に渦度の時間的変化を追跡した。下層での収斂による渦度の強まり,その上方への輸送,上部対流圏での水平渦への転倒などを渦度方程式を項別に吟味して調べた.
    さらに温度と水蒸気量の解析に基づいて,擾乱域内の放熱量,凝結量を吟味した。中心部の上昇域が凝結熱の放出によりわずかに昇温すること,周辺下降域が蒸発によりわずかに冷却することにより,徐々にwarmcOre型の水平温度傾度ができる。この間,湿潤空気の成層状態はほとんど中立に近いようである。
    これらの解析結果に基づいて台風の発生過程を整理し,3つのstageをもつモデルにまとめた。すなわちcoldcoreをもつ偏東風波のStage(力学的上昇流を伴う),凝結熱によるwarm core型への転化のstage, warm core成立後の急速な発達のstageである。それぞれにおいて支配的とみられる力学的機構について予備的な考察を加え,今後解析的,理論的に追究すべき問題点を指摘した。
  • 小平 信彦, 青柳 二郎
    1961 年 39 巻 4 号 p. 215-229
    発行日: 1961/12/28
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    The Rayleigh approximation of small particles for microwave region cannot be satisfied to all raindrops. The approximated value of radar reflectivity factor Z (when πD/λ«1) was compared with the theoretical value (calculated from the Lowan's table and dropsize distributions). The attenuation constants for various kinds of rain are also listed from the same table.
    The antenna effective area for meteorological target is somewhat less than the effective area for point target. The effective antenna receiving area for the usual meteorological radar is about 0.4 times the actual aperture.
    Areal rainfall measured by radar rainfall contours is compared to raingauge observations, about 23 gauges in a section of 638 km2. The accuracy of the radar rainfall thus obtained is about ±5.7% when integrated for a period of more than an hour and it corresponds to the raingauge network of about one gauge per 80km2.
  • 伊藤 直次
    1961 年 39 巻 4 号 p. 230-235
    発行日: 1961/12/28
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    日本の主要な水源地となつている中部山岳地方は,大部分森林におおわれている。水利用の立場から流域全体についての融雪状況を推定する基礎として,融雪に友ぼす森林の効果を量的に表現する目酌で2つの実験を行った。その1つは森林密度を定義し,実際に流域中の森林に嚢いて,気球によつて森林密度を測定したものであり,第2は密度のわかった森林の内外での融雪量および気象要素の比較のために行ったものである。一般に融雪期に入る直前には,積雪相当水量は林外の開地の方が林内よりも大きい(この原因はまだ明らかでない)。しかし融雪の速度は林外の方がはるかに大きいために,林内の方が遅くまで積雪が残ることになる。筆者はここできめた定義による森林密度を使つて森林内の融雪速度を推定し,上記のような森林内での融雪過程を十分説明し得ることを示した。
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