気象集誌. 第2輯
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48 巻, 4 号
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  • 三崎 方郎, 竹内 利雄
    1970 年 48 巻 4 号 p. 263-269
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/05/27
    ジャーナル フリー
    1966年9月,南極観測船“ふじ”の日本周航の機会に,大気電気伝導率と大気電場の観測を船上で行った.この結果,大気電気伝導率は船と陸地との距離の増減にしたがって変動することがわかった.観測された大気電気伝導率は距離に対し関係式(3)で極めて良く表わされる.
    海上ではイオン生成率が一定であり,電気伝導率には日変化もないから,畑霧等がない限り,電気伝導率の変動は大気汚染の程度をそのまま反映するものである.したがって,陸地起源の汚染粒子は海上に可成りの距離まで張り出し,その濃度は距離とともに指数関数的に減少し,Nce-αD(式(1))で表わされることが類推される.
    大気電気伝導率と陸地よりの距離についての上記の関係式は極めて粗い近似であり,陸岸より極めて近いところでは適用されないし,また100km以上については保証されない.しかし今回の観測結果だけをもとにして,これ以上の推定を進めることは無意味であり,むしろこの程度の粗さの近似でもよく観測結果と一致したことに留意すべきであろう.
  • 駒林 誠
    1970 年 48 巻 4 号 p. 270-286
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/05/27
    ジャーナル フリー
    MullinsとSekerka(1963)が開発した結晶の形状に関する熱力学的局所平衡の理論を拡張し,局所平衡の仮定を捨てて非平衡として昇華係数をとり入れ,低温槽内で成長する小さい氷晶の成長に適用した.
    減圧空気,水素,炭酸ガス,アルゴン•ヘリウム混合気体中に形成された数10ミクロン以下の大きさの氷晶について,この計算結果を実験結果と比較した.窒素大気中で成長した二酸化炭素とアンモニアの結晶に関する実験とも比較した.
    その結果,氷の昇華係数が小さい場合には,種々の気体中で成長する小さい氷晶の形状の差異は,主として気体中の水蒸気の拡散係数の差異に起因すること,部分的に気体の熱伝導率の差異に起因することがわかった.氷晶,二酸化炭素の結晶,アンモニヤの結晶の形状の差異は低温槽内の過飽和度とこれらの物質の表面張力の差異に起因するものと思われる.
  • 八木 鶴平
    1970 年 48 巻 4 号 p. 287-292
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/05/27
    ジャーナル フリー
    1968年2月初旬,旭川の石狩川河川敷内で,過冷却霧の中に混じる氷晶の落下速度の測定を試みた.過冷却霧は川面から生じ,夜間,気温が-200°C前後に下がると霧粒に混じって多数の氷晶が現われた.この氷晶が弱い風に流されながら落下する時の軌跡を,真横から写真に撮り,その水平からの傾きを求め,同時に測られた風速を用いて,氷晶の落下速度を得た.カメラの風下で採集した氷晶の種類は,小角板集合や初期骸晶,小不規則結晶などが多かった.それらの平均粒径は103ミクロンであった.落下速度の平均値は10.7cm•sec-1で,Reynolds数は0.95であった.同じ直径の球の落下速度を Stokes の法則で計算するとやや過大評価になり,慣性抵抗も考慮した方が氷晶の落下速度を計算するには良いように思われた.
  • 時岡 達志
    1970 年 48 巻 4 号 p. 293-314
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/05/27
    ジャーナル フリー
    回転円筒内の軸対称流の安定性を,線型化した流体力学方程式を数値積分する事により調べた.まず最初に,実験からは軸対称流になるといわれている所(C)および波動が観測されている所(B)を選んで,定常な軸対称バランスした渦を作った.バランス渦(C)については,エネルギーダイアグラムを作り,ポテンシァルエネルギー,子午面運動のエネルギーおよび帯状流の運動エネルギーの間の交換や,エネルギーの流れについて詳しく調べた.次に上で求めた渦に,種々の波数の擾乱を加えて,渦の安定性を調べた.その結果,バランス渦(B)は波数8の波に対して不安定になる事が分った.その不安定波は,基本的には,Eady(1949)の求めた傾圧波に似ているが,上下の境界層では,エクマン層バランスをなし,特に,温度場の振巾分布の違いが指適される.この波についても,またエネルギーの考察を行ない議論した.
