気象集誌. 第2輯
Online ISSN : 2186-9057
Print ISSN : 0026-1165
ISSN-L : 0026-1165
49 巻, 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 遠藤 昌宏, 新田 尚
    1971 年 49 巻 3 号 p. 137-145
    発行日: 1971年
    公開日: 2008/05/27
    ジャーナル フリー
    1週間程度の時間スケールと数千kmの空間スケールを持って移動する気象擾乱に対して,順圧で横方向の境界を持つβ面上の海洋の力学的レスポンスを調べる為に,線型化した渦度方程式を,変数分離の可能性を仮定して解折的に解いた.海底摩擦,水平拡散,そして水平発散の無い場合について特に詳しく調べた.その結果は,(1)気象擾乱の移動速度Uと,東西と南北方向の波数によって決まる臨界速度Ucrとの比が1より大きい時には,Uと同じ速度で移動するモードが卓越する,(Pedlosky(1965)の結果に一致する.)(2)その比が1に等しい時には,レスポンスのパターンは停滞波の振舞いを示す,(3)その比が1より小さい時には,東西の岸からの影響が外洋まで伝わって西に移動するモードが加わる,(4)この比が負の時は海洋は共鳴を起し得る,という結論が得られた.
    海底摩擦,水平拡散の影響を調べたが,考えている時間スケールでは,これらの影響は小さい.水平発散の存在は臨界速度Ucrを小さくする事が判ったが,南北方向の流速の振幅には殆んど効果がない事が示された.
  • 丸山 健人
    1971 年 49 巻 3 号 p. 146-157
    発行日: 1971年
    公開日: 2008/05/27
    ジャーナル フリー
    1957-58年の二カ年間にわたるライン諸島(主としてクリスマス島,NO2°00', W157°23')上空の風のデータをスペクトル解析し,赤道付近の対流圏と成層圏下部の擾乱のふるまいをしらべてみた.
    その結果,3種の擾乱が見出された:1.下部対流圏擾乱,2.上部対流圏擾乱,そして3.下部成層圏擾乱.下部対流圏擾乱と下部成層圏擾乱は4-5日くらいの周期をもち,南北成分に顕著にあらわれる.擾乱の位相は,下部対流圏で高度とともにややおくれ,下部成層圏では高度とともにすすむ.東西成分と南北成分のあいだの位相差をみるとこれらの擾乱は赤道上に中心をもつうずの形をなしているものとおもわれる.上部対流圏の擾乱は,東西成分,南北成分ともにあらわれ,6-12日くらいの周期をもつ.擾乱の位相は高さとともにほとんどかわらない.この擾乱の水平構造はまだわからない.
    擾乱のふるまいにおいて,顕著な年変化はみいだされなかった.
  • 岩嶋 樹也, 山元 龍三郎
    1971 年 49 巻 3 号 p. 158-162
    発行日: 1971年
    公開日: 2008/05/27
    ジャーナル フリー
    ヂオポテンシャル場などのFourier harmonicsで表現された大気中の超長波の時系列データに,いくつかのband-pass時間フィルターと1つのlow-pass時間フィルターを適用して準定常部分と変動部分に分け,さらにband-pass時間フィルターを通過した変動部分のcosine,sine時系列を1/4周期ずらせることによって移動部分と準停滞振幅変動部分に分離する方法を提示する.ヂオポテンシャル場に上記の方法を適用した予備的解析例を示す.
  • 大井 正道
    1971 年 49 巻 3 号 p. 163-178
    発行日: 1971年
    公開日: 2008/05/27
    ジャーナル フリー
    回転系上の流体の運動に於て,大規模帯状流定常地形性擾乱を,dishpan実験及びその大気のprototypeとしては,equivalent barotropic levelでの運動を,columnar two-dimensionalな運動として線型理論で取扱った.支配方程式としては渦度方程式を用いて解析解を求めた.
    解析解は横の境界条件によって
    (1)periodic conditionに対してはperiodic type solutionを,
    (2)無限遠で擾乱の振幅がzeroになるという条件に対してはexponential type solutionが夫々求まる.此等の解の性質は,流れの上部境界条件をupper-freeにするか,upper-boundedにするか;摩擦項を考慮するかしないか;コリオリ•パラメーターの緯度変化βをzeroにするかしないかによって次の様に異ることがわかった.即ち
    i)β=0の場合
    A)upper-freeにすれば両typeの解による差違は殆んど認められない.又prototypeのsteady perturbationにも近いものが得られる.
    B)upper-boundedにすれば両typesの解では,非常な差違を生じ,periodic typeでは擾乱の振幅がupper-freeの場合よりも数倍大きくなるが,定性的にはこれに似ている.しかしexponential typeでは全く異り,up-streamに全く擾乱がなくなり,downstreamに丈け異常に大きな擾乱がみられる.upper boundaryの僅少量のfreedomを無視することが意外に大きい差違を生ずることは注目に値する.
    C)摩擦項の影響はupper-freeの場合は通常の大きさの摩擦係数では摩擦のない場合と大して擾乱に差違はないが,upper-boundedの場合では擾乱にかなりはげしいdampingが生ずる.
    ii)β≠0の場合
    periodic typeとexponential typeとで著しい差違を生じ,periodic typeでは特にfrictionlessで地形の山に擾乱の谷が対応する振幅の異常に大きい定常波動が生じ,又exponential typeではupstreamに擾乱が消えdownstreamにだけ定常な波動を与える.又摩擦の影響は両タイプいつれの場合にも大きい.これをprototype
    の場合に適用すると実測とかけはなれた異常な定常波動を与える.
    以上のことより,回転系上で障碍物による帯状流の擾乱を線型理論で扱ってprototypeをsimulateしようとする際,今回の線型理論の仮定の範囲内ではupper-boundedの条件や,又β項を温存させることは不適当であり,upper-freeでβをzeroとして取扱う方が適当であることがわかった.
  • 孫野 長治, 菊地 勝弘, 山見 信之
    1971 年 49 巻 3 号 p. 179-183
    発行日: 1971年
    公開日: 2008/05/27
    ジャーナル フリー
  • 村上 勝人
    1971 年 49 巻 3 号 p. 184-189
    発行日: 1971年
    公開日: 2008/05/27
    ジャーナル フリー
  • チャーバ ジエス, 佐々木 嘉和
    1971 年 49 巻 3 号 p. 191-214
    発行日: 1971年
    公開日: 2008/05/27
    ジャーナル フリー
    雷雨の運動機構を調べるために,1964年4月3日のレーダーエコー,β-観測網のデータと上層観測の精密解析を行なった.調べた雷雨の一つは,平均流の方向に対し左にかなりずれて進み,又一方他の雷雨群はいくらか右にずれて進んだ.左にずれた雷雨は,レーダーエコーの強さの分布,成長のしかた,循環のしかたの点で,右にずれた雷雨と対称的な形をしていることがわかった.同様な対称性は,地上の気圧や風の分布にも見出された.左右に分れて進む二つの雷雨に特に注目して比べてみた.左に進んでいる雷雨のエコーは,つねにエコーの主要部の左側で発達,成長して進んでいることを示していた.地上の低圧部と収斂域は雷雨に入りこんでくる下層流入気流の下で,雷雨の左側の象限の前面に存在した.右に進んだ雷雨については,同様な性質(対称的であるが)右側後方部でみられた.これらの解析結果はcontinuous ProPagationとよばれている連続的な発達一伝播による雷雨の移動の機構を支持してる.観測された雷雨の移動を説明するには,下層の運動量保存則,DragやLiftに付加えてcontinuous propagationの機構が重要であることを示していることがわかった.
feedback
Top