回転系上の流体の運動に於て,大規模帯状流定常地形性擾乱を,dishpan実験及びその大気のprototypeとしては,equivalent barotropic levelでの運動を,columnar two-dimensionalな運動として線型理論で取扱った.支配方程式としては渦度方程式を用いて解析解を求めた.
解析解は横の境界条件によって
(1)periodic conditionに対してはperiodic type solutionを,
(2)無限遠で擾乱の振幅がzeroになるという条件に対してはexponential type solutionが夫々求まる.此等の解の性質は,流れの上部境界条件をupper-freeにするか,upper-boundedにするか;摩擦項を考慮するかしないか;コリオリ•パラメーターの緯度変化βをzeroにするかしないかによって次の様に異ることがわかった.即ち
i)β=0の場合
A)upper-freeにすれば両typeの解による差違は殆んど認められない.又prototypeのsteady perturbationにも近いものが得られる.
B)upper-boundedにすれば両typesの解では,非常な差違を生じ,periodic typeでは擾乱の振幅がupper-freeの場合よりも数倍大きくなるが,定性的にはこれに似ている.しかしexponential typeでは全く異り,up-streamに全く擾乱がなくなり,downstreamに丈け異常に大きな擾乱がみられる.upper boundaryの僅少量のfreedomを無視することが意外に大きい差違を生ずることは注目に値する.
C)摩擦項の影響はupper-freeの場合は通常の大きさの摩擦係数では摩擦のない場合と大して擾乱に差違はないが,upper-boundedの場合では擾乱にかなりはげしいdampingが生ずる.
ii)β≠0の場合
periodic typeとexponential typeとで著しい差違を生じ,periodic typeでは特にfrictionlessで地形の山に擾乱の谷が対応する振幅の異常に大きい定常波動が生じ,又exponential typeではupstreamに擾乱が消えdownstreamにだけ定常な波動を与える.又摩擦の影響は両タイプいつれの場合にも大きい.これをprototype
の場合に適用すると実測とかけはなれた異常な定常波動を与える.
以上のことより,回転系上で障碍物による帯状流の擾乱を線型理論で扱ってprototypeをsimulateしようとする際,今回の線型理論の仮定の範囲内ではupper-boundedの条件や,又β項を温存させることは不適当であり,upper-freeでβをzeroとして取扱う方が適当であることがわかった.
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