日本海岸地方の豪雪は,上層寒域が異常に発達して,日本付近に南侵したときに起るが,寒域全体に豪雪があるのでなく,寒域の内部に局地的豪雪域が存在する。この豪雪域はjetの北西側で,高層では正渦度最強域付近にあり,下層では擾乱帯があって,この擾乱を構成する微小低気圧が,北陸地方海岸に到達したとき豪雪が起きることを,既に1965年に報告したが,本報では,この海岸豪雪を生み出す擾乱の立体構成の一部につき述べる。
豪雪時の渦度,発散並に温度につき,各層分布と南北,東西の断面を作って見ると,(1) 400mb高度より下層の異常低温,(2) 400mbより上層の大きな正渦度と収束,(3) 850mbより下層の収束,(4) 700~500mb層の発散が注意される。1960~1964年の期間につき,降雪最盛期2ヵ月の全日数につき,この現象を調べた結果,これは北陸地方海岸豪雪時の特性であることが明らかになった。すなわち,相当低温になっても内陸豪雪,海岸微雪の場合は,最下層が発散か弱い収束である。
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