気象集誌. 第2輯
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44 巻, 1 号
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  • 武田 喬男
    1966 年 44 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/05/27
    ジャーナル フリー
    降雨を伴う対流雲のモデル計算により,下降気流の生成機階が調べられた。モデルには,エントレインメント及び雨滴の重さが考慮された。又,降雨は,降雨強度と雨水量との関係式に従って導入されたが,この関係式は観測結果とも良く合致しており,理論的にもある根拠をもっている。
    数値計算から次の事が結論された。雲内の温度がまわりの大気よりもまだ高い時に,下降気流は雨滴の重さにより生成される。又,水平面積の大きい対流雲では上昇気流も下降気流も激しく,下降気流は,より多くの水滴がたまるため,より早く生成される。
  • 光田 寧
    1966 年 44 巻 1 号 p. 12-24
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/05/27
    ジャーナル フリー
    超音波風速計は従来の形式の風速計では得られなかった多くの優秀な特性を持っており,しかも気温をも同時に測定し得るようにすることも出来る。しかし,今日までに実用化されたものの多くは風が弱い場合の微細気象学上の研究に用いることを目的としたものであった。そこで著者はこれを強風時をも含む一般的な観測目的に使用し得るものに改善することを試みた。採用した方式はパルス時間差法であるが,この方式によれば雑音の影響を受けることが少なく,しかも広い測定範囲を得ることが出来る点有利である。従来この方式で作られた測器はパルスの受信強度によってその到達時刻決定に誤差を生じるという難点があったが,今回のものでは能率の良い送受波器と大きな利得を持つ増巾器を用いて受信波形の立ち上り特性を良くすることによってこの点を解決しようとした。また,出力回路として新しいアナログ出力回路の開発が出来たので各種の記録装置を接続出来ることになった。測定時の風向が音響経路とほぼ一致するような向きになると送受波器の外形はS/N比に大きく影響する。今回作られたものは風洞実験によって改良されたものではあるが,未だに完全なものにすることは出来ていない。すなわち,風速30m/sec以上の強風下では音響経路と風向とを一致させて用いるのは無理である。しかし,それ以外の条件の下ではこの測器の作動は満足なものであることが確認された。使用している音響周波数は100kcでパルス繰返し数はほぼ300パルス/秒である。また,音響経路の長さは50cmで,この感部を用いた場合の短周期変動の過少評価についても考察がなされている。
  • 松野 太郎
    1966 年 44 巻 1 号 p. 25-43
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/05/27
    ジャーナル フリー
    コリオリの力が働かなくなる赤道近辺での大規模運動の特性を理論的に検討してみた。自由表面をもった単層の流体-いわゆる発散順圧モデル-について線型化された運動方程式を扱い東西方向に動く自由波動の解を求めると,一定のスケールに対して3つの解が得られた。これらは振動数解の形(圧力及び運動の場)から夫々東向きおよび西向きの慣性重力波およびロスビー波であることがわかる.但し南北スケール最小のものに関してはその区別は明瞭でなく一方の型から他方の型に連続的にかわる。ロスビー波に相当する解は風と圧力の関係が高緯度でほぼ地衡風的であるごと,および赤道近くで特異なふるまいをするのが特徴である。
    次に同じモデル熱冷源に相当するものとして東西に周期的なmass source,sinkを与え,定常解と求めた。熱源に相当する所は低圧になるが赤道で分断され,赤道のごく近くはやや逆センスになり,これに伴って高緯度と逆向きの強い流れが生ずることが分った。
  • 斎藤 直輔
    1966 年 44 巻 1 号 p. 44-59
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/05/27
    ジャーナル フリー
    東南アジアにおける夏季モンスーンの解析をおこなった。特に水蒸気と風系の時空的変動に重点をおいた。モンスーンおよび貿易風の範囲の決定は風の定常性と鉛直分布の特性に基づいた。顕著な湿舌が6月の始めに中国大陸の南洋にあり季節の進みと共に北上したが,湿舌は南西モンスーン自身よりはむしろ,その北端にみとめられた。湿舌の変動,南西或いは南東モンスーン域の変動,および300mb面上の高気圧性細胞の動きとの間に極めて良い対応性がみとめられた。中国大陸と日本およびその近海との二領域について水蒸気収支の様子を調べた。この結果,二つの領域の水蒸気収支の様子にはかなりの差がみとめられ,特に大陸では,大陸内の下層からの水蒸気の補給が必要とされることが示された。
  • 松本 誠一, 二宮 洗三
    1966 年 44 巻 1 号 p. 60-75
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/05/27
    ジャーナル フリー
    1965年1月20日,日本海で高々度よりの雲の航空写真観測を実施した.当日は比較的弱い季節風下にあった.注目すべき事実は,雲量分布が表面水温分布と密接に関連していたこと,雲高は殆んど一様に約2kmと推定され,高層観測による逆転層の底面の高さとよく一致していたこと,および対流系の大きさが雲の大きさにかかわらずほぼ一定であったことなどである.
    雲の全容積の観測値を用いると凝結した水の収支を定常状態の仮定の下に計算することができる.周囲の観測からできる熱と水蒸気の収支計算をこれにより改善することができた.
  • 松野 太郎
    1966 年 44 巻 1 号 p. 76-84
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/05/27
    ジャーナル フリー
    大気の大規模運動をプリミティブ方程式系で数値的にとりあつかう際,人為的に生'じた重力振動をとりさることは,特に上昇流の場に着目する時重要な問題である。このための一方法として,重力振動と大規模運動との振動数の差を利用し,高周波を通さないフィルターの性質をもった時間積分の方式を作った。はじめに前方差分方式によって次の時間の諸量を暫定的に求め,次にこの値を用いて後方差分方式によって求め直すという方法である。この方法は限られた条件の下で高周波振動を減衰させる性質をもつ。実際の大気モデルに適用して数値積分を行なってみた。初期条件として非発散の地衡風から出発するとかなり大きな振幅の重力振動を生ずるが(発散場についてみれば大規模運動に伴うものと同じ程度)時間積分をつづけるうちに減衰してしまい,結局大規模運動の成分のみが残る。大規模運動に対する減衰効果は短期間では問題にするに足りない。
  • 松野 太郎
    1966 年 44 巻 1 号 p. 85-88
    発行日: 1966年
    公開日: 2008/05/27
    ジャーナル フリー
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