気象集誌. 第2輯
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53 巻, 2 号
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  • 望月 定, 双木 泰男, 加藤 二久, 増田 純夫, 関川 俊男
    1975 年 53 巻 2 号 p. 103-110
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    大気中の全イオン対生成率を連続的に測定することを目的として,5個の同一型電離箱で構成した装置を開発した.電離箱器材の残留放射性物質による電離を補償するため,5個の電離箱を2個づつ2組と1個とに分けて構成した3つのセットで各々の電離電流が測定される.
    試作した測定器の動作特性を得るため,長期間にわたる野外試験と観測を行った.その結果,この装置で大気中の全イオン対生成率について評価し得るかなり良好な連続記録とその日変化が得られる見込を得た.
  • 三崎 方郎, 池上 三和子, 金沢 五寿雄
    1975 年 53 巻 2 号 p. 111-120
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    陸地起源のエーロゾルが海洋上へ広域拡散して行くときには,単にその濃度が減少して行くだけではなく,粒径分布の形が変えられて行く.この粒径分布の変形が,1972年と1974年の再度にわたる凌風丸による東京•小笠原間航海の船上観測によって確められた.
    著者が開発した大気イオン移動度スペクトロメーターによる小粒子領域のエーロゾル粒径分布と,ロイコ型スペクトロメーターによる大粒子領域の粒径分布とを組合せることにより,エーロゾル全領域(半径3nm~5μm)の粒径分布が,東京•小笠原間1000kmにわたって連続的に求められた.
    さらに,エーロゾルの拡散にともなう稀釈効果を評価するために,ラドン濃度の同時観測を行った.ラドンは大気中では気体状であるから,粒子が受けるような減衰作用の対象ではない.しかもその起源は実際上陸地に限られているから,観測された減衰は放射性物質としての自然減衰と,拡散による稀釈以外にない.したがって,観測された見掛けの減衰率から既知の自然減衰率を差引けば,拡散による稀釈の効果を見積ることができる.
    一方,エーロゾル粒子濃度の見掛け上の減衰率は粒径別に観測により求まっているから,これから上記の拡散稀釈の効果を差引けば,エーロゾル粒子の大気中における滞留時間を粒径別に求めることができる.
    1972年と,1974年の観測の結果によると,エーロゾル粒子の大気中における滞留時間は大粒子ほど短かくその結果,粒径分布の重心は時間とともに粒径の小さい方へ移行することが見出された.
  • C. P. R. Saunders, N. M. A. Wahab
    1975 年 53 巻 2 号 p. 121-126
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    電場中を自由落下する氷晶の集合現象を研究した.調べた氷晶の大きさは50μm程度である.電場が105Vm-1程度の場合の集合率は30%までにもなった.この現象には温度依存性があり,-8°Cで最もよく集合する.
  • 立平 良三, 牧野 義久
    1975 年 53 巻 2 号 p. 127-138
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    富士山レーダーでは,幅300km程度の大型帯状エコーがしばしば現れる.その走向は大体WSW-EKEである.これらの帯状エコーが,どのような気象構造を伴っているかを,高層観測データを用いて調べた.帯状エコーに共通する本質的な性質を見出すため,なるべく多くの例を解析し,これを重ね合わせて平均的な気象構造を描き出すことを試みた.このようにして得られた,帯状エコーを横断する平均の鉛直断面から,次のような特徴が明かにされた.
    (1)層状性の帯状エコーの内部では,対流圏中下層に等湿球温位線の混んだ層があり,これはまた正うず度の大きい領域とも一致する.この層は約1/100の傾斜を持っており,いわゆる前線面に対応するものと考えられる.
    (2)この前線面から上では大体上昇流域となっており,その最大値は数十mb/hr程度で,帯状エコーの中心線の南側に位置している.これに対応し,強エコー域も中心線の南側に存在している.前線面の下は大体下降流域となっている.
    (3)層状性帯状エコーに平行な風、速成分は,帯状エコーの中央部の500mb付近に最大値を持ち,ここから強風域は斜め下方に伸び,700mbでは帯状エコーの南縁付近に位置している.
    (4)対流性帯状エコーの場合は,湿球温位および正うず度の分布から見た前線面は,帯状エコーの北側に位置している.つまり対流性帯状エコーはプレフロンタルな性格を示しており,下層の湿舌の上に位置しているように見える.
