気象集誌. 第2輯
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39 巻, 6 号
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  • 関原 彊
    1961 年 39 巻 6 号 p. 315-323
    発行日: 1961/12/28
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    地球上各緯度におけるオゾン量の10日移動平均値からの偏差について,大きな太陽爆発または大きな太陽微粒子輻射の影響を統計的に吟味してみた。
    計算の方法は太陽活動異常日を基準にして前3日から後10日までの変動を各異常日をもとにして平均的に求めるいわゆるKey day testまたはSuperposed epoch methodといわれるものである。オゾンのデータは日本5箇所,アメリカ5箇所,オーストラリヤ3箇所,イタリー3箇所,アイスランド1箇所,インド4箇所,スイス1箇所,計22箇所に関するもので,期間は1958年1月から1959年3月までのものである。
    太陽活動異常日としては二種類とり,地磁気Ap示数が45以上の場合と,著者により全世界の観測データをもととして計算きれたフレア示数が1500以上の場合である。
    結果はフレア異常日については最低緯度の場合をのぞき各緯度につき3∼4日後にオゾン量増加を示し,殊に20°∼30°の緯度圏ではその量が5%信頼限界を越えている。
    地磁気異常日については,計算された最高緯度圏(50°以上)において8日後に5%の信頼限界をこえるオゾン量増加がみとめられた。さらに最近Wardにより発表された地磁気異常日の3日後にオーロラ帯の100mb気温が上昇している事実に対応する変化としてはオゾン量がむしろ減少していることが指適される。中低緯度では見るべき変化はなかつた。
  • 松岡 春樹
    1961 年 39 巻 6 号 p. 324-330
    発行日: 1961/12/28
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    Lettauは接地気層のようなshearがある層内での拡散は,普通の拡散方程式に一つの項を追加したもので律せられることを主張しているが,著者はこの論文にお小て更にもう一つの項を追加せねばなら准いことを赤し,接地気層内の線源拡散に適用て,分散時間の短い場合と長い場合に対する鰍与え,既存の実験結果と対比してその験証の一端に当てている。
  • 栗原 宜夫
    1961 年 39 巻 6 号 p. 331-345
    発行日: 1961/12/28
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    現用のD55A(いわゆるGMD-1A型)受信機によるレーウイン観測から求められる上層風の値の精度を検討した。まず,ゾンデの連結飛揚による比較観測の報告を利用して等圧面高度観測誤差を系統的なものとランダムなものに分離した。次にその結果を用いて風速・風向誤差を計算した。風速誤差は500mbで2m/s,300mbで5m/s程度,風向誤差は風速の関数で,風速30m/sの場合には500mbでは最大3度,300mbでは最大8度位である。風速風向ともに誤差の大部分はランダムなもので,等圧面高度と高度角のランダム誤差をへらすことが,上層風の精度をあげるのに最も重要である。
    次にこのような誤差を有する資料を用いて大気運動の数値解析を行なつた場合の精度の問題をとり扱つた。運動方程式の各項の大きさを計算した場合,また多数例について平均値を計算した場合のそれぞれに対して誤差を見積つた。平均操作をすることによつて,多くの項は相対誤差が減少する。特に大気中の摩擦力を運動方程式中の残差として推定するような時には,十分に多数の例についての平均摩擦力を計算することが絶対に必要である。
    数値解析においては,上層風資料から各高度の水平発散を計算し,それらを垂直方向に数値積分して垂直流を計算することがよく行なわれる。このやり方で求められる垂直流の誤差を,数値積分に伴うもの,上層風誤差に基づくもの,観測時刻のずれによるもの,気球が流されるための位置のずれによるもの,気柱下端の垂直流の誤差によるものに分類し,それぞれについて調べた。垂直流誤差は上層たおいて急速に増大するものと考えられ,特に上層風誤差に基づくものが大きい。こめ点を考慮して,垂直流の誤差を補正する式(25)を提案する。
  • ネブラスカ州オネルで得られた観測資料の解析
    竹内 清秀
    1961 年 39 巻 6 号 p. 346-367
    発行日: 1961/12/28
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    特に温度成層のあるとぎの接地気層の構造を調べるために,米国ネブヲスカ州オネールで行なわれた観測資料を解析した。ソ連の学者によつて開発された相似理論をもとにして,風速および温度の平均値の垂直分布が"対数+直線"法則に従うとして,(∂U/∂logz)z=0, (∂T/∂logz)z=0およびあらさをあらわす長さなどの重要な係数が図から求められた。それらから摩擦速度,摩擦温度それに安定度をあらわす長さが計算された。それから重要な係数から求めちれる摩擦応力や乱流熱流束などの物理的な量が観測値と比較された。乱流の構造と安定度との関係が種々の観点から研究された。
    それらの結果は次のようである。(1)相似理論は成立している。もし直線項の"定数"が安定度と共に変化するとすれば,"対数+直線"法則は広い範囲で成立すると思われる。(2)すべての物理量はただ基礎的な補数(根本的には風速および温度の平均値の垂直分布)だけにより整理される。例えば,指数法則に従うと考えた場合の指数,風速の変動の標準偏差を摩擦速度で割つた値,風向の水平方向の変動の標準偏差,無次元のスペクトル密度と無次元の周波数との関係なども,高度を安定度をあらわす長さで割つて得られる安定度を使えばよく整理される。
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