気象集誌. 第2輯
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42 巻, 5 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • スバラマヤ I., ラオ N.ヤガンモハナ
    1964 年 42 巻 5 号 p. 277-284
    発行日: 1964年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    インド各地の種々の強さの降雨の度数分布を調べた。分布はどの場合でも双曲型であることが分った。xを日雨量,ydxを降雨の度数,a,b,cを常数とするとy=a/(x+c)+bがデータと非常によく合うことが見出された。雨量と降雨日数とから常数a,b,cの値を求める理論的方法を考えた。
    この式を個々の観測所の日雨量にもあてはめて見たところ,90%以上の精度で合うことが分った。結局この式は地球上のどの部分にも適用できそうである。
  • 山口 協
    1964 年 42 巻 5 号 p. 285-298
    発行日: 1964年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    1961年9月4日,タイロスIII号から撮影された雲の分布について,降水雲構造,広い雲層発生機構を,気流,水平発散,収束に関連して解折をおこなつた。
    日本全国の全天写真観測網における雲の全天写真を用い,タイロスの写真の雲の位置をさらに正確に定めた。
    巻雲・高積雲のような雲の走向は気流もしくは風のシヤーの方向と密接な関係がある。下層雲の分布は地形の影響を強くうけ,雲の分布が変ることが示されている。
    また,巻雲層は水平発散層の下層に発生しているごとも示されている。
    降水雲モデルで,上層の氷晶が厚い中層雲層を落下して水滴の下層雲層中に落下し,上下各層間の雲のないすき間は水平発散収束で説明しうることをのべる。
  • 特別な循環型(B2型)の日別評価と議論
    土屋 巌
    1964 年 42 巻 5 号 p. 299-308
    発行日: 1964年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    第1報で提案したB2型(定常トラフの顕著なブロッキング型)循環を,1944年12月~1957年2月の13の冬季節から一定の規準のもとに選び出し,選出された30例について,その気候特性を調べた。北半球中緯度の約100地点の気象日表によって顕著な気温と降水の偏差傾向が米国東部や西ヨーロッパおよび日本などに見出された。この偏差の型は洪積世氷河期の大陸氷河の特殊な分布型を暗示させるものである。
    従って,第1報に提案したミランコピッチの仮説の適用はB2型循環を媒介として支持される結果となる。
    終りに1962/63年の異常な世界的寒波に対する簡単な考察を加え,B2型発現の条件の1例証を示した。
  • 駒林 誠
    1964 年 42 巻 5 号 p. 309-316
    発行日: 1964年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    海塩の水溶液の飛沫をつくり,6段インパクターを使用して飛沫を採集して,その化学組成を半径別に測定した。
    この実験の目的は不安定な海洋性気団の中に含まれる巨大凝結核と海水との組成の間にある差異を説明するためにしばしば設定される成分第一次分離説を検証することにある。
    実験に使用した母液はNaCI-MgC12, NaCl-CaCl2, NaCl-SrCl2及びNaCl-BaCl2を夫々蒸溜水に溶かした4種類の水溶液で,いずれもNa+の濃度は海水のそれと等しくしてある。
    実験の結果半径0.4μ程度の飛沫は母液と異った組成をもつことが見出された。この飛沫においては母液にぐらべてMg/Naが1.37倍, Ca/Naが1.87倍, Sr/Naが2.04倍, Ba/Naが1.40倍になっていた。半径o.4μより大きい飛沫の組成は母液と有意な差を示さなかった.
  • 二宮 洸三
    1964 年 42 巻 5 号 p. 317-329
    発行日: 1964年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    1963年1月の裏日本の降雪量は記録的な大きさであった。低温のために混合比の著しく少ない冬期に極めて大きな降水量がみられたと云う点からも,また豪雪の日本海からの水蒸気の補給量との関係と云う観点からも,この豪雪は興味深いケースであった。特に降雪の激しかった1月16日から26日にいたる10日間について日本列島日本海上における水物質の収支解析を行なつて次の結果を得た。
    (1)この期間の日本海からの蒸発量は5.4mm・day-1であって,通常の冬期の蒸発量とほぼ等しいと云う事ができる。
    (2)日本海から補給された水蒸気のうち,かなりの部分が海上で凝結し,液相又は固相の水の形態で日本列島の上に輸送されたと推定される。
    (3)この液相又は固相の水物質の日本列島上への輸送はこの冬期における様な極めて大量の降雪量の説明に重要である。
    (4)上記の液・固相の水の輸送に有効に働く雲層は相対湿度85%以上の層に存在し,その雲層内の液・固相の水物質の混合比は0.4gr・kg-1の程度である事が推定された。
    (5)綜観的な気象状態と比較すると,上層の寒冷渦の前面で降雨量が著しく増大している事が認められた。しかし日本海からの蒸発量はその時必ずしも増加するとは限らない。したがつて上述の降雪量の増加は,成層の安定度の減少する寒冷渦の前面で活発化する対流活動によつて凝結が能率よく行なわれる事に原因すると思われる。
  • 駒林 誠, 権田 武彦, 礒野 謙治
    1964 年 42 巻 5 号 p. 330-340
    発行日: 1964年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    垂直気流の中に自由に浮ゆうする水滴についてその分裂確率を種々の水滴直径について実験的に定めた。その結果によれば分裂確率は水滴の直径の増加と共に指数函数的に増大し,分裂までの平均寿命時間は直径5.5mmで273秒,6.5mmで63.4秒,7.5mmで10.1秒である.直径Dcmの水滴の平均寿命時間τ秒は次の実験式で表わすことができる。
    τ=3.40×106e-17.0D水滴の分裂によって生ずる小水滴の個数ははじめの水滴の直径が大きいほど多い。小水滴の粒度分布を実験的に定め,その実験式を与えた。
    室温と0°C附近の温度で実験を行なったが両者の間には著しい差は認められなかった。
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