1971および72年の夏期,茨城県東海村においてパイバル観測を主とする一連の海陸風観測がおこなわれた.パイバル観測点は海岸より1kmおよび6kmに2個所設置された.
得られた主な結果は次の通りである.
(1)海風について,地上数百米の気層内での風向風速の鉛直分布は,海岸点と内陸点とで顕著な差異を示し,地面の摩擦応力と海面のそれとの差異の効果を示唆する.
(2)夕刻における低層ジェットはこの地域でも観測され,その発達と接地逆転層の存在との間に関連がみられた.
(3)観測された海風は明瞭な海風前線を伴い,海風の厚さは前線の付近で約400mである.観測された陸風は,
上層に海から吹く風が存在するとき,下層から徐々に発達するのがみられた.
観測船による海上での風向風速および気温海水温の観測,およびテトルーンを使用した流跡線の観測も計画の一環としておこなわれた.
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