気象集誌. 第2輯
Online ISSN : 2186-9057
Print ISSN : 0026-1165
ISSN-L : 0026-1165
40 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 孫野 長治
    1962 年 40 巻 4 号 p. 185-192
    発行日: 1962/12/28
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    手稲山で観測した雪の結晶の成長した雲層の温度を,中谷,Hallet and Masonや小林の人工雪の温度条件と比較した結果,Gold and Powerや村井の比較よりも一段とよい一致を示した。この理由は,雲層内の気温の推定をラジオゾンデに頼らずに,直接雲層内で実測したためであろう.この結果,降雪の結晶形が雲層内の気温の指示物として十分役立つことが明らかにされた。
    なお立体型の結晶や,異なつた結晶形の結晶から成立している雪片についても若干の考察を試みた。
  • 樋口 敬二
    1962 年 40 巻 4 号 p. 193-201
    発行日: 1962/12/28
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    1960年,12,月,北海道石狩平野において行なつた雪雲の航空機からの観察の結果を,Layer cloud, Shower cloud,Snow trai1にわけて述べた。 Photo.1にみるようなLayer cloudの場合,降雪域の間隔は,内部波として計算した波長と比較して妥当な値であつた。また,Photo.6にみられるように, Shower cloudめまわりにできる小さな積雲は,Shower cloudからの下降気流が下層の大気をおしあげた結果によると考えられる。 photo.5に示したLayer cloudからのSnow trailの傾きは,風速の分布から計算したものと,Fig.8に示すように,ほぼ,合致していた。
  • 寺内 栄一
    1962 年 40 巻 4 号 p. 202-212
    発行日: 1962/12/28
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    バロトロピツクの場合の従来の方式を,多パラメーターの場合に適用して,一般的な台風の速度を表わす式を導いた。その結果を用いると,特に2パラメーターの場合についての考察では,一般流のバロクリニツクな部分による速度の補正量は,通常の構造の台風ではバロトロピツクな部分の一般流の1/10程度にすぎない。しかし,上層で急激に,中心付近の低気圧性の循環が消失するような台風の場合には,この補正量は3/10位に達する。1パラメーターの場合について,実際のハリケーンの資料を用いて予報してみたが,バロクリニツクな考慮(Ã2>1)は,予報精度の上でプラスになつて現われる。
  • 栗原 宜夫
    1962 年 40 巻 4 号 p. 213-221
    発行日: 1962/12/28
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    北半球上97地点における6時間々隔の高層観測資料(1958年9月中の10日間)を用いて,境界層を除く対流圏内の等圧面高度,気温,風の観測値に見られる日変化を調べた。等圧面高度は,各気圧面とも地方時7時頃に日平均に比べて負の偏差,13時頃に正の偏差を示し,850mb面は一日に2回の極大と2回の極小をもつ日変化を示すことがわかつた。また300mbと850mb間の気柱全体について,日の出の少し後に気温は顕著に低くなり,午後は日平均よりも高温となる。
  • 村山 信彦
    1962 年 40 巻 4 号 p. 222-231
    発行日: 1962/12/28
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    1961年10月30日北極圏内核実験により生じた気圧波は地球を一周以上回り,日本で3回記録された。(1)最短距離を来た第1波,対蹠点を通つて来た第2波,地球を1周以上し再び第1波と同じ方向から来た第3波の伝搬速度はそれぞれ318,306,317m/s;(2)周期-速度関係は山元の4層モデルにかなりよく合う;(3)昭和基地の記録との比較より,第1波の波動のエネルギーは距離の2乗に逆比例する;(4)第2波の波面の顕著な変形;(5)第3波の最大振幅が第2波のそれより大きい,などがわかつた。爆発の規模の簡単な評価を行なつたところ,約56メガトン前後であると推定された。
  • 北日本の夏を規制する因子について
    大川 隆
    1962 年 40 巻 4 号 p. 232-241
    発行日: 1962/12/28
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    札幌の7,月々平均気温と前年11,月,同年1,月,3月,5月の北半球99格子点の月平均500mb高度との間の相関係数が,1946年から1960年までの資料で計算された。その結果,11,月のカスピ海北部の高度との間に+0.74,1月のバイカル湖南方の高度との間に+0.72の相関がある。その後,3,月の相関はこれらに比べるとかなり悪くなつているが,5月にはカムチヤツカからシベリヤ東部にかけて十0.6以上の正相関域が現われている。また札幌7,月気温に対する上記11月と1,月の重相関係数は+0.87となつており,7月の北日本気温は前年11月とその年の1月の北半球の循環の状態から確率的に規制されているといえよう。
    また,11月のカスピ海の近傍の高度は7,月のオホーツク海高気圧に,1月のバイカル湖南方の高度は7月の北太平洋中緯度高圧帯に関連していることを暗示する高相関が組織的に現われている。
  • 光田 寧
    1962 年 40 巻 4 号 p. 242-244
    発行日: 1962/12/28
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    非常に短い時間間隔の平均の風速は気象学上の興味の対象であるのみならず,建造物などに対する風の影響を見る場合にも問題となる。このような風速の最大値,すなわち普通瞬間最大風速と呼ばれるものと適当に長い時間,例えば5分または10分間の平均風速との比は突風率と呼ばれ,建造物などの設計風速の算出等に用いられている。この突風率(Gs)は瞬間風速の評価時間(s sec)のとり方によつて異なつた値をとるが,両者の間の量酌な間係については従来ほとんど研究されていなかつた。著者はSherlockおよびDeaconの観測資料に基づいて,この関係を調べた結果,それがG=(S/D)-pという経験式によつて良く示されることを見いだした。ここでDは平均風速の評価時間である。またPは新しく導入された指数で,平らな草地の地面上10mの高度では0.1程度の値を示し,高さとともに減少している。
feedback
Top