    (5)対流性帯状エコーの場合,走向に平行な風速成分は層状性に比べてかなり小さいが,分布状況は似かよっている.
    以上に得られた帯状エコーの平均的性質は,帯状エコーの生成•維持機構を考える上の基礎となろう.またこの平均的性質を利用して,帯状エコーが高層観測データの乏しい領域に現れた場合に,その周辺の気象構造の性質を推定することも可能になろう.
  • 統計的解析
    米谷 恒春
    1975 年 53 巻 2 号 p. 139-148
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    関東平野北部に雷雨が発現した日に特徴的な大気垂直構造を知ることを目的として,館野の9時の高層データと前橋で観測された最高気温を使用して,1967年および68年の5月15日~9月15日の248日間について,大気の垂直安定度を求めた.
    大気は1,800mを境として上層と下層に分けた.対流雲を取り囲んでいる環境である上層では,湿潤不安定度を問題とした.下層は,対流雲へエネルギーを補給する層であることを強調して,層中の気塊の垂直移動の難易を問題とした.上層における垂直不安定度を表わす指標として,周囲大気の吸い込みを行なう飽和気塊の上昇速度を計算し,これの最大値を採用した.
    上層がかなり湿潤不安定であった日のうち,雷雨が発現した日はその約半数の日であった.しかし雷雨日と上層が不安定であった無雷雨日とでは,下層の状態が異なっていた.すなわち,上層が不安定であった無雷雨日は,雷雨日に比して下層がより安定であり,前橋での最高気温を用いて地上から1,000mまでの層を代表させた気塊の自由対流高度は,平均的に高かった.さらに雷雨日には,上層の湿潤不安定度(Iu)と下層の安定度(SIL)とは,.SIL<0.075•Iu+2なる関係を満していた.
    これらの特徴は対流雲と雲底下層との相互作用を示している,と解釈し,不安定指数を定義した.この不安定指数の平均値は,雷雨日では11.8無雷雨日では3.6となり,不安定指数の大きい口に雷雨の発現する確率は高くなった.この不安定指数と雷雨の発現との相関は,Showalterの安定指数と雷雨の発現との相関より,はるかに強かった.従って,雷雨の発現と大気の垂直安定度との間には,今まで考られていた以上に強い関係が存在すると考えられる.この報告は,国立防災科学技術センター気象調節に関する特別研究の1部としてなされたものである.
  • J.R. Garratt, P. Hyson
    1975 年 53 巻 2 号 p. 149-160
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    AMTEX'74期間に沖縄本島の辺土名,多良間島,宮古島の3地点で海面フラックスを渦相関法とスペクトル密度法の2つの方法でもとめた.
    このフックスからバルク輸送係数をもとめてみると,(高度10mに対する中立の場合に換算すると)抵抗係数は風速と共に増加し風速が15m/s附近で2×10-3の値になる.これに対して熱と水蒸気の輸送係数は風速が4~15mlsの範囲でほぼ一定の1.5×10-3の値である.
    2月23日から28日の寒波時に多良間島と宮古島で得られた海面フラックスは,顕熱が11mw•cm-2(226ly/d),蒸発の潜熱が55mw•cm-2(11301y/d)である.ボーエン比は0.20となるが,これは水温21°Cの場合に対するPriestleyとTaylor(1972)の結果に一致している.
  • 高島 勉
    1975 年 53 巻 2 号 p. 161-167
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    オゾンとエアゾールを含んだ不均質惑星大気からの乱反射した放射線を波長0.30,0.32そして0.34ミクロンでアッディング法を用いて計算する.Deirmendjianによる変形ガンマ函数をエアゾール粒子分布として用いる.大気成分の光学的厚さと鉛直分布の値は,Eltermanの表を用いる.計算結果は,(1)オゾンによる吸収が強い0.30ミクロンでは,上から出てくる放射線の強度は,観測点の天底角がおよそ60度以内では,エアゾールのため高々10パーセント増加する.(2)オゾンによる吸収が無視出来る0.34ミクロンでは,約20パーセント射線の強度はRayleighとオゾンの混合大気のそれに比べて,エアゾールを考慮に入れた場合増加するが,0.34ミクロンの方が0.30ミクロンよりもより一層増加する.(3)エアゾールの屈折率が1.50の乱反射放射線の強度は1.35の場合より高い.
  • 梶川 正弘
    1975 年 53 巻 2 号 p. 168-173
    発行日: 1975年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
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