  • 岸保 勘三郎
    1970 年 48 巻 4 号 p. 315-330
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/05/27
    ジャーナル フリー
    緯度方向の変化を考慮して中間スケールのじょう乱の安定度を議論してみた.この問題に関して,リチャードソン数Riおよび東西,南北方向にロスビー数Rx,Ryを導入した.理論的結果によれば. RiRx2_??_Ry2 (1- Ri)によって傾圧不安定またはシャー不安定が卓越し.じょう乱の発達率は後者の方が大きいことが示される.数値実験例として,下層大気中でRi≈2およびRi≈1/2の場合をとりあげてみた.Ri≈1/2の場合には,中間スケールのサイクロゲネシスが前線に沿って短時間の間におこる状態とよく似た結果を与えている.
  • 柳井 迫雄, 村上 勝人
    1970 年 48 巻 4 号 p. 331-347
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/05/27
    ジャーナル フリー
    赤道をはさんでほぼ対称の位置にある太平洋上4地点の時系列資料を用い,奇数次型(風の東西成分が赤道に関し対称,南北成分が0か反対称のもの)と偶数次型(東西成分が反対称,南北成分が対称のもの)の大規模赤道波の分離を試みた.この対称および反対称成分を利用したスペクトル解析により,少くとも8種の顕著な波動が分離される.奇数次型の波動の大部分は東進し,かつ風の東西成分にのみ現われるものでケルビン波と思われる.奇数次型の波のうち2種は空気に対し西進し,ロスビー波と固定される.偶数次型の波動は4-5日周期の柳井と丸山(1966)により見出された波を含みすべて西進し,混合ロスビー•重力波らしい.夫々の分離された波動につき,振巾の垂直分布と垂直位相伝播を調べた.全ての波が12-14kmの高度で最大振巾を示し,位相線の傾きはこの高度からの上方および下方へのエネルギーの流れを示す.或る波は非常に大きな位相線の傾きを持ち,垂直波長が極めて小さい.東西2組の観測点から求めた水平波長と,観測された周期と垂直波長から松野(1966)とLindzen(1967)の振動数方程式を用いて計算された水平波長との比較も行なう.
  • 新田 勍
    1970 年 48 巻 4 号 p. 348-359
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/05/27
    ジャーナル フリー
    1962年の4月~7月太平洋のデータをスペクトル解析し,熱帯対流圏において,風の南北成分と,その他の物理量(風の東西成分,温度,ジオポテンシャル)とのcovariance(共分散)に果す擾乱の役割を調べた.赤道近くの領域では,約4日周期の擾乱がcovarianceに大きな役割を果している.一方亜熱帯地域(200°N附近)では,約6日周期の擾乱と,10日以上の擾乱が重要な役割を果している.
    移動性擾乱による運動量輸送,顕熱輸送,ポテシャルエネルギー輸送の緯度,高さに関する平均分布,及び,4日周期の擾乱が輸送に果す寄与を調べた.周期6日以上の擾乱によつて,高緯度から低緯度へ強いエネルギーの流れがある.この結果は,Mak(1969)の結果と一致する.対流圏下層,中層には,赤道方向の顕熱の流れがあり,対流圏上層では,強い極方向の顕熱輸送がある.輸送に対する4日周期の擾乱の寄与は高緯度側では小さいが,低緯度側では大きい.
    赤道と15°N間の領域における擾乱のエネルギー変換の一部を見つもつた.高緯度側から低緯度側へ強いエネルギーの収束(気圧による仕事)があり,擾乱の運動エネルギーは平均流の運動エネルギーに,擾乱の有効位置エネルギーは,平均場の有効位置エネルギーに変換される.高緯度側からのエネルギーの収束量は,擾乱から平均流への運動エネルギーの変換量,擾乱から平均場への有効位置エネルギーの変換量よりも一ケタ大きい.
  • R. V. Godbole, V. Ramana Murty, シュクラ J.
    1970 年 48 巻 4 号 p. 360-368
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/05/27
    ジャーナル フリー
    ESSA IIIESSA V気象衛星の1967年2月から1968年1月までの全球資料のうち,印度と印度周辺(50°E-100°E,20°S-40°N)の使用可能な月平均輝度が解析され研究された.低緯度帯における最も強い雲形成地域を示す最強輝度帯は,2月から4月までは7.5°Sを中心に見出され,漸時北上して7月-8月には22.5°Nに達し,その後,南に後退する.季節別に考察された輝度分布パターンは,緯度から緯度へ顕著な連続性を示している.見出された諸事実は,印度の夏のモンスーンの基本流が赤道の南の地域に端を発することを示唆するのを助ける.
  • 池辺 幸正, 川野 実
    1970 年 48 巻 4 号 p. 369-372
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/05/27
    ジャーナル フリー
  • 高橋 忠司, 山下 晃
    1970 年 48 巻 4 号 p. 373-376
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/05/27
    ジャーナル フリー
  • 菊地 勝弘, 矢浦 省吾
    1970 年 48 巻 4 号 p. 377-380
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/05/27
    ジャーナル フリー
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