気象集誌. 第2輯
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55 巻, 6 号
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  • 山岬 正紀
    1977 年 55 巻 6 号 p. 559-572
    発行日: 1977年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    積雲対流の効果をパラメタライズしないモデルを用いた数値実験(Yamasaki,1977)で得られた台風において,地表摩擦がどのような役割を果していたかを調べるため,摩擦係数を変えて数値実験を行なって結果を比較した。地表摩擦は水平スケールを小さくし,また,眼や眼の壁の形成に対して重要な役割を果していることがわかった。もっと重要な結果は,地表摩擦がなくてもじょう乱が発達することで,この点ではYamasaki(1977)の台風(AFモード)は,地表摩擦が発達に対して不可欠なOoyama(1969)やYamasaki(1968)の台風(TCモード)とは異なっている。
    NFモードを,地表摩擦がその不安定性に対して本質的でないCISKモードとして定義するとき, AFモードはTCモードとNFモードの重ね合わさったものと考えられる。すなわち,地表摩擦がないときTCモードは中立になるのでNFモードが卓越する。地表摩擦があっても,じょう乱のうず度が小さくて摩擦収束が弱いときもNFモードが卓越する。じょう乱のうず度が大きくなると摩擦収束が顕著なTCモードが卓越し,このときAFモードはTCモードの性質をもつ。 Anthes et a1. (1971)やKurihara and Tuleya(1974)の台風はAFモード的な性質をもっていることが示唆される。
  • 住 明正
    1977 年 55 巻 6 号 p. 573-585
    発行日: 1977年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    4次元データ同化に関する方法を研究するために,数値実験を行った。モデルは,現在電計室で用いられている4層北半球プリィミィティブモデルを用い,挿入するデータは現実に観測される衛星のデータを使用した。データを挿入する方法に関しては,間欠的手法と連続的手法の2種類の方法が提案されているが,ここでは,モデルに与える影響のことを考えて,間欠的手法を採用した。
    データの挿入に伴い発生するノイズに関しては,高周波のノイズは,通常の松野スキームを用いることにより充分減衰させることが出来たが,低周波のノイズに関しては,それでは不充分であった。
    衛星のデータの挿入のもたらす予報への影響は,それほど大きなものではなく,中•高緯度では,おおむね妥当であると考えられる。しかしながら,低緯度では事情が異なり,挿入に伴うノイズが無視出来ないものとなっている。
    低緯度の取り扱いに関しては,今後の課題である。
  • Andrew F. Bunker
    1977 年 55 巻 6 号 p. 586-605
    発行日: 1977年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    海上の寒冷前線の構造を調べるために,AMTEX期間に沖縄を南東方向に通過した前線を観測用飛行機エレクトラで6高度について種々の気象要素を観測した。この前線は比較的弱く典形的なものではないが,2本が間隔をおいて進み,高度2kmをおおっていた層積雲の上空には中•上層雲が存在しなかった。この前線の変遷と構造が述べられる。
    前線に伴う種々の気団の特性を飛行機とラジオゾンデのデータからもとめた。気団間に基本的には積雲対流による鉛直混合があることが示される。前線の前面でおこる上昇気流域は飛行機による直接測定と,風速分布の発散量の計算からもとめたものとで良く一致し,前線の二重構造を確かとした。
    各前線の前面には局所的な前線発達域が見られる。全域での平均としては,弱い前線衰弱になっているが,これは前線の背後での気団暖化による。前線域の雲層内では上向きと下向きの顕熱及び水蒸気輸送量があるが,これは乱流や直接的な積雲上昇流•浮力平衡点を越えて上昇する気塊•その後に下降してくる積雲気塊などによって生じる。前線域で測定された風速の乱れの無次元化スペクトルは接地層内で得られている普遍分布と同形であることから,ここでの乱流はせん断応力による生成項が支配的であることを示している。一方,前線通過後の寒気団内の風速の乱れはKaimalによって求められた,上空に逆転層付きの不安定境界層内におけるスペクトル普遍分布形に一致しているが,これは乱流エネルギー源としての下面加熱の顕著さを示す。
  • 板部 敏和, 藤原 玄夫, 広野 求和
    1977 年 55 巻 6 号 p. 606-612
    発行日: 1977年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    1974年十月中旬にガテマラのフエゴ火山噴火は下部成層圏に大量の火山物質を投入した。約1ケ月後ライダーによって福岡上空の下部成層圏に異常に強い散乱層が観測された。大気分子以外のレーダー断面積のピーク値は1974年12月に最大値を示した。1975年春以後は徐々に減少して行ったが,その年の秋に第2の極大値に達した。層のピークの高度は通常のユンゲ層の2~3km下にあり,層の半値幅は最初の2~3kmからピーク高度の下降と共に増大した。
    ライダ胃によって観測されたピーク値の時間的変動の全体的な形は今日までに提唱された2次元輸送モデルから期待される結果と矛盾しているが,この矛盾は観測されたレーダー断面積が良い保存量であると仮定する限り説明できない。そこで下部成層圏に於て何らかの形でその場に於ける粒子生成が起っていることが示唆される。
  • 竹内 利雄, 仲野 責, 石川 晴治, Sven Israelsson
    1977 年 55 巻 6 号 p. 613-616
    発行日: 1977年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
  • Tsann-Wang Yu
    1977 年 55 巻 6 号 p. 617-622
    発行日: 1977年
    公開日: 2007/10/19
    ジャーナル フリー
    A simple turbulent energy equation based on semi-empirical turbulence theory was used to parameterize the vertical eddy exchange processes in the atmospheric boundary layer. Numerical experiments with a one-dimensional version of the Techniques Development Laboratory boundary layer model were conducted to evaluate the parameters employed in the turbulent energy equation. These parameters include the ratio αT between eddy diffusivity for heat and that for momentum, and the turbulence length scale l.
    The study concludes that while specification of l has a great effect on the wind speed, values of αT affect the prediction of temperature substantially. With a proper choice of l and aT, the turbulent energy parameterization scheme may be useful for modeling detailed structures of the boundary layer. Results with four different specification of l and αT are presented and compared with observations. Recommendations are made on the proper specification of l and αT for use in the turbulent energy equation.